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朝鮮戦争は、停戦条約という形で一旦収束した。
残されたものは、破壊されつくした国土と、1000万人を超える離散家族の悲劇であった。
日本の植民地支配下から解放されてやっと祖国建設の端緒についたばかりだった両祖国は、解放当時よりも荒廃してしまい、マイナスからのスタートとなった。
54年8月、朝鮮民主主義人民共和国の南日外相が、『在日朝鮮人は朝鮮民主主義人民共和国の公民である』こと『日本の法律を遵守すること』を内容とする声明を発した。
そして、朝鮮と日本の国交樹立を含む諸関係及び、在日朝鮮人の処遇改善について日本と協議を始めた。日本政府は、すでに大韓民国政府との国交交渉を始めていたが、久保田妄言や李ラインをめぐって国交交渉が事実上頓挫していた頃であった。
そのような中で出されたのが、この声明であった。
日朝国交正常化に関する両国議員団共同声明,第一次声明
平壌 1955年10月20日
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議李英議長の招請によつて朝鮮を訪問した日本国会議員団は,一〇月一八日から一〇月二〇日まで平壌に滞在した。
一〇月二〇日朝鮮民主主義人民共和国内閣首相金日成元帥と朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会金●{木へんに科のつくり}奉委員長は,朝鮮訪問日本国会議員団を接見した。
同接見の席上には朝鮮民主主義人民共和国南日外務相が参席した。
日本側からは,日本国会議員団団長古屋貞雄と高津正道,前田栄之助,原茂,長谷川保,佐々木良作,永岡光治,石野久男等の諸氏が参席した。
相互理解と和気藹藹とした雰囲気のなかで行なわれた同接見の席上では,平和と朝日両国間の外交関係の正常化およびその他の朝日両国の関心事となる当面の一連の問題について意見を交換した結果,次のような重要な問題について合意をみた。
一,朝日両国は国交の正常化を実現するため積極的に努力すること。
二,朝日両国は未だ国交関係が正常化されていないといえども,貿易の道をすみやかに開くべきであり,これに必要な代表部を設置するため努力すること。
三,両国間の文化交流は朝日両国の平和と親善の促進のために有益なことを認め,この実現のため両国は努力すること。
四,朝日両国は双方の僑民が自由に自らの本国を往来できるように積極的に配慮すると同時に,国際法上公認された僑民の当然の権利を保障するよう努力すること。
五,双方は朝日両国沿岸の公海で朝日両国漁民の自由な漁労活動を保障するための具体的対策を講究するため努力すること。
一九五五年一〇月二〇日 平壌にて
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議 常任委員会 副委員長 金應基
朝鮮民主主義人民共和国訪問日本国会 議員団 団長 古屋貞雄
日朝国交正常化に関する両国議員団共同声明,第二次声明
平壌 1955年10月29日
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議李英議長の招請によつて朝鮮を訪問した第二次日本国会議員団は,一九五五年一〇月二六日から同一〇月二九日まで平壌に滞在した。
一〇月二七日朝鮮民主主義人民共和国内閣首相金日成元帥と朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会金●{木へんに科のつくり}奉委員長は,同朝鮮訪問第二次日本国会議員団を接見した。
同接見の席上には朝鮮民主主義人民共和国南日外務相が参加した。
日本側からは,第二次日本国会議員団団長帆足計と田原春次,大西正道の諸氏が参席した。
また,この期間,朝鮮民主主義人民共和国政府要人も同国会議員団を接見した。
相互理解に溢れる雰囲気のなかで行なわれたこの会談では,朝日両国の利益に関係する諸問題の題目について率直な意見の交換が行なわれた。
双方は,一九五五年一〇月二〇日調印された共同コミュニケがアジアの平和と安全の保障と朝日両国間の正常な関係の樹立および両国人民の親善と協調を促進させるであろうことを確信しながら,とくに朝日両国の国交の正常化,貿易の開始および貿易関係を発展させるための代表部の相互設置,文化交流の促進,両国僑民に対する国際法上公認された正当な権利の保障,公海上での漁労活動問題等朝日両国間の当面する一連の問題の実践のため積極的に努力することについて合意をみた。
今般の会談では,第一次コミュニケの精神に立脚し,その実現を促進させることについて意見を交換した結果,次のような具体的な問題について合意をみた。
一,朝日両国の国交の正常化のための両国代表団の会談をもつように積極的に努力すること。
二,朝日両国間の相互理解と親善強化を促進させるのに文化交流がもっとも重要な手段であることを認め,一九五六年から次のような措置をとるように努力すること。
ア,芸術代表団,スポーツ団体,科学者,文化人および大学教授等の相互訪問の組織。
イ,新聞記者,特派員等の相互派遣。
ウ,図書,科学技術文献,レコード,映画フィルムおよびその他の芸術作品の相互交換。
エ,両国のラジオ放送機関の相互協力。
三,双方は,朝日貿易商社間にすでに締結された貿易協定の正確な実践とそのさらにいっそうの発展のため努力すること。
四,朝日両国は,隣接した国家であるにもかかわらず,相互経済交流はもちろん,往来の道までもまったくとざされている。このような非正常的な現実を打開し,両国人民,とくに僑民の自由な往来を保障し,直接的な貿易の開始等のため,双方の銀行間の為替協定,民間航空協定等の締結,商船,旅客船等が出入りできる港の開港等のため具体的な対策を樹立すること。
五,日本側は,日本に居住する朝鮮僑民自らによる教育において国際慣例に従い,彼らが朝鮮公民としての民主主義的民族教育をうけるべきであることを認め,そのため各種便宜をはかると同時に,朝鮮民主主義人民共和国の奨学金の給与,不足する朝鮮人教員の補充等の措置に対して協力すること。
六,朝日両国は,相互の書信,小包,電信および電話等の正常的連絡のための協定を締結するよう努力すること。
七,朝日両国は,自国領域内にある双方僑民の遺骨をそれぞれの本国に送還できるように適切な対策を相互に講究することについて努力すること。
一九五五年一〇月二九日 平壌にて
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会 副委員長 金應基
朝鮮民主主義人民共和国訪問第二次日本国会議員団 団長 帆足計
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