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今年は行く先々で、トラフシジミ(春型)の姿が目立ちました。
トラフシジミ属の仲間は、どちらかというと東南アジアに多いようで、
その姿は何となく熱帯の蝶の雰囲気です。この属の仲間では、最も
北まで分布するのが日本のトラフシジミのようです。何らかの原因で
寒い地域の気候・植生に適応したのでしょう。幼虫はフジ・クズ・クサ
フジなどのほか、ハリエンジュも食べるようです。また、バラ科なども
利用するなど「広食」の性質が北まで進出している理由のひとつかも
しれません。好き嫌いがないことはいいことなのでしょうか?
本州などでは安定して夏型が発生しているようですが、札幌では
必ず姿を現すわけではありません。その年の天候などの条件に
左右されるようです。今年はどうなるでしょうか?
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札幌のチョウ
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今日は30℃近くまで上昇する予報。夏の虫たちの登場も本格化しそうです。
ミヤマカラスアゲハ夏型が吸水していました。
陽が陰ると翅を開きました。羽化したばかりのような♂です。
雌雄の区別は、翅を開くとよく分かります。♂には黒い毛のような
「性標」があり、♀にはありません。鱗粉が変化した発香鱗でしょう。
「香り」で♀を引き寄せているのかもしれません。
2014年はカラスアゲハの仲間などチョウ類の姿が多く見られた
年でした。今年はどうでしょうか? 春型の姿が多かったので、
ちょっと期待しています。集団吸水の光景は圧巻です。
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ある目的で、久しぶりに常次沢(つねじざわ)を歩いてみました。
発寒川上流(左股川)にある常次沢は、かつては昆虫が豊かな
場所でした。それは多様な植生によるものでした。同時に一定の
開発によりできたオープンランドは昆虫の移動を可能にしました。
ここまで来ると、さすがにハリエンジュなどは入り込めないようで、
ハクウンボクやハルニレ、オヒョウ、ミズナラ、オニグルミなどの
在来樹が多くなり、植樹されたカラマツも見られます。1969年に
ここであるチョウの調査(共同研究)が行われましたが、当時の
植生とあまり変化がないように見えましたが・・・
大きく変わっていたのは採石場ができたことでした。土曜日にも
かかわらず、ひっきりなしにダンプなどが行き交い、そのたびに
砂埃が舞い上がります。定期的に散水しているようですが・・・・・
効果はどうでしょうか? 50年ほど前に行われたのはAraschnia
属のチョウ(サカハチチョウとアカマダラ)の実態調査でした。
その調査の記録によればサカハチチョウ(78)・アカマダラ(29)が
確認されました。サカハチチョウとアカマダラは、同属のよく似た種
ですが、アカマダラは国内では北海道固有で、札幌市内では近年
激減しているといいます。本当にそうなのか・・? 50年前に多数の
記録がある常次沢を訪れたのは、それを確かめるためでした。
結果はアカマダラどころかサカハチチョウの姿もありません。他の
チョウなどの虫の姿も少ない。植生に大きな変化がないとすると、
やはり採石による環境悪化でしょうか? ただ、サカハチチョウが
まだ見られるのに、アカマダラだけが消えていくのには別の理由が
ありそうです。夏型が出る時期に、もう一度調べてみます。
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リンゴシジミが近年札幌のチョウの新メンバーに加わりました。
リンゴシジミ・・・ユーラシア大陸に広く分布するチョウですが日本
では北海道限定です。明治時代外国人によって日本新記録として
発表されました。その後、1919年に松村松年博士が北海道亜種と
として記載しました。それ以降、生息しているのは石狩低地帯より
東の地域だけでしたが、近年になって札幌に分布を拡大しました。
リンゴシジミが石狩低地帯を越えて札幌にやって来たのはいつの
ことでしょうか?1982年6月に大倉山で採集された記録があります
から、少なくともその頃でしょう。それ以降各地で毎年のように確認
されていますから、定着したと見ていいでしょう。進出した理由は?
その理由のひとつに、やはり幼虫の食樹があるでしょう。エゾノウワ
ミズザクラやシウリザクラを食べていたのが、植栽されたスモモや
ウメを食べ始めたようです。札幌のスモモから幼虫が見つかって
います。石狩低地帯の開発でナンテンハギを食草とするアサマシ
ジミが絶滅する一方で、増えるチョウがいることは興味深いです。
理由はともあれ、珍しかったチョウが身近に見られることはうれしいことです。
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低木の白い花が満開になって、たくさんの虫が来ていました。
調べてみるとコデマリ(小手鞠)(バラ科シモツケ属)のようです。
中国原産で古くから庭木など観賞用として植えられてきたといい
ます。ただし北海道では早くても明治期以降でしょう。たくさんの
ハナバチや蝶が来ていましたが、蜜を吸う虫たちにとって在来か
外来かは関係ありません。蜜源が豊富になることはマルハナバチ
には好都合でしょう。一方、ある蝶にも影響を与えた可能性が・・・
フタスジチョウがコデマリを食樹としたようです。ここでは毎年
安定して姿を現します。コデマリがなかった明治以前にはおそ
らく在来のシモツケの仲間を食べていたのでしょう。コデマリが
やってきて選択肢が増えました。他の蝶でも、このような例は
多いものと思います。人の好みと虫との関係が見えてきます。
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