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人はいったい何歳まで、その記憶をさかのぼることができるのだろうか?
ある昆虫学者が、次のように述懐している。
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「ずいぶん幼いころのことでも、強い印象は鮮やかに残っているらしい。
私には1909年(明治42年)7月の大阪の北区の大火や、次の1910年5月の
ハリー彗星の記憶がある。それが人からきいて作りあげた心象でなく、
たしかに自分の視覚によることは、後で調べて明らかになった。1909年と
いえば私は満3歳で、当時天下茶屋に住んでいて、彗星の時もそうであった が、棟割長屋の2階の中窓から籐寝台にあがって、北の夜空を恐怖でふる
えながらながめた情景を、はっきりと再現することができる。」
(『昆虫学五十年−あるナチュラリストの回想』より)
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ハチ類の比較習性学に多大の業績を残し「日本のファーブル」と呼ばれる
岩田久ニ雄さんの回想である。3歳の時の「恐怖の体験」が残っていたのだ。
人は何か強烈な体験をしたときに、より鮮明に記憶に留めるのだろう。それが
身に危険を及ぼしかねないようなものだったならば、なおさらだろう。「二度と
そんな目には遭いたくない」と学習して、先の人生に生かそうとするはずだ。
その一方で、不思議な体験、楽しかったことも記憶に残る場合もあるようだ。
私は、岩田さんほどにさかのぼることはできないが、5歳の春に見た光景が
今も鮮やかによみがえる。私たち家族は当時、南高グランド隣りの家に間借
りして住んでいた。世話好きだった父親は野球部の練習を買って出ていた。
その父に連れられて練習を見ているうちに、芝生がすり切れた裸地にいくつ
もの小さな穴があいているのに気づいた。何匹かの小さな虫がやってきて
あっという間に飛びこんだ。何者か・・・草の茎を突っ込んだりしているうちに、
その何者かは飛び出していった。
その不思議な体験は、その後ずっと記憶の底に沈んでいたが、学生時代の
ある日、一冊の本に出会い、その何者かの正体を知ることになって、一気に
幼児の記憶がよみがえることになった。それは、『ハチの家族と社会』。そうか、 これだったのか・・・
巣穴から顔を出すコハナバチの仲間 (2009年7月・札幌市円山で撮影)
あの日の体験から虫に興味を持ち始めたようだ。小学生になって野外に出歩くようになると
母親も後押しした。というのも私の記憶にはないのだが、3歳の頃に小児マヒ(ポリオ)に罹った
ようで左半身にマヒが残った。母親は少しでも回復するようにと野外での運動に理解を示した。
虫はどうでもいいようではあったが、ねだられるままに当時では高価な図鑑を買ってくれたりも
した。図鑑をながめていると、自分で採集したいという欲が出てくる。夏休みともなると、連日あち
こちに出かけるようになって、そのせいもあってか次第にマヒは消えていった。
最初の関心はチョウに向き、ずっとコハナバチに出会うことはなかったが、その習性を知ると
見えていなかったハチたちが見えてくる。意外にもあちこちに巣の集団(コロニー)があることが
分かってきた。コハナバチの生態については、著者の坂上昭一さんの功績で大方解明されて
いたから、それを追認するのも面白くない。次第に興味は他のハチ類に向かっていった。
北大植物園のホクダイコハナバチの巣 (2012年5月撮影) 坂上さんは、北大植物園でホクダイコハナバチなどのハナバチの継続的な調査を続けた。
大都市のど真ん中で、巣数・個体数はどのように変動するのか。先の著書には1967年から
1990年までの変遷が示されているが、その後の記録はない。植物園での存続の可能性を
信じながらも、減少・絶滅を危惧していたが、それから20年余経った2012年でも多くの巣が
見られたことを天国の坂上さんに報告しておきたい。
岩田久ニ雄 『昆虫学五十年−あるナチュラリストの回想』 中公新書・1976年
坂上昭一 『ハチの家族と社会−カースト社会の母と娘』 中公新書・1992年 |
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2013年01月18日
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年が明けてしばらく降雪がなかった札幌ですが、先日少しまとまって降りました。
とは言っても、近郊の地域の豪雪から比べればたいしたことはありません。
いつものことながら、つららが発達。やはり軒下は危険です。
小さな川、というか用水路ですが、すっかり雪に覆われて流れが見えません。
北海道大学の農場、一面の雪原です。
幹線道路沿いの歩道です。通学路では優先的に除排雪が行われていますが・・・
このように除雪だけ行われて、排雪されていない道路もたくさんあります。
(2013年1月中旬・札幌市西区・北区で撮影) |
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