ギフテッド のことを考える ブログ

ギフテッドについての勉強ノートです。

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過度激動はギフテッドの特徴を言い表すのにいい言葉です。一つの言葉にたくさんの意味が含まれています。

今回は、SENGのもと会長であるSharon Lindという方の書いた記事を訳してみました。長いので前半と後半に分けてみました。今回は前半です。
以下の記事です。

Overexcitability and the Gifted
(過度激動とギフテッド)

過度激動はギフテッドの主な特徴でありハイリーギフテッドに多く見られること、5つの過度激動の特徴、そしてそれぞれの対策についても書かれています。



過度激動とギフテッド

(Sharon Lind)

数少ないいくつかの研究とたくさんの観察によって、激しさと敏感さ、そして過度激動がハイリーギフテッドの主な特徴であると信じられてきた。これらの観察は親と教師によるものであり、彼らはハイリーギフテッドとそうでない子供の間で行動的にも体質的にもはっきりと区別できる違いがあることに気付いていた。 Kazimierz Dabrowski(1902-1980)は研究の中で、これらの特徴を理解するための優れた枠組みを作った。 Dabrowskiはポーランドの精神科医かつ心理学者である。彼は積極的分離理論を唱え、その時代において盛んであった心理学における学説に対し一つの回答を示した。より高みへ発達するために、利己主義から利他主義の価値感を持つというレベルに到達するために、「何であるか」から「何であるべきか」というレベルに達するために、葛藤と内なる苦悩が必要なことであると彼は信じていた。 Dabrowskiはまた、「すべての人々が高い発達のレベルに行けるわけではなく、生まれながらに過度激動の特徴を持つ者が高い発達のレベルに到達する可能性を秘めている」ということを見出した。すべてのギフテッドやハイリーギフテッドが過度激動の性質を持っているとは限らないということを強調しておきたい。しかしギフテッドには過度激動の性質が平均的な人々より多く観察される。


過度激動

過度激動とは刺激に対する高い反応能力のこと を指しており、 生まれながらの「激しさ」 のことである。 過度激動は創造的な人々やギフテッドの人々により強く表れる。 過度激動は高められた感受性、認識、そして激しさとして表れ、彼らの生活や経験を他の人々とは全く違うものにしている。Dabrowski は 5つの激しさの領域を明らかにした − 精神運動性、感覚性、知性、想像性、感情性の5つである。 人によって一つかそれ以上の過度激動を持っていることがあるが、いくつかの過度激動を併せ持つ人は、現実認識の方法が他の人とは違っており、物事をより強くより多面的にとらえている。 (Dabrowski, 1972)。このように独特な方法で世界を経験することは 大きな喜びをもたらすと同時に大きな欲求不満ももたらす。 過度激動のもたらす喜びや積極的な面は称えられるべきである。 また どのような欲求不満や難点も積極的な面として捉えることができる し、子供の成長の糧となりうるものである。5つの過度激動について以下に述べる。さらにそれぞれの対策の例も示す。その対策は過度激動を持つ者やその周囲の者にとっての心配事や関心事に対して実現可能な解決手段を表している。過度激動をもつ人々の人生を改善させるさらなる戦略や介入を考え出すための跳躍台として使うと良いだろう。


精神運動性の過度激動

精神運動性の過度激動は神経筋構造の高められた興奮性のことである。この精神運動性の激しさによって、活動的かつ活発でいられ(Piechowski, 1991)、動くことそれ自体を愛し、早口でしゃべり、熱心であり、激しい身体活動を為し、行動することを必要とする。(Dabrowski & Piechowski, 1977; Piechowski, 1979, 1991). ある程度の緊張感が存在する下では、強い精神運動性の過度激動を持つ者は止めどもなくしゃべり続け、衝動的に行動し、無作法にふるまい、無意識に行動してしまい、神経症的習癖を見せてしまい、激しい気力を見せ(仕事中毒になる傾向にある)、とめどなく物事を組織立て整頓し、かなり競争心が強くなる。彼らは際限なく熱心に動き続けしゃべり続けることによって多大な喜びを感じるのであるが、それをみた他の者は圧倒されるかもしれない。家でも学校でもこれらの子供はじっとしている様子はない。彼らはずっとしゃべっているかもしれない。周りの大人や仲間は、彼らにじっと座って静かにするように言いたいと思っている。精神運動性の過度激動をもつ子供はADHDと誤診される可能性がある。

精神運動性の過度激動への対策

・日常生活や学校の活動の前、その間、その後に、身体的活動またはおしゃべりするための時間を取っておく。精神運動性の過度激動を持つ者はそうすることを愛しているし、そうする必要がある。活動や行動でもって生活を作り上げよう。

・彼らの身体活動やおしゃべりが周囲に受け入れられるように、周囲を動揺させないようにしよう。いくらか訓練を要することだが、楽しい課題であり皆のためになることである。

・自発的に自由に活動できる時間をつくろう。そうすることが精神運動性の過度激動をもつ者のニーズに合っている。


感覚性の過度激動

感覚性の過度激動は、見る、匂いをかぐ、触る、味わう、聞く、などのことにより快不快を強く経験することである。(Dabrowski & Piechowski, 1977; Piechowski, 1979, 1991). 感覚性のOEを持っている人々は何らかの感覚が入ってくると、平均的な人よりもはるかに広い範囲のことを経験する。彼らは早い時期から音楽、言葉、芸術品などの美しさを高く評価する。そして味、匂い、触感、音、目に見えるものなどから際限なく喜びを得ている。しかしこの高められた敏感さにより、彼らはまた刺激が強過ぎると感じたり、不快と感じるかもしれない。感情が張り詰めているときは、感覚性のOEを持つ人々は食べ過ぎたり、何かを買い漁ったり、または注目を集めることの快感を探し求めたりするかもしれない。(Dabrowski & Piechowski, 1977; Piechowski, 1979, 1991).ほかに、刺激を避けようとする人もいる。感覚的な過度激動を持っている子供は衣類のタグやクラス内の雑音やカフェテリアからの音を気を散らすものとして認識してしまい、学校の課題に集中できないことがある。これらの子供は特定の芸術や音楽を愛し過ぎるあまり、他のことがまったく目に入らないようになることがある。

感覚の過度激動の対策

・可能な限り、不愉快な刺激を与えない環境をつくり、ギフテッドが快適であるようにしてあげよう。

・ふいにギフテッドに注目を集めさせたり、またはギフテッドの作った作品を発表させることで、注目を浴びる 適正な機会を提供しよう。これらの人々は注目を浴びることで周囲に認められたと感じる。

・感覚的な喜びに浸るための時間を与えよう。心を落ち着かせるような環境を作る時間を与えよう。


知性の過度激動

知性の過度激動は、理解と真理を求めたいという欲求として、また知識を得て分析統合したいという強い願いとして表れる。 (Dabrowski & Piechowski, 1977; Piechowski, 1979, 1991). 知性の過度激動に長ける人々は信じられないほど活発な心を持っている。彼らは激しいほどの好奇心を持ち、熱心な読書家であることが多く、通常鋭い観察眼を持っている。長時間集中して知的な努力を続けることができる。その気になれば粘り強く問題解決に当たることができる。緻密に計画を立てることを楽しみ、見たことを細部にわたって非常によく覚えている。理論を愛し、思考することそのものや、倫理・道徳についても考えをめぐらす。倫理・道徳に焦点を当てる傾向ゆえに、倫理・道徳的な問題に関心を持つ。たとえば遊び場での公平さ、他の子を尊重することについてなど。また、大人の問題、たとえばホームレスの問題、AIDSの問題、戦争の問題などについても関心をもつ。知性の過度激動を持つ者はまた、独自にものを考える傾向を持ち、ときに批判的な態度を取り、自分の思考スピードについて来れない人が我慢できない。また、彼らは自分で何か考えて興奮したとき、人の話を遮ってしゃべりだすことがある。

知性の過度激動の対策

・問題に対する答えを見つける方法を示してあげよう。このことは分析統合し理解を求めるのは良いことであるとその子に伝わるし、またその能力を伸ばすことを促す。

・倫理・道徳の問題に興味を持っているならその関心事に対して実行に移す方法を示したり提案してみよう。たとえばホームレスに配る毛布を集めたり、コソボの兵士に手紙を書くなど。このことにより、彼らはたとえわずかでも地域や世界の問題の解決に何か力になれるんだと感じるようになる。

・もし他者に対してあまりに批判的で無遠慮であるときは、自分の言っていることがいかに冷たく失礼に受け取られるかということを分からせてあげよう。たとえば、「それは馬鹿な考えだね」と言うのはたとえほんとに馬鹿げていたとしても、相手に良く思われない。


想像性の過度激動

想像性の過度激動は、想像力の高められた効果である。心に描くイメージと気持ちがよく融合し、イメージと隠喩をよく用いる。発明や空想の才能があり、詳細に心に思い浮かべ、精巧な夢を見る。(Dabrowski & Piechowski, 1977; Piechowski, 1979, 1991).想像性の過度激動に長けた子供は現実と作り話を混同し、自分の作った個人世界があり、想像上の友達がいる。退屈しのぎに作り話を空想する。創造性と想像力よりも固定された学習カリキュラムを優先するようなクラスにおいては、彼らにとって授業のペースに合わせるのは難しいことである。彼らは授業中に講義を聞いたり勉強したりする代わりに物語を書いたり絵を描いたりすることがある。何かをしなければならないとき、頭の中が別の想像でいっぱいになってしまえば、課題を終わらせるのが困難になる。

想像性の過度激動の対策

・想像力のある人は記憶と新たなアイデアが混ざり合って、現実と架空世界を混同する。心のビデオテープにストップサインを置かせることによって、あるいは事実を装飾する前に事実を記述することによって、想像上のものと現実を区別させるようにしよう。

・彼らの想像力を現実世界で機能するように使わせよう。学習に役立つように、生産性が向上するように想像力を使おう。例えば、従来のようなノートを使うのではなく、子供に彼ら自身で系統立てるシステムを作らせよう。


感情性の過度激動

感情性の過度激動は、しばしば親が最初にそれに気づく。感情の過度激動を持つ人は、感情が激しく高ぶることがあり、様々な感情が極端な方向に振り切り、他人の感情をよく察知することができ、強い感情表現をする(Piechowski, 1991)。他の兆候としては、胃痛、赤面するなどの身体的な症状が現れたり、死を恐れたり鬱になったりすることがある。感情の過度激動をもつ人は人間関係というものを非常によく理解している。彼らは場所、人、物に強い愛着をもつ (Dabrowski & Piechowski, 1977)。思いやりがあり、共感でき、人間関係に敏感である。強い感情の過度激動を持つ者は自分自身の感情自体を鋭く認識しており、自分たちがどのように成長しどのように変わっていっているかをよくわかっている。そしてしばしば内的に自問自答を続け、自己を判断することがある。(Piechowski, 1979, 1991). 高い感情性の過度激動をもつ子供は大げさに反応するといって非難されることがある。他人に対する思いやりや関心が強すぎたり、人間関係に執着しすぎたり、感情が激しすぎたりすることで、宿題や料理をつくるなどの毎日の仕事をするのに支障をきたすかもしれない。

感情の過度激動の対策

・どれだけ激しい感情であってもその感情を受け入れる。それほど感情的でない人々にとっては、強い感情性の過度激動を持っている人の感情の激しさは奇妙に見え、芝居がかっているように思える。しかし、もし私たちが彼らの感情の激しさを受け入れて、そして激しい感情の結果として生じるあらゆる問題を処理することに協力するなら、子供は健康的に成長することができるだろう。

・感情の激しい人は、「動揺するあまり自制がきかなくなったり身体的な症状が出ることがある」ということを知らない場合がある。そのような身体的または感情的な反応を予知する術を教え、彼らにそれらに対し備えさせると良い。頭痛、手に汗握る、胃痛など、感情のストレスに対する身体的なサインが認識できるよう協力してあげよう。そのサインを知り、早いタイミングでそれを察知して行動することにより、感情的な状況になったとき上手く対処できるようになり、自制心を失うということはなくなるだろう。



引用終わり。


Sharon Lind女史はSENGのもと会長で、NAGC(アメリカギフテッド児協会)の理事も務めていたことがある人です。

過度激動という一つの言葉に、おそらく何十個というギフテッドの性質が含まれていますね。ギフテッドとは何か、親や本人はどうしていくべきなのかを考えるとき、過度激動とその対策について学ぶことで、様々なことに対処する方法について効率よく学べるのではないかと思います。

5つの過度激動のそれぞれの性質については前回の Carol Bainbridgeさんの記事とかぶっている部分が多いようです。今回はその対策についても書かれてありますね。私も大いに参考にしたいと思います。

「どのような欲求不満や難点も積極的な面として捉えることができる。」という箇所がとくに印象的です。過度激動を、とことんポジティブに捉えるべきであるという強いメッセージを発しているように感じられます。

(今回の引用文は直訳では非常に分かりにくい日本語になってしまう箇所が多かったため、けっこう意訳している部分があります。)


後半はこちらです↓





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うすらぼんやり過ごしていて、あっという間に1月も終わりになろうとしています。こんにちは。更新されていたので、慌ててコメントを。

過度激動、前の記事の方がわかりやすかったかも、ですね。というか、内容は私のことですか?というくらい、私の傾向について書かれていたので。音に敏感で掃除機の音が未だに駄目です。でも、ピアノやヴァイオリンの音の違いはわかります。服のタグも駄目ですべて取っていました。想像上の友達もたくさんいて、彼らの詳細をいくらでも話せます。味覚も違うらしく、同じものを食べても人が普通に食べているものが辛く感じたりして、給食で苦労しました。集中すると体調を壊すので、わざと自分に合わない分野に進学しましたが、やはり集中しすぎて体調を壊しました。ひとつに集中するとほかは目に入らなくなるので、1年近く同じ曲を聴いています。3曲のみ。

とりとめのないことを書いてしまいました。娘を変だなと思って育てていたら、自分との共通点が段々見えてきて、私も変だったんだあ!と今驚いているところなのです。

次の記事、楽しみにしています。 削除

2017/1/27(金) 午前 11:21 [ なのひとママ ] 返信する

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こんばんは、なの人ママさん。
自分にも当てはまるところがあるのですね。
海外のギフテッド記事をネットサーフィンしていますと、子育てのためにいろいろ調べていくうちに自分もギフテッドじゃないかと思い、過去の自分に生じた出来事の意味がわかって感慨深いといった内容の記事をいくつか見たことがあります。

また、SENGのウェブサイトにこんな記事がありました。
The Apple Doesn’t Fall Far from the Tree: Gifted Parents Parenting Gifted Children - SENG(子供は親に似るものだ。ギフテッドである子供を育てるギフテッドの親)
http://sengifted.org/gifted-parents-parenting-gifted-children/

この著者は、「ギフテッド児はギフテッドの親から生まれてくるということは疑う余地がない」とまで書いてありますね。

2017/1/28(土) 午前 10:59 [ GR ] 返信する

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おはようございます。紹介していただいた記事読んでみたいと思います。
恐らくギフテッドの遺伝は、私の父→私→娘二人ときているようです。

さてギフテッドの特徴に、フォトグラフィックメモリとディスレクシアがあるはずなんですが、そんな文章をみたことがありますか?一般的なものとは違うんですが、得意分野でのみフォトグラフィックメモリが働き、苦手分野でディスレクシアのようなんですよね。私は漢字に強いようで日本史の教科書はほぼフォトグラフィックメモリで入っているのですが、世界史はカタカナが多いのでディスレクシアのように文字が入れ替わって見えたりするのです。娘は楽譜を瞬時に読んで初見で両手でいきなりベートーベンでも弾きますが、漢字は横線が何本あるかわからないとか、点が少なく見えたりします。

ふざけているわけではないのに学校生活で困ることが多いのです。 削除

2017/1/29(日) 午前 9:48 [ なのひとママ ] 返信する

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なのひとママさんこんばんは。
フォトグラフィックメモリーもディスレクシアも、今までほとんど知らなかったです。

で、ちょっと先ほど少しだけかじりネットサーフィンしてみました。

・隠れディスクレシア
https://ondyslexia.blogspot.jp/2012/03/stealth-dyslexia.html

上記サイトでは、隠れディスレクシアがギフテッドに多い可能性があると書かれてありますね。

2017/1/29(日) 午後 10:43 [ GR ] 返信する

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・Gifted and Dyslexic: Identifying and Instructing the Twice Exceptional Student Fact Sheet
https://dyslexiaida.org/gifted-and-dyslexic-identifying-and-instructing-the-twice-exceptional-student-fact-sheet/

また上記のサイト(どんなサイトかまだよく調べていません)によりますと、芸術家、数学者、建築分野、物理学者などの空間志向性の職業をもつギフテッドにディスレクシア多いとする研究があるようです。

しかし隠れディスレクシアではなく、ディスレクシア全体がギフテッド人口に多いかどうか、はっきりと書いてある文献は見つけ出せませんでした。
すいません。勉強不足なもので適当なこと書いてるかもです。
ディスレクシアはギフテッドに多いんですかね?また教えてください。

2017/1/29(日) 午後 10:44 [ GR ] 返信する

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おはようございます。まだまだ手探りで、文献を漁るところまでも行っていないのが現状です。
ただ、今のところ頭の中にあるイメージでは、ギフテッドとは、
ディスレクシアをはじめ種々の発達障碍の典型的パターンはないものの、いくつかの特徴を示す高IQの人間
といった形です。
ギフテッドのなかにディスレクシアのような症状を訴える人間がいて、それが隠れディスレクシアだとしても、ディスレクシアが即ギフテッドという訳ではないのです。だからディスレクシアの中にギフテッドは比較的少ないと思います。
上の娘が数学物理が得意な子なので、彼女になぞらえて、もう少し考えてみたいと思います。 削除

2017/1/31(火) 午前 9:37 [ なのひとママ ] 返信する

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