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コヒオドシ Aglais urticae connexa
原則として山地のチョウで、市内の平地で見ることは稀。ただ越冬前には
低山地に下りてくることもあり、円山(標高225m)にも現われることがある。
道南では稀になり、本州ではいわゆる「高山蝶」のような分布を示す。市内
では一度にまとまった数を見ることはないが、大雪山系のお花畑で多数が
群れることがあるという。「ヒメヒオドシ」と呼ばれたこともある。
上の円山の個体を見ると、翅などがかなり傷んでいるように見える。7月に別のより
高い場所で発生したものが、越冬場所を求めて下りてくる途中で、自慢の「緋縅」が
かすれてしまったのだろう。7月の円山で新鮮な個体を見たことがない。
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野蝶百景
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コツバメ Callophrys ferrea
早春、まだ雪が残る近郊の低山地を歩くと足元から飛び出す小さなチョウ。
越冬タテハを除けば、もっとも早く姿を現すチョウのひとつだ。年1回春だけ
発生することから、「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれる。まだ
まだ寒い日があるせいか、体を傾けて日光浴する姿がしばしば見られる。
「小さいツバメ」の意味だろうが、どこに着目したのか? よく分からない。
翅を開いて止まることは稀なので、表の青い色を野外で見ることは難しい。
吸蜜植物が少ない時期・・・よく利用しているのはフキノトウのようだ。翅の裏が
全体に黒っぽく、やや毛深い印象を受けるのは、寒さ対策の結果かもしれない。
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コチャバネセセリ Thoressa varia
その姿から、見慣れないと蛾では?と思われる場合も多いセセリチョウの
仲間。基本的に年1回、6月下旬から姿を現し、7月が発生のピークになる。
8月には生き残りだけになり9月に見たことはない。暖地では2回発生する
場合もあるようだが、市内では今のところ年1回で固定している。2回発生
する潜在能力があるなら、今後「温暖化指標」の蝶として注目される。
各種の花で吸蜜するほか、獣糞に集まったり、集団で吸水することもある。
別属のオオチャバネセセリやイチモンジセセリに似ているが、よく観察する
と斑紋などが異なるほか、見られる時期がわずかにずれる。コチャバネ→
オオチャバネ→イチモンジの順に遅くなり、出会う機会も同順で少ない。
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コキマダラセセリ Ochlodes venatus
北海道では水平・垂直とも広く分布し、札幌市内でもよく見かけるセセリチョウ
だが、道外ではそうでもないようだ。6月下旬から姿を現し、ピークは7月にあり
8月いっぱいまで生き延びる。年1回の発生だと考えられるが・・9月になっても
新鮮な個体が見られる年があるようだし、10月中旬に新鮮な♂を確認した年も
ある。海外では複数回発生するようなので日本の個体群にもその潜在能力が
あって、条件次第では2回目があるのだろう。温暖化が原因かもしれない。
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ゴイシシジミ Taraka hamada
名前は裏のユニークな模様(碁石状)に由来するが、その生態も他に例を見ない。
多くのチョウの幼虫が「草食」なのに対して、この幼虫はまったくの「肉食」!・・・・
ササに付くアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)を捕食する。アブラムシを捕食
するチョウの幼虫は他にもいる(例えばムモンアカシジミ)が・・・・・幼虫期を通して
肉食なのはゴイシシジミだけ。蝶の長い進化の歴史の中で、何が起きたのか?
独特の生態から、いつでもどこでも見られるチョウではない。出会いはむしろ偶然だ。
ただし発生地では多数が弱々しく飛び回るから、翌年もいるはずと思って出かけると
姿がない・・・まさに神出鬼没。それでもどこかで命をつないでいるはず。どうやって
アブラムシを追いかけているのだろうか? 競争相手がいない食性は生存に有利に
はたらく反面、極端な特化は危うい面もある。アリとの関係はどうだろうか・・・?
アブラムシと仲良しのアリにとって、ゴイシシジミの幼虫は憎き敵!のはずだが・・・
その関係についての具体的な観察例はない。ひょっとすると、甘露を与えてアリを
騙し手なづけているのかもしれない。アブラムシを食べてくれる点では、人にとって
ありがたい存在かもしれないが、ササは人にとって利用価値は少ない。
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