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「虫の虫」は、「虫に熱中する人」の意味だろう。虫好き、特にゾウムシ
好きで知られるご本人にぴったりの造語かもしれない。「虫の虫」が、
日本に果たしてどれくらいの「個体数で分布」しているのか分からない
が、外国と比べると相対的に多かったのは間違いない。多様な自然
環境が身近にあり、虫愛ずる伝統が引き継がれてきた証しだろう。
しかし、高度経済成長で列島改造が進み、身近な自然が失われてい
くのと並行して「虫の虫」も消えていく。かつては、ほとんどの高校に
生物部があって何人かの「虫の虫」がいた。それが1980年代以降だ
ろう生物部は消えていき、高校での「虫の虫」は絶滅危惧種(ほぼ
絶滅)となった。たまに出会うと珍種扱いで思わず愛でてしまう。
養老さんの本は、初期の頃のものからつまみ読みしていたが、本業?
の解剖や脳の話から死や墓、虫の話まで幅広いものの、その根底に
ある「養老史観」は一貫しているなと思っていた。その一部を分かりや
すく集大成させた「バカの壁」が馬鹿売れしてできたのが鎌倉の「虫御
殿」なのだろう。
先日の「爆問学問」でも紹介されていたが、壁一面に並ぶ標本箱は壮
観だ。そんな氏も傘寿が近いという。順番なのは仕方がないことだが、
この膨大な「情報」がどう処理されるのか、されないのか・・・余計なお
世話かもしれないが何だか気になる。海外流出となれば、この国の文
化予算・レベルの貧しさを改めてさらすことになる。
本は、ラオスでの虫採りのドタバタ日記かと思いきや、随所に養老史観が
散りばめられていて、帯にあるように「自然と向き合えば、答えは見えてく
る」ように思う。それだけ自然とかけ離れた生活になっているということへ
の警鐘だろう。ラオスの山奥まで行かなくとも、国内の足元にはまだまだ
注目すべき自然はある。それでも付録?のDVDでテングアゲハの雄飛
が見られるだけでも十分な価値はあるものと思う。
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2016年02月28日
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