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郵政民営化問題

 郵政民営化法案が参議院で否決され、衆議院解散による総選挙が行われようとしています。一般的な世論としては、郵政民営化自体には反対意見が決して多いわけではなく、民間でできることは民間で、つまり「大きな政府」から「小さな政府」への転換が求められているように思われます。この基本的な姿勢は自民党の造反議員はもちろん、すべての国会議員が反対票を投じた民主党でも同様です。つまり世論としては、郵政民営化の必要性は若干の疑問が残るにせよ、「大きな政府から小さな政府への転換」という流れに対しては肯定的な意見が多いのではないでしょうか。

 ちなみに私は郵政民営化には反対の立場です。その理由として、ここでは簡単に3つ挙げておくことにします。

 まず一つ目は、ありがちな意見ではありますが、郵便局が民営化され民間企業となることにより、採算性の低い過疎地の住民に深刻化生活難が及ぶことが予想されることです。民営化直後は世論の反発を回避するために従来どおりの全国一律サービスは維持されるでしょうが、40年、50年後という長期的な視野で考えた場合、どこまで郵便局のサービスが維持されるのか疑問でなりません。大げさな例で言えば、離島の住民が切手を一枚買うためにフェリーで大きな島まで行かなければならない、そういった事態も想定されます。

 二つ目の理由としては、郵政民営化に関する議論は単なる時論的なものにとどまらず、1970年代後半からアメリカ、イギリスで採用された市場原理主義というイデオロギーとしての新自由主義思想の台頭、さらに冷戦崩壊による資本主義市場経済の勝利(?)による市場原理の再強化という歴史的な流れの一環として捉えることができるためです。市場原理に任せて利益追求をすることこそが、最も調和的な経済を実現できるというこうしたイデオロギーは、ソ連崩壊後資本主義の勝利に沸いた世界各国の経済停滞を見ればその有効性を認めることは困難なばかりか、その過程で世界的な貧困問題、環境問題の解決困難、さらに日本においても所得格差拡大などによる生活難など、現実では新自由主義の思想こそが崩壊しているというのが実状でしょう。にもかかわらずソ連という対抗するイデオロギーを失った現在においては、実質的に破綻している新自由主義思想が暴走しているといっても過言ではなく、まさにその一環として、郵政民営化を含め小泉政権による様々な規制緩和政策が行われている、というのは果たして言い過ぎでしょうか・・・。

 さらに、あまり話題にはなっていませんが三つ目として、郵便局が民営化されることは国家公務員の権利を剥奪することにほかなりません。このことは、独立行政法人化の流れとあわせて、公務員として働く人達にに対する規制の本格的な幕開けといってもいいのではないでしょうか。規制緩和という名目で小泉政権は、結果として働く人々に大きな負担を押し付ける政策を推進することになりましたが、郵政民営化に関しても、公務員の権利を剥奪してまで競争原理を強制的に導入すようとする姿勢は批判されるべきでしょう。

 およそ以上の理由により私としては郵政民営化には反対の立場です。よく聞かれる「小さな政府=効率的=良いこと」といった理解は改めなくてはなりません。

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郵政民営化の根本の動機は、公務員の削減にある。 郵政民営化法案が、様々な紆余曲折を経て骨抜きに近い形になるのも、それが人員削減(公務員削減)に手を付けているからだ。クビを切らずに民間の受け皿を形成するには、様々な妥協が必要になるだろう。そんなことは当たり前のことだ。「民営化」(=公務員の削減)が中途半端なものになるのは、「民営化」がもっとも根本的な歳出削減に繋がっているからであって、その逆ではない。10年かかっても20年かかっても民営化することこそが新しい国家ビジョンに繋がっている。

2005/8/20(土) 午前 11:31 [ ちがう ]

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コメントありがとうございます。私としては(効率化による)歳出削減が国民にとってどれほどの恩恵をもたらすのか甚だ疑問です。「税金の無駄遣いが減るかも」という一面的な見方でなく、民営化によってわれわれが暮らす「社会」がどのように変わるのか、特に市場との関わりの中で広い視野で分析することも時には必要だと思います。単に時論的な問題だけでは済まされません。

2005/8/20(土) 午前 11:45 [ gia*ts*68 ]

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民主党のマニフェスト全32ページの中には、公務員の人員削減という施策は一つもない(警察官を「3万人増員する」という増員計画はあっても)。それでいて官僚の無駄使いを止めさせる、というのが主要な施策になっている。無駄使いをする者のことを官僚と言う。だから本気で無駄使いをなくさせる気ならば、官僚を減らすことが一番の施策なのだ。「民営化」をうたわない民主党に政策的な勝ち目はない。

2005/8/20(土) 午前 11:59 [ ちがう ]

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郵政民営化の議論に限定して考えると、私の想定する公務員というのは、さしあたり郵便局の一般職員(窓口業務や郵便配達など)のことです。民営化により彼らの労働環境はどう変化するのか、そしてそのことが社会にどのような影響を及ぼすのか、そうしたことにも目を向けなければなりません。もちろん官僚の問題も放っておくわけにはいきませんが。

2005/8/20(土) 午後 0:24 [ gia*ts*68 ]

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郵政民営化すると過疎地などが、不安になるというが、かなりのこじつけ理由に他ならない。そんなに不安であるのならば、郵政民営化を可決した際に、その議論を徹底的にしてなくすような術を見出せばよいのでは。民営化は小泉がはじめから言ってきたことだ!郵政族は地盤や組合がうるさく否決せぜる得ないかもしれないが、そういうのもけしからん。

2005/8/20(土) 午後 2:36 [ ちがう ]

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小泉首相は、解散を決めた当日の夜の記者会見で、郵政民営化を反対しながら、公務員を削減するなんてことがどうやって可能なのか、郵便局員を公務員として温存して、どうやって他の公務員を削減しろというのか、これは、単なる1法案の賛否を問うだけの解散ではないのだと解散動機を語った。最近の政治家にはない立派な演説だった。 このことに民主党は何も応えていない。岡田克也民主党党首は郵政民営化だけが解散テーマではないと言い続けているが、なぜ、このテーマに正面切って応えられないのか。逃げているとしか思えない。

2005/8/20(土) 午後 2:58 [ たぬき ]

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私はgiantsさんに賛成です。また、よく指摘されていることですが、現行の郵政公社は独立採算で税金の補填を受けていません。これを民営化しても、税金は削られません。国会では散々議論された点を「ちがう」さんは知らないようです。また、税金の無駄遣いを糾すのであれば、特殊法人の大半を独立行政法人にしてしまった小泉こそ批判されるべきだと思います。郵政民営化でも独立行政法人が新設されます。これは、確実に官僚の天下り先になります。マスコミは誰も言いませんが。たぶん、選挙が終わってから、報道されだすと思いますが。

2005/8/22(月) 午後 2:01 a_r*s*arche*_in*ky*to

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皆さんコメントありがとうございます。郵政問題にとどまらず、最近は何かにつけて「合理化」、「自由化」、「規制緩和」といった政策が採られていますが、日本はこうした市場原理主義の道をこのまま歩んでよいのか、考えさせられます。

2005/8/23(火) 午後 11:35 [ gia*ts*68 ]

研究者の卵としてもうしあげれば、どちらも極論を申してるようですね。民営化するとノウハウをどう伝えるのかという問題がございます。それにだいたい10年近くかかるらしいです。そういった議論もされずに民営化されると問題があります。では民営化しないでいくとどうなるかというと皆様がご存知のとおりです。

2005/11/27(日) 午後 5:17 [ yu_pikkoro ]

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pikkoroさんコメントありがとうございます。民営化問題は大変複雑な問題ですが、民営化すれば何でも良くなるといった単純な「(理論ではなく)思想」が日本で蔓延していることに私は危機感を覚えています。民営化が果たして国民のためになるのか・・・。私は逆に国民を苦しめることになると思いますが・・・。この点については暇な時に改めて、私の考えをブログで書きたいと思います。

2005/11/28(月) 午前 0:24 [ gia*ts*68 ]

そうですね〜おっしゃるとおりです☆民営化が是か非かではなく、道路公団民営化は是か非か、郵政民営化は是か非かってケースバイケースで考えていくべきでしょうね★

2005/11/28(月) 午前 0:41 [ yu_pikkoro ]


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