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カラスシジミ Fixsenia w-album fentoni (Butler 1882)
北海道全域では普通に見られるシジミチョウの仲間だが、本州などでは
局地的で数も少ないようだ。食樹のハルニレやオヒョウの分布と関係して
いるのだろう。市内では2013年と14年に大発生したが、15年・16年には
ほとんど見られず、2017年はやや回復傾向にあった。1994年と95年にも
市内で大発生したことがあったようで、ハルニレから地面に落下した終齢
幼虫の寄生蝿による寄生率を調べた結果、94年が27.8%、95年が73.8%
だったという。(永盛俊行ほか『完本 北海道蝶類図鑑』2016年)
大発生した年の寄生率は興味深い。寄生者にとって、通常その対象を探すのは
困難だと想像される。もし狭い範囲でまとまって発生すれば、次々に産卵できて
「楽勝」だが・・・宿主がいなくなっては元も子もない。微妙なバランスなのだろう。
回復するのに約10年かかるなら、次の大発生は2024年ということになる。
羽化直後と思われるが、付近にハルニレはない。駐車場空地にアズキナシが
あって、ひょっとするとこの木で発生したのかもしれない。ただ、その後は見ら
れず偶発的な発生だったのだろう。大発生後も「細々と」命をつないでいる。
種名の「W」は、後翅の白い紋(帯)に由来すると思われ、亜種名の「fentoni」は
明治初期に北海道で蝶を採集したイギリス人英語教師フェントンにちなむ。
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野蝶百景
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カラスアゲハ Papilio bianor
ミヤマカラスアゲハとともに大型の美しいアゲハチョウ。春と夏に年2回
現われるが、市内では夏型はミヤマカラスアゲハに比べて少ないように
思う。ただ今年のように夏に大発生する年もあり、ビルやコンビニ周辺を
飛ぶ姿に驚くこともある。幼虫時期の気候条件などで左右されるのかも
しれないが、よく分からない。幼虫の食樹はキハダである。
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カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas
北海道特産種と言いたいが、なぜか津軽海峡を越えて青森県の一部にもいる。
あまり例のないこの分布パターンは、昆虫では「ブラキストン線」が意味を持たな
い例のひとつだが、自然分布か人為分布なのか?興味深い。また南下進出中
なのか、北上後退中なのか・・・長い目で見ないと分からない。
国外では朝鮮半島・中国東北部・沿海州(?)・サハリンなど「周日本海分布」を
示す種のひとつだと思うが、その環は本州の大部分・四国・九州で欠けている。
タイプ・ロカリティーは函館付近(七飯町?)とされているが、だれがいつ?採集
したものなのか・・幕末に開港された箱館にいたイギリス人関係者かもしれない。
維新前後の騒動を横目に「淡々と」チョウを集める外国人は、当時の人々にどの
ように映っただろうか?明治初期に北海道を採集旅行したフェントンらにも奇異の
眼差しが向けられたが・・・その採集品に、このチョウは見当たらない。
クサフジやヒロハクサフジ、ナンテンハギやシナガワハギなどの食草の関係だろう
開けた草地周辺が生息地となる。市内で見ているのは、河川沿いの草地、山沿い
の空地、自然度の高い公園など・・・定期的に手入れされている環境では安定して
生き延びているが、放置されれば草木が茂り生きていけない。その意味では、ある
程度の人手を必要とするチョウのひとつかもしれない。準絶滅危惧種の所以か?
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オナガシジミ Araragi enthea
ゼフィルスと呼ばれるミドリシジミ族の仲間だが♂♀ともに翅表は「ミドリ」
ではない。オニグルミを唯一の食樹とし、発生地の周辺をあまり離れない。
年による発生数の変動が大きく、最近の市内では2013年・14年には多数
発生したが、15年・16年にはほとんど見られず、17年はやや回復傾向に
あった。他の一部のチョウでも見られる増減だが、原因はよく分からない。
また属名の「アララギ」は「イチイ=オンコ」の別名だと思うのだが、オナガ
シジミとどう結びつくのか・・・命名者(柴谷篤弘氏?)にしか分からない。
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オナガアゲハ Papilio macilentus
道内で見られる唯一の黒いアゲハチョウで、数は多くないものの札幌市内でも
毎年安定して姿を現す。ただし、見られるのは5月下旬〜6月の春型が中心で
盛夏に見る機会は多くない。おそらく基本的に年1回の発生で、その年の天候
などの状況によるのだろう。今夏、見る機会が多かったのは暑かったせいかも
しれない。温暖化が進めば、札幌でも安定して2回発生すると注目している。
雌雄の区別は比較的容易。♂には上のように「蛍光塗料」のような部分がある。
♀へのアピールなど求愛行動に関係するのだろうが、なぜこの部分なのか・・・
よく分からない。♀は花に来ることは少なく、なかなか撮影できる機会がない。
おそらく林内の食樹のツルシキミ周辺を離れず、あまり出てこないのだろう。
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