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シータテハ Polygonia c-album hamigera
名前は後翅裏面の「Cに見える紋」に由来する。成虫で越冬するタテハチョウの仲間で
今頃はどこか雪の被らない場所で休眠しているはずだ。山沿いの住宅地に下りて来た
個体は、暖を求めて屋内のどこかで眠っているかもしれない。記録を見ると早い年には
4月下旬に目覚め、5月に入ってピークとなり、6月いっぱいまで生き延びるものもいる。
課題は他の越冬タテハ同様、いつ交尾するかということ。市内では秋に結構個体数が
多い割に交尾場面を見たことがない。越冬前か、越冬後か・・・秋の花に雌雄が同時に
訪れる場面をよく見るが、吸蜜に夢中で相手には無関心・・・ひょっとすると性的の未熟
なのかもしれない。秋型♂の縄張り行動が弱いのも、そのことを類推させる。
9月になって羽化した秋型は、初雪が降るギリギリまで花や腐果、獣糞などに
来るのが見られる。夏型に比べると、翅の切れ込みがより深くなり、裏面は閉
じるとさらに枯葉のように見える。鳥などへの天敵対策の結果かもしれない。
市内ではハルニレとオヒョウが幼虫の食べ物のようだ。カラハナソウ(クワ科)も
食べるという。このトゲを持った幼虫と成虫のギャップには、いつもながら驚く。
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立春を過ぎたのにまだ寒い日が続いていますね。西日本や北陸では大雪に。
札幌は底を打った感じですが・・・まだまだ気が抜けません。
まだ葉を残していたのはヒッコリー。こんな樹木があるのは最近知ったのですが
スキー板の材料などに使われるようです。日本にはないクルミの仲間の木ですが
ここにあるのは、やはり明治の「円山養樹園」の名残りでしょう。オニグルミは裸に
なっているのに・・・この木の特徴なのか、たまたま今年だけなのか・・・?
左に寄り添っていた一本は倒れてしまったようですが・・・もう一本は枯れては
いないようです。風の関係もあるのかもしれませんが離層が発達しないような
性質なのでしょう。いつまで頑張るのか・・・経過観察が楽しみです。
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ジョウザンシジミ Scolitantides orion jezoensis
国外ではユーラシア大陸の中・高緯度地域に広く分布するが、国内では
北海道限定で、しかもどこにでもいるわけではない。なぜだろうか・・・?
道内の分布を見ると、黒松内低地帯以南の渡島半島や道北の宗谷地方には
生息せず、北緯43度〜44度の帯状地域に発生地が点在する。札幌市内でも
その姿が見られるのは貴重だが、発生地が南区の山沿いに限定されるのは
幼虫の食草(ベンケイソウ科の仲間)と深く関係していると考えられる。
定山渓に向かう途中、右手に独特の姿の山が見える。観音岩山(通称・八剣山・498m)。
堆積岩を貫いた安山岩がむき出しになっている。多様な植物や昆虫が見られるほかに
山頂からの眺望がよく人気の山だが、山頂付近の足場が悪く滑落事故が絶えない。
支笏湖火山群の噴火による火砕流で古豊平川がせき止められ、大きなダム湖の
ような湖(古藤野湖)があったのではないか・・・・という説がある。だとすると、上の
地図のブルーの部分(高位河岸段丘)まで水没していたのではないだろうか?
岩場に張り付くようにエゾキリンソウが生えている。これがジョウザンシジミの食草。
エゾキリンソウが生育するのは、上で見てきたような露岩地。よってジョウザンシジミも その周辺に限られる。海底に噴出した溶岩が固まり隆起して風化した結果の環境・・・・
そこに氷河期に北回りで進入してきたジョウザンシジミが今も生き延びていることになる。
こうした環境は人には経済的な価値が少ないため放置される一方、安全面からしばしば
被覆工事が行われて生息地が失われる懸念がある。
手元に10cm四方の小さな本がある。『ジョウザンシジミ』(HTBまめほん・1992年)。
ジョウザンシジミに魅せられた著者(小山弘昭氏)が、長年観音沢に通って観察・
飼育した結果の集大成・・・その生態解明もさることながら、半世紀以上前の札幌
の自然環境描写が随所に記され、自然の豊かさが失われつつあることに警鐘を
鳴らしていて興味深い。小さなチョウが消えても問題ない・・・それこそ問題だろう。
沖縄名護の選挙は「美ら海」を保全する立場から見れば残念な結果だったが・・・・
長い目で見れば、これから。施設が無用の長物となっている未来の姿が見える。
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ジョウザンミドリシジミ Favonius taxila
ゼフィルス(ミドリシジミ族)と呼ばれるシジミチョウの仲間で、♂の輝きは
「森の宝石」の例えにふさわしい。市内ではミズナラやカシワがある森や
山沿いの都市公園でも普通に見られる。ただ、小さいことや活動時間が
朝方中心であることから、この美しい「隣人」になかなか目がいかない。
「ジョウザン=定山」は、札幌の奥座敷と呼ばれる定山渓(温泉)に由来
する。明治から大正にかけ、札幌農学校が日本の昆虫分類学を牽引して
いた頃、中心にいた松村松年博士らが頻繁に調査に通っていた関係で、
今も「ジョウザン」の名前がつく昆虫は多い。さらに「定山」とは明治初期に
アイヌの案内で温泉を発見、開発した僧・美泉定山にちなむ。
ミドリシジミ族には、よく似た種がいて野外での判別はなかなか難しい。
慣れると♂の輝きが微妙に違うし、裏面の地色や後翅裏の橙色紋の
違いも判断材料の一つになる。年によって発生数に変動はあるものの
今は絶滅の心配はないようだが・・・宝石が見られない森はつまらない。
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昨日も真冬日でした。これで10日あまり続いています。
視線を感じた先にいたのは、雪ダルマならぬ「雪ウサギ」のようでした。
耳に使われていたのはオオウバユリ、目や口は何でしょうか・・・?よく
できたオブジェ。寒い中でのこんな楽しみも、今のうちでしょうね。
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