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日中は融けて、夜になると凍る。このくり返しの今日この頃。幹線道路は
アスファルトが見えていますが、中小路はザクザク、ガチガチの状態です。
北海道大学近くの緑地・自転車が埋まっていた(3月8日)
同上・まだまだ雪が多く残る。
ところで、3月8日は、「ミツバチの日」だそうだ。3と8の語呂合わせからの
「記念日」のようだが、先日こんな日があることを初めて知った。養蜂業者か
ハチミツ生産者団体? によるものだろうか。ほかにも虫にまつわる日が
あるのかないのか調べてはいないが、何か経済活動に関わる虫でないと
こんな「名誉」は与えられないだろうから、どうもなさそうな話だ。
人とミツバチの間には長い歴史があり、紀元前のエジプト文明の時代には
すでに飼養されていたという。そのミツバチ、近年の「異変」が話題になった。
ある日突然、巣箱のワーカーの多くが「蒸発」したり、大量死したりするという
現象(蜂群崩壊症候群)で、「いないいない病」などとも呼ばれたりした。
この現象の原因は何か? ウィルス、栄養失調、ストレス、過労働など多くの
説が唱えられているが、本当のところはよく分かっていないというのが現状の
ようである。地域によって原因が異なる、あるいは複数の原因が重なるとの
可能性も指摘されている。いずれにしても業者には打撃だし、消費者には
不安の材料となる。
日本には野生種のミツバチ(ニホンミツバチ)が元々いるが、より多くの蜜が
採取できるセイヨウミツバチが導入された。今飼養されているのは、ほとんど
がこの「外来種(移入種)」。外来種といえば、生態系に影響を与えるというの
で駆除の対象となることが多いが、ミツバチはそうはなっていない。
ミツバチ移入は、元々は採蜜のためのものだったが、今ではハウスでの授粉
に重点が移り、欠かせない存在になっている。北海道の有名ブランドのメロン
栽培には不可欠な昆虫だ。ただ、授粉対象の花の中には、蜜をほとんど出さ
ないものもあるから、ハチにとっては「偏食」になりかねず、「ストレス」の原因
の可能性もあるかもしれない。
最近は、都市養蜂も見られる。市内でもビルの屋上に巣箱を設置し、ブランド
化(蜜を菓子に使用など)を狙っている。あのビル群の中でどれほどの蜜源が
確保されているのか・・・そこそこの採蜜ができているということは、心配ないと
いうことだろうか。ビルの屋上から飛び立って、都市公園で働くハチたちを想像
すると、やれやれという気持ちになる。
セイヨウミツバチのワーカー(札幌市三角山で) |
随想・虫のつぶやき
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3月になって寒さがゆるんできました。その分、屋根に積もった雪などが落下する
危険があります。今年の冬は、こうした事故が多かったような気がします。
窓を覆ってしまった落雪(西区発寒で)
湿って固められた雪を除くには、重機が欠かせない(西区発寒で)
「虫めづる姫君」の続きです。この当時、平安貴族の娘の身だしなみのポイントは
3つでした。眉・歯・髪です。眉毛を抜き、お歯黒をつけ、髪をできるだけ長くして
端を切りそろえるのが常識でした。しかし、この「虫めづる姫君」、眉毛は黒々と
して毛虫のように毛深く、歯は真珠のように真っ白で、髪は長いもののボサボサ。
さらに、人目に触れぬように御簾の外に顔を見せない常識も気にしませんでした。
すべてに型破りの姫でしたが、覗き見たイケメンたちには「さっぱりとして美しく、
気品がある。化粧をすればもっといいのに」と評価は上々でした。毛虫好きを除い
ては・・・ヘビのオモチャや手紙(和歌)を送って気を引こうと言いよるイケメンたち
でしたが、「余計なお世話よ」と言って相手にしませんでした。
この物語に登場する姫、よく読むと思春期に入ったばかりの、今でいう中学生くら
いの年齢のようです。女性としての意識が芽生え、周囲の目も気になり始める年
頃でしょう。中学生になっても虫に関心を持ち、おしゃれに興味のない女の子・・・
やはり「変わり者」だったのでしょうか。子どもたちと野外観察などに出かけてみる
と、虫に興味を示すのはむしろ女の子です。低学年のうちは手づかみしても平気
な場合が多い。それが学年が進むにつれて「キャー」という反応を示すようになる。
やはり周囲の目を気にしてでしょうか。どうも「女の子は、こうあるべきだ」という
社会的な圧力が働いて「ぶりっ子」を演じているような気もします。「人間も自然の
ままがいい」という、この姫の姿とは対照的です。
そこで気になるのが、この物語への評価、さらには作者の意図です。単に変わり
者の姫(病気だったとの説も)を好奇の目で見たというもの、昆虫の変態に光を
当てた当時としては先駆的で科学的なものだとするものなど、様々です。今とな
れば推測の域を出ませんが、ほぼ同時代の「源氏物語」や「枕草子」との比較で
のヒントはありそうです。紙や墨が高価だった時代に、あれだけの長編を書き続
けるためには、それなりのスポンサーが必要でした。「源氏物語」や「枕草子」と
同様に、何らかの政治的な意図があって書かれた(書かされた)ものと推測でき
ます。それが具体的に何だったのかは分かりませんが、「あんな高貴な家に、
変わった姫がいるよ」といったたぐいのスキャンダルだったのかもしれません。
この物語には、おそらく実在の人物がいて、その姫がモデルとなったことでしょう。
それにしても、1000年近くも前に、初めて見る虫に名前をつけ、その化身の様子
に心を寄せる女性がいたこと、それをきちんとした対比で描かれたことは驚きで
好感が持てる物語でした。現代の「虫めづる姫」、どれほどいるのかなぁ・・・
エゾシロチョウの幼虫(西区の住宅街で) マイマイガの幼虫(東簾舞で) カレハガの仲間の幼虫(三角山で)
ハバチの仲間の幼虫(東簾舞のオオイタドリで)・これは単独性のハチの幼虫です。 |
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もう2月も終わりますが、今年は寒かった印象です。札幌市内の積雪は
それほどでもありませんが、まだまだあちこちに雪の山ができています。
琴似本通りの様子です。
煤けた雪が残っています。
「虫めづる姫君」、「堤中納言物語」の中にある、この短編、皆さんも聞いたことが
あるでしょうね。平安時代末(12世紀中頃)の成立といわれています。さる高貴な
御方(京都の藤原一族との説も)の娘が、大の虫好きで周囲を困惑させたという
のです。それほどの虫好きの姫君、どんな虫を愛でていたのでしょうか?
虫といっても様々です。平安貴族の間では、ホタルは初夏の、「こおろぎ」などの
鳴く虫は秋の風物詩でした。さらに隣りの屋敷には「蝶めづる姫」もいたようです。
このように貴族の間では古くから様々な虫に関心を寄せ、目や耳などで楽しんで
きました。でもこの物語に登場する姫君は、ちょっと変わっていて毛虫が大好き
だったというのです。今でも「何でまた?」ということになるでしょうね。
その姫が言うには「皆は花よ蝶よと言っているけど、その蝶だって元はこんな姿
なのよ。化身する様子から物事の本質を知ることが大切」だというのです。そんな
一風変わった姫君の噂は広まり、ある日、一目見ようと、さる貴族のイケメンの
御曹司たちがやってきます。それとは分からないように女装して。姫君は折しも
子どもたちに虫を採らせて庭に出ているところでした。さて、姫君を見たイケメン
たちの反応は・・・? この物語、なかなか奥が深いテーマを含んでいた。(つづく)
シンジュサンの幼虫、これは「毛虫」とは言わないかもしれない。(札幌市三角山で)
カシワマイマイの幼虫。これは「毛虫」と呼んでもいいかもしれない。(定山渓夕日岳で)
1000年前の姫は、どんな「毛虫」を愛でていたのだろう。おそらく蝶・蛾の区別はなかったと思うが。 |
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「イソップ寓話」に登場するこの話、皆さんよくご存じのことでしょう。
古代ギリシャで生まれて世界に広まり、日本にも安土桃山時代に
宣教師の手で伝えられました。ただし、このときは「アリとセミ」でしたが。
初冬のある日、飢えたキリギリスが食物を分けてほしいと、
アリたちの所にやってきます。
アリ1 「あなたは夏の間、何をしていたのか。」
アリ2 「なぜ冬に備えて食物を貯えておかなかったのか?」
キリギリス 「歌うのに忙しくて、そのひまがなかったのです。」
アリ3 「夏に歌って過ごしたなら、冬は踊って暮らすことだね。」
そう言って、アリたちは取り合いませんでした。
この話には、別の結末もありますが、その意味については別の機会に譲る
として、ともかく、「怠け者のキリギリス」に「働き者のアリ」という描き方です。
「働かざる者、食うべからず」ということなのでしょう。果して、そうでしょうか?
ご存じのように、キリギリスが歌う(鳴く)のはオスだけで、必死にメスを求めて
アピールしているのです。「歌って遊んでいる」わけではありません。それが
オスの「仕事」ですから「怠け者」のレッテルは不名誉でしょう。
一方、「働き者のアリ」にも根拠はありません。多数が忙しそうに歩きまわって
エサを探す様子が、そのように見えるのかもしれませんが、実際には「働か
ないアリ」が多いことが分かってきました。また、巣にエサを運びこむのも、
冬越しに備えた行動ではありません。
まぁ、「寓話」ですから、あまり目くじらを立てる必要はありませんが、
それぞれの虫の生活を知ると、また違った面が見えてくるものです。
財政破綻をめぐるEUの状況が緊迫する中、「アリのようなドイツ人」と
「キリギリスのようなギリシャ人」などと表現して、その原因を国民性に
求める論調が見られますが、これは二重の意味で適当ではないことが
分かります。それぞれの風土、生活のしかたが違うのは当たり前であって、
私たちの国を含めて、やはり今の政治の無責任、大企業や金融機関の
無節操に目をつぶるわけにはいきません。
(写真は、札幌市内の3種のアリ類、上からクロヤマアリ・クロクサアリ・ムネアカオオアリの行動を撮影
したもの。文章はある機関紙に連載したものに加筆した。)
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年寄りほど外で仕事?
あ〜ぁ、疲れちゃったわ。ちょっとひと休み。妹たちのエサ集めも
結構たいへんなのよ。今日はとくに暑いしね。
えっ、わたし? コアシナガバチ。「小脚長蜂」って書いたら分かるかしら。
スズメバチのお姉さんたちとは親戚なの、似てるでしょ。くびれたウエストが
格好いいって? 「蜂腰」っていうみたいね。
でも、こう見えても、わたし、もう歳なの。いつの間にかおばあちゃんに
なっちゃったわ。だから外での仕事は、よけいに大変。人間の寿命は、
ずいぶん延びたみたいね。70歳はまだ若いし、80歳でも元気な人は
たくさんいる。わたしたちの巣の近所のおばあちゃんは、米寿だって。
わたしたちの歳は、「年齢」では表せないの。だって、ひと夏の命だもの。
だから「年齢」ではなく「日齢」。生まれて(羽化して)から何日たったかって
数える。わたしは、そろそろ40日目。平均寿命を超えたわね。
わたしたちの社会では、若い時は巣の中での仕事(育児・巣の維持)、
歳をとると巣の外での仕事(巣材・餌集め)になる。「日齢分業」っていうん
だけど、若い人が外で働く人間の社会とは逆のようね。
巣の中はみんなで守っているから比較的安全だけど、巣の外は危険が
いっぱい。この前なんか、危なくクモの巣に引っかかるところだった。だから、
まだ先の長い妹たちに危険な仕事はさせられないの。へたに外役して
もらって命を落としたら、巣全体の損失でしょ。
えっ、年寄りに冷たい社会だって? いやいや、わたしたちは何とも
思ってはいない。それがわたしたちの社会のしくみ。その「本能」で長い
年月を生き延びてきたんだから。今は、これが最適の方法だと思ってる。
最近、人間の社会では、お年寄りに冷たいことばかりって聞いたけど、
本当かしら。「ババァ発言」なんてのもあったみたいね。「後期高齢者」
なんていう言葉は、どうなったのかしら? 人間の社会でも、わたしたちと
同じように、「年相応の分業」はあるはずよね。お互いに違うしくみだけど
これからもずっと、この地球で、いっしょに生きてきけるはずよね。人間は、
わたしちにはない「知恵」を持ったのだから。
(ある機関紙から依頼・掲載されたものに加筆した。)
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