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ジョウザンシジミ Scolitantides orion jezoensis
国外ではユーラシア大陸の中・高緯度地域に広く分布するが、国内では
北海道限定で、しかもどこにでもいるわけではない。なぜだろうか・・・?
道内の分布を見ると、黒松内低地帯以南の渡島半島や道北の宗谷地方には
生息せず、北緯43度〜44度の帯状地域に発生地が点在する。札幌市内でも
その姿が見られるのは貴重だが、発生地が南区の山沿いに限定されるのは
幼虫の食草(ベンケイソウ科の仲間)と深く関係していると考えられる。
定山渓に向かう途中、右手に独特の姿の山が見える。観音岩山(通称・八剣山・498m)。
堆積岩を貫いた安山岩がむき出しになっている。多様な植物や昆虫が見られるほかに
山頂からの眺望がよく人気の山だが、山頂付近の足場が悪く滑落事故が絶えない。
支笏湖火山群の噴火による火砕流で古豊平川がせき止められ、大きなダム湖の
ような湖(古藤野湖)があったのではないか・・・・という説がある。だとすると、上の
地図のブルーの部分(高位河岸段丘)まで水没していたのではないだろうか?
岩場に張り付くようにエゾキリンソウが生えている。これがジョウザンシジミの食草。
エゾキリンソウが生育するのは、上で見てきたような露岩地。よってジョウザンシジミも その周辺に限られる。海底に噴出した溶岩が固まり隆起して風化した結果の環境・・・・
そこに氷河期に北回りで進入してきたジョウザンシジミが今も生き延びていることになる。
こうした環境は人には経済的な価値が少ないため放置される一方、安全面からしばしば
被覆工事が行われて生息地が失われる懸念がある。
手元に10cm四方の小さな本がある。『ジョウザンシジミ』(HTBまめほん・1992年)。
ジョウザンシジミに魅せられた著者(小山弘昭氏)が、長年観音沢に通って観察・
飼育した結果の集大成・・・その生態解明もさることながら、半世紀以上前の札幌
の自然環境描写が随所に記され、自然の豊かさが失われつつあることに警鐘を
鳴らしていて興味深い。小さなチョウが消えても問題ない・・・それこそ問題だろう。
沖縄名護の選挙は「美ら海」を保全する立場から見れば残念な結果だったが・・・・
長い目で見れば、これから。施設が無用の長物となっている未来の姿が見える。
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