以下は、2013年5月16日、米国務省報道官であるジェン・サキ(Jen Psaki)報道官(女性)と、日本の朝日新聞記者のタカシという男性の間で行われた、定例会見における一問一答(原文)を全訳したものである。朝日新聞をはじめ、各種報道では橋下氏の発言を、サキ報道官が「言語道断」「不快」「侮辱的」などと批難したとされているが、真相はどうか。報道に漏れた箇所も含め定例会見の全容を把握すること各自で真相を判断していただきたい。原文QUESTION: Hi, my name is Takashi from Japanese newspaper Asahi. Osaka City Mayor Hashimoto recently made a comment on the so-called “comfort women” issue, arguing that even though it is unacceptable from the moral perspective value, but the comfort women were necessary during the war period. And he also argued that it is not fair that only Japan is criticized by the United States and other countries, because there are other country military that were provided sexual service by prostitute. And do U.S. has any position on his comment or criticism against the United States?
MS. PSAKI: We have seen, of course, those comments. Mayor Hashimoto’s comments were outrageous and offensive. As the United States has stated previously, what happened in that era to these women who were trafficked for sexual purposes is deplorable and clearly a grave human rights violation of enormous proportions. We extend, again, our sincere and deep sympathy to the victims, and we hope that Japan will continue to work with its neighbors to address this and other issues arising from the past and cultivate relationships that allow them to move forward.
QUESTION: Do you describe this issue sex slave or comfort women?
MS. PSAKI: Again, I don’t know that I’m going to define it. You kind of laid out the specific details there, and we have described this issue in the past as comfort women[ii].
[ii] Rather than focusing on the label placed on these victims, we prefer to address the fact that this was a grave human rights violation of enormous proportions. The United States is also committed to working with our partners and allies around the world to denounce modern-day slavery and trafficking in persons no matter where it occurs. 翻訳質問: 日本の朝日新聞のタカシです。橋下大阪市長が最近いわゆる“従軍慰安婦”について発言し、倫理的価値観からは許されないことであっても、従軍慰安婦は戦時中は必要なものだったと述べています。同氏はさらに、他の国でも売春婦による性的奉仕が提供されていたため、日本のみが米国その他の国から非難されるのは不公平だと主張しました。氏の発言について、また氏の米国に対する批判について、何か貴国としての見解はありますか?
サキ報道官: 当然ながら、そのような発言があったことは承知しています。橋下市長の発言は常軌を逸した侮辱的なものでした。以前からも主張しているように、合衆国にとって、その時代に性的目的で女性の人身売買が行われたことは痛嘆すべきことであり、とてつもなく深刻、かつ重大な人権侵害であることは明白であります。我々は、その被害者たちに対し心から深い同情を申し上げるとともに、日本については、この問題またはその他の過去の問題について、近隣国との取り組みを継続し、前進を可能にする関係を構築すること望みます。 質問: この問題では「従軍慰安婦「性奴隷」どちらの表現を使用されるのでしょうか?
サキ報道官: 定義を行うかは決めておりません。ご質問の中で子細を説明されているようにも思えます。我々は過去、この問題について「従軍慰安婦」という表現を用いております[ii] 。 |
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2013年05月17日
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[1]
以下は、国内外の報道でとくに問題視されていると思われる議会報告書の本編の一部、「第一章 最近の動き」の同時《要約》メモツイートを文章形式に起こし直したものである。起こし直す段階で、文字数制限のあるツイートとは異なる内容に一部修正されている。〔原文データ〕
【原文】CRS報告書『日米関係をめぐる論点』(2013年5月1日), pp.5〜7. 第一章 最近の動き1.安倍自民党の復権
自民党の先の衆院選での圧勝は「民主党への拒絶」であり「自民党の支持」ではなかったとするのが通説。2007年以降、衆参両院を制した政党は皆無で、安倍政権は参院選までは改憲など過激な政策は推進しないとの見方が支配的。4月半ばに行われた世論調査で安倍政権の内閣支持率は65%以上を記録したが、支持の理由は経済政策によるものが大きい。
2.TPPと安倍の経済政策
日本政府側は7月のラウンドから参加することを望んでいる(過去の報告書R42676を引用[1])。安倍のデフレ政策は、主に震災復興に伴うインフラ整備のため1220億ドルの景気対策を実施したが、幾ばくかは経済に寄与したとしても国の借金を増やすことにも繋がる。2013年2月1日実施された米牛肉に対する輸入規制の緩和はTPPに参加する障害を取り除いたと評価できる。
[1] William H. Cooper and Mark E. Manyin. CRS Report R42676,
3.尖閣諸島を巡る中国との領土問題
尖閣諸島は日本が管理するが中国と台湾が領土問題を主張している。国粋主義的な石原都知事による購入を防ぐため、日本政府が尖閣諸島を民間から購入した結果「国有化」問題が現状を不安定化させ日中の貿易関係に影響した。2013年4月、中国外務省が尖閣諸島を『核心的利益』と主張し、中国はこの問題では譲歩しない見方が支配的。
その後、日中は空海両面で軍事的対立を深め、事態の更なる深刻化が憂慮される。すでに尖閣をめぐり日中両軍によるスクランブルの応酬や中国海軍によるレーダー照射事件があった。合衆国は問題について「中立」であり続けているが日米安保第5条の適用を再確認している。米政府高官は戦争関与を避けるため日中双方に自重を促している。
尖閣は日本の重大な安全保障問題であり、海洋での衝突は日本が長年脅威と捉えたきた中国の軍拡の「顕在化」である。同時に尖閣の事態は日米安保が堅持され日中開戦時でも米国が日本を守ることの確信に繋がった。中国の軍拡に対処し、部隊運用面では自衛隊の南西方面の部隊を増強する必要性がある。また海上自衛隊と海上保安庁との間に明確な役割分担に関する指針や連携する体制が整っていないことが指摘されている。
4.歴史認識問題の再燃
安倍の高い支持率は2013年の春を通じて堅調だったが、同時に周辺諸国との関係に支障を来す様々な問題が浮上した。4月には3人の閣僚を含む168人の国会議員が靖国神社を参拝。議員らは英霊に敬意を示しただけと主張。韓国と中国は従来のように「戦時中の侵略行為に対する自責の念のなさの表れ」と批難。
さらに同月、安倍は国会で「村山談話」を踏襲しないとことを表明。談話は発表以降全ての政権によって踏襲されたきたもので、第一次安倍内閣でも踏襲された「日本の最も公式な戦争謝罪だと考えられている」。安倍は国会で村山談話を“そのまま”踏襲することはせず、“侵略”の定義については“確立された定義はない”と発言。2年後の2015年、日本の“敗戦”70周年記念日に、より“未来志向”の新談話を発表することで村山談話を更新する意向を表明した。これを受けて韓国政府は閣僚級会合を中止し、議会は安倍の発言と、靖国参拝を批難する決議を全会一致で採択した。日本国内では合衆国政府が一連の発言について非公式に懸念を伝えたと報じられたが、安倍は靖国を参拝することは控え外交関係に支障を来す歴史問題には踏み込まないことを強調した。 以上
【免責事項】この要約メモは「完全版」ではあっても「翻訳」ではありません。あくまで読書しながら報告書の内容を咀嚼して要点のみを書き上げた「要約」の集大成です。一語一句が報告書通りではないので、その旨予めご了承ください。 |
以下は、国民の重大な関心事と思われる議会報告書の本編の一部、「第三章 同盟問題」から、1.普天間移設問題」について行った同時読書メモツイートを文章形式に起こし直したものである。起こし直す段階で、文字数制限のあるツイートとは異なる内容に一部修正されている。原文は文字数制限を超える分量なのでこの際全文は記載しないが、とくに報道で触れられている箇所や日本国民として重要と思われる箇所については原文を日英併記し、太字で強調してある。〔原文データ〕
【原文】CRS報告書『日米関係をめぐる論点』(2013年5月1日), pp.15〜16. 普天間基地移設問題[28] 沖縄における海兵隊基地の問題は長年、日米の同盟関係を悩ませてきた。問題の包括的な解決には至ってないものの、日米両政府は同盟関係のコアからこの問題を切り離すことに成功した。合衆国が8,000人の海兵隊及びその家族をグアムに返還する代わりに、名護市辺野古沖のキャンプ・シュワブに新しい海兵隊基地を建設を求める2006年のグアム移転協定は、これまで在日米軍再編の中核的計画に位置付けられていた[29]。当初から問題があったこの計画は、2009年に鳩山由紀夫が首相に就任してから日米の摩擦の大きな要因となった。鳩山が選挙公約として、“移設に反対する”(oppose the relocation)と表明したためだ。最終的に鳩山や民主党の後継者らは計画を受け入れたが、地元の反対と日本政府側の不手際により、計画は実現不可能になったものと見られていた。
2012年4月、在日米軍再編問題の障害を取り除くべく、日米両政府は海兵隊のグアム移転と基地移設の進展を“切り離す”(de-linking)ことに合意した。また沖縄住民の負担軽減のため、約9,000人の海兵隊員とその家族を国外の施設に移転するとした。移転先にはグアム、ハワイ、そしてロテーション先としてオーストラリア、その他の施設が挙げられた。関係者はこの合意をアジアにおける米軍の態勢を"地理的により分散し、運用面でより抗堪性があり、かつ、政治的により持続可能なもの"(more geographically distributed, operationally resilient, and politically sustainable)」[30]とする目標に合致しているとして評価した。在日米軍基地返還計画の工程表によれば、2020年半ばまで、土地の大半は地元当局に返還されないだろうとみられる。
The official timeline for the reversion of U.S. base territory back to Japanese control indicates that substantial amounts of land will not be turned over to local authorities until the mid-2020s. この合意の表明の後、現行計画を「非現実的、実行不能、かつ拠出不可」[31]と共同で表明していたカール・レビン、ジョン・マケイン、及びジム・ウェッブら上院議員は声明を発表。当時の国防長官レオン・パネッタに対し、「議会の承認を得るまで、新たな基地配置計画案は最終計画とは捉えられない」とする書簡を送った[32]。
After the announcement, Senators Carl Levin, John McCain, and Jim Webb, who had together criticized the realignment plan as “unrealistic, unworkable, and unaffordable,” wrote in a letter to Defense Secretary Leon Panetta, “No new basing proposal can be considered final until it has the support of Congress.” グアム建設計画の肥大化するコストやアジア太平洋地域における米軍の態勢の不透明さに不安を持つ議会は、2012及び2013年会計年度における軍事建設計画のための資金を承認するそれぞれの国防権限法(P.L.112-81及びP.L.112-239)においてその資金の拠出を完全に凍結した。国防権限法におけるこの凍結により、計画に対する一定の根拠と再評価が得られるまで、承認された資金及び日本政府が拠出した軍事建設計画のための資金をグアム移転協定の実施を目的として使用することが禁止された。2013年4月、上院軍事委員会は日本を含む海外における米軍の軍事プレゼンスに係わる費用を再検討する報告書を発表[33]。報告書は普天間基地の移設を「依然として実現性が低い」と評価し、その費用及び期間は国防総省が現行計画に基づいて試算を遙かに超えるであろうと結論付けた。
The report found that relocation of the Futenma base remained “unlikely” and that it would cost far more and takelonger than the Department of Defense currently projects. 日本側にも多くの重大な障害が横たわる。地元沖縄の反対は硬化する一方で、新基地計画に関わる全ての主要な政治家が現行計画への反対を表明しているからだ。2012年夏に実施されたMV-22オスプレイの普天間基地への配備は、周辺住民に安全上の懸念を生じさせ、同年末に米軍兵士らが行った一連の犯罪行為が地元の反感を更に強めた。過密した都市部における外国軍隊の存在について、何十年もの間沖縄住民に鬱積してきた不満は薄まる気配がない。
The grievances that the Okinawans have harbored for decades seem unlikely to fade, driven by the presence of foreign troops on a crowded urban landscape. 現在の問題には、沖縄県と日本政府との間の根本的な緊張関係が反映されている。すなわち、国全体が米軍の安全保障の恩恵を受けるなかで、沖縄住民のみが不釣り合いな負担を背負っているという認識である。
The current controversy reflects a fundamental tension in the relationship between Okinawa and the central government in Tokyo: while the entire country reaps the benefits of the U.S. security guarantee, Okinawans bear a disproportionate burden. 2012年4月の日米合意により普天間基地の改修計画が発表されたことで、基地固定化の可能性が強まったという疑念が生じた。この件に関し2013年のSASC(上院軍事委員会報告書は、日本側が計画実施に十分に貢献できるのか懸念を表明している[34]。
The April 2012 announcement that the U.S. and Japanese governments will undertake long-deferred repairs on Futenma raised suspicions that the base will remain indefinitely, and the 2013 SASC report expressed concerns that Japan’s contribution was in question. 〔脚注資料〕
[28]詳細は、エマ・チャンレット=エイヴリー及びイアン・E・ラインハート著. CRS議会調査局報告書CRS Report R42645, "The U.S. Military Presence in Okinawa and the Futenma Base Controversy"(沖縄における米軍の軍事プレゼンスと普天間基地問題)を参照。
[29]この協定に基づき、第三海兵遠征軍(III MEF)のおよそ半数がグアムの施設に移転され、大規模な土地が日本に返還される。日本政府は推定100億ドルの費用のおよそ60%を負担することになっていた。数年間に及ぶ交渉の末、日米両政府はより人口密度の少ない辺野古沖のキャンプ・シュワブに決定した。
[30] “Joint Statement of the Security Consultative Committee,” State Department Media Note, April 26, 2012,. [日本語版]日米安全保障協議委員会共同発表(2012年4月26日)
[31] “Senators Levin, McCain, Webb Call for Examination of Military Basing Plans in East Asia,” Press Release from Senator McCain’s office, May 11, 2011.
(上院議員ジョン・マケイン事務所プレスリリース. "レビン・マケイン・ウェブ上委員議員ら、東アジアの軍事基地配置計画の再検討を要請"(2011年5月11).
[32]“Senators Levin, McCain and Webb Express Concern to Secretary Panetta Regarding Asia-Pacific Basing Tuesday,”Press Release from Senator Levin’s office, April 24, 2012.
(上院議員カール・レビン事務所プレスリリース. "レビン・マケイン・ウェブ上院議員ら、アジア太平洋における基地配置計画についてパネッタ国防長官に懸念を表明,"(2012年4月24日). .
[33][34]Committee on Armed Services, United States Senate, Inquiry Into U.S. Costs and Allied Contributions to Support the U.S. Military Presence Overseas, April 15, 2013.
(連邦議会上院議会軍事委員会. "海外における米軍の軍事プレゼンスを支える同盟国の貢献と合衆国の負担に関する検討," (2013年4月15日). .
以上
【免責事項】この読書メモは「完全版」ではあっても「翻訳」ではありません。あくまで読書しながら報告書の内容を咀嚼して書き上げた「メモ」の集大成です。一語一句が報告書通りではないので、その旨予めご了承ください。但し、重要と思われる箇所(太字箇所)については適宜ピンポイントで正確な翻訳を心がけている積もりです。 |
以下は、国内外の報道でとくに問題視されていると思われる議会報告書の本編の一部、「第二章 日本外交と日本関係」の中から、「序論」(※ただし原題なし)「1.安倍と歴史認識問題」の第1部と第2部「従軍慰安婦問題」迄の同時翻訳読書メモツイートを文章形式に起こし直したものである。起こし直す段階で、文字数制限のあるツイートとは異なる内容に一部修正されている。原文は文字数制限を超える分量なのでこの際全文は記載しないが、とくに報道で触れられている箇所については原文を日英併記し、太字で強調してある。国内外における報道では、この一部の箇所について、その文意は大まかに伝えながらも、正確な文脈を伝えようとする努力がなされていない。そこで、この問題箇所について翻訳読書メモを作成した。〔原文データ〕
【原文】CRS報告書『日米関係をめぐる論点』(2013年5月1日), pp.5〜7. 第二章 日本外交と日米関係序論
日米関係は広範かつ、根の深い、安定した関係であるが、日本の政治的硬直によりその真価を発揮できずにいる。2006年以降、日本ではほぼ毎年首相が代わり続けている。日本のこの政治的傾向は合衆国にとって、長期的視野に基づく計画を共同で行うことが困難であることを示し、オバマ政権が掲げるアジアの再均衡を目指す『太平洋の基軸』(Pacific Pivot)戦略において信頼できるパートナーが得難い現状を示しているといえる。日米両国は、台頭する中国や北朝鮮の脅威に対応すべく関係を維持している。実務レベルでの協力は堅牢で、中国や北朝鮮の挑発行為により連携は強化されたとすらいえる。沖縄問題など困難な諸課題は依然残るが、ミサイル防衛などの安全保障分野では自民・民主両政府ともに進展があった。2011年3月に行われた日米共同の災害対処は、両国にとって同盟の根源的な強さの明瞭な証となった。
先行きが不透明なのは、安倍首相がこの関係の舵取り役としてその役割を適切に果たし得るかだ。
It remains uncertain how Prime Minister Abe will fare as a steward of the relationship. 安倍は、日米同盟の強力な支持者であり、合衆国の利益に適った安全保障戦略をいくつも打ち出している。安倍は、民主的な友好国との関係を強化しており、オーストラリアやインド等と安全保障上の関係も構築しようとしている。
しかし一方で、合衆国の利益を損なう恐れのある周辺国との不和が生じるような問題に関し、安倍が外交課題の舵取りをうまく出来るのかという点については疑問が残る(以降の項で詳述)。
On the other hand, Abe faces questions about his ability to steer foreign policy away from divisive regional issues that could hurt U.S. interests. (See section below for discussion.) さらに、日本国内の政治的分断は、合衆国が優先事項として掲げる環太平洋戦略的経済連携協定TPPの諸条件への合意(「経済問題」の項で詳述)や、より深化した軍事協力の実現(「同盟問題」の項で詳述)を難しくしている。首相就任から4か月が経過した安倍の支持率は依然高い。だが、多くの政策課題に関する決定は2013年7月の参議院選挙の結果に左右されるであろう。
安倍と歴史認識問題
約1年の任期で終えた2006〜2007年の任期中、安倍は国粋主義的な美辞麗句や、国防や安全保障に間してより勇ましい姿勢をとることで知られていた。その一つである平和憲法の改正、すなわち集団的自衛権の行使を可能にすることは、日米の軍事協力を高めたいと考える米国政府関係者の間では歓迎されていた。しかし、その他の言動で安倍は、大日本帝国によるアジア諸国への迫害や侵略が行われたとする通説を拒絶するという歴史修正主義的な観点に与している。安倍は、日本が植民地支配の宗主国又は戦時中の大国として不公平に批難されていると主張するグループと関わりを持っていた。この『日本会議』と呼ばれるグループは、日本が東アジアの解放者であり、極東軍事裁判は不法な裁判であり、南京虐殺は誇張もしくは捏造であると主張することで知られている。歴史問題は長きに渡り日本と周辺国、とくに日本の戦時中の占領行為や好戦性に憤る中国と韓国との関係を歪めてきた。国粋主義的なことで知られる政治家や、時により極端に国粋主義的な主張を行う政治家を任用していることからも、安倍の閣僚人事にはこれらの歴史観が反映されているとみられる。
Abe’s selections for his Cabinet appear to reflect these views, as he chose a number of politicians well-known for advocating nationalist, and in some cases ultra-nationalist views. 前政権の民主党は、日本の過去についてより互譲的な視点を持ち、韓国や中国との歴史問題の傷を癒やそうと試みた。 朝鮮半島併合百周年に当たる2010年8月、時の首相の菅直人は植民地時代の韓国人への扱いを詫びる談話を発表し、韓国から収奪された歴史的文献や伝統工芸品を返還する旨を申し出た。民主党の指導者は政権を奪われるまで、戦死者と共にA級戦犯が数人祀られている靖国神社の参拝を控えた。2000年代のはじめ、自民党の小泉純一郎首相がこの神社を参拝した時、日中韓関係は深刻に拗れた。2013年4月、現閣僚3名を含む大勢の国会議員が参拝を行い、中韓の強い抗議を呼んだ。安倍が靖国を参拝したのは、自民党総裁選出後、首相選出前の2012年10月が最後だった。多くの識者の間では、安倍の政権復帰は周辺国との問題を再燃させ、地域的な貿易統合の動きを乱し、合衆国と同盟国との安全保障上の関係を損ない、中国との関係をさらに悪化させる恐れがあると懸念されている。
Many analysts say that Abe’s re-ascension to the premiership risks inflaming regional relations, which could disrupt regional trade integration, threaten security cooperation among U.S. allies, and further exacerbate already tense relations with China. 安倍は、国会で第三勢力となった極端に国粋主義的な新勢力「日本維新の会」の圧力にさらされている。一方で、安倍は前期首相時代に中韓との関係を修復しており、一部の識者の間では実用主義的な政治家と評価されている。首相就任以来、安倍は野党時代に行った、尖閣諸島に文民を配置することや、韓国に実行支配されている独島・竹島に対する日本の主権を主張するための「竹島の日」の設定などを訴える一連の主張を繰り返していない。また中国との関係はこれまで以上に悪化しているが、韓国の新政府には特使を送りこみ、関係が深刻に悪化するのは避けられる見通しを示した。
従軍慰安婦問題
いわゆる“従軍慰安婦”(1930〜40年代の間に日本が占領・植民地化した複数のアジア諸国で日本帝国軍が使用した性奴隷)に関する安倍の発言は、周辺国、及び2007年の下院決議により批難の対象となっている。安倍は政府として、1993年に発表された慰安婦問題について公式に謝罪する談話を見直す可能性を示唆しており、これは確実に、日本と韓国その他の国との関係を悪化させるとみられる。かつて安倍は、「慰安婦たちは軍に強制されていない」とする、日本の多くの右派が行う主張を支持していた。
首相を務めた2006〜07年の間、安倍は、被害者への謝罪と軍の責任を認める内容で時の官房長官・河野洋平が発表した公式な声明、1993年の“河野談話”の有効性について疑問を呈した。しかし、下院議会(合衆国第110議会)において、日本政府に対し、“若い女性を軍事売春に強制したことを公式に認め、謝罪し、かつ、歴史的責任を認めること”を求める決議121が検討されると、安倍は主張を和らげ、談話を踏襲する姿勢を見せた。その後、下院は同決議を圧倒的多数で可決した。当時の官房副長官・下村博文は談話を見直す動きを主導している。下村は、今次内閣で文部科学大臣に任命されている。
このいわゆる“従軍慰安婦”の問題は、在米の韓国系アメリカ人の活動家グループにより合衆国でその問題が広く認識されるようになった。これらのグループの活動は、被害者を悼む記念碑の建立や、ニューヨーク州上院議会における同問題に関する決議の採択、そしてニューヨーク市のクイーンズ区の道路の名称を被害者に捧げることを促すことに成功した。また報道によれば、ヒラリー・クリントン前国務長官は国務省に対し、“従軍慰安婦”という歪曲表現ではなく“性奴隷”という呼称を用いるよう指示したという[*]。
In addition, former Secretary of State Hillary Clinton reportedly instructed the State Department to refer to the women as "sex slaves" rather than the euphemistic term "comfort women." 以上
【免責事項】この読書メモは「完全版」ではあっても「翻訳」ではありません。あくまで読書しながら報告書の内容を咀嚼して書き上げた「メモ」の集大成です。一語一句が報告書通りではないので、その旨予めご了承ください。但し、国内外の報道がとくに取り上げている箇所(太字箇所)についてはピンポイントで正確な翻訳を心がけている積もりです。 |
以下は2013年5月15日、日本記者クラブに於いて行われた申?秀駐日韓国大使閣下の離任会見について、後半の質疑応答部分(0:46:24〜)から、とくに報道でとりあげられた発言部分を起こしたものである。尚、この会見の前半部分については、申大使閣下ご本人より、来週頭には駐日韓国大使館サイトに会見原稿が掲載される予定であるという回答をいただいているが、この後半には質疑応答部分については起こされない可能性が多分にあるため、貴重な記録となるかもしれない。日本記者クラブ:
第二問です。フロアの方からも出たんですけれど。日本側の過去の歴史認識について、です。①最近、村山談話等に囚われない発言が安倍首相を始め日本の政治家から繰り返されている現状をどう考えますか。これに関連して、②いわゆる“従軍慰安婦”制度について。橋下大阪市長の発言について、どう思われますか。 【校正前】 赤字が不適当と思われる表現
申大使閣下:
まず、二つの質問をされたと、いう風に思いますが、一つ目は日本の過去史についての認識を政府レベルで表明した“村山談話”についての質問。そして二番目が、最近の橋下大阪市長の軍隊慰安婦に関する発言だと思いますが、まず第一問目の質問にお答えしたいと思います。 【校正後】 青字が主に修正された表現
申大使閣下:
まず、二つの質問をされましたが、一つ目が、日本の過去史についての認識を政府が公式に表明した“村山談話”についての質問。二つ目が、最近の橋下大阪市長の従軍慰安婦に関する発言であった、という風に理解しております。まず第一問目の質問にお答えしたいと思います。 【朝日新聞の報道との比較】
朝日:
日本の指導的な政治家の歴史認識や女性の人権に対する意識が、こんなに貧弱なのかと失望した
実際:「日本の指導者たる政治家が、歴史認識や女性の人権を尊重する意識が、いかにも貧弱であるっていうことを感じて、失望感を覚えました。」 朝日:
日本の新聞の投稿欄や社説を読めば、良識ある市民たちが、(橋下発言を)どう受け止めているか分かる
実際:「読者投稿ですとか、社説、SNSの反応等を見ますと、良識のある日本の国民が橋下市長の発言をどのように受け止めているのかを明らかに示されている、と思います。」 朝日:
一般国民の考えとかけ離れた歴史認識を持つ政治家が、慰安婦の苦痛や、女性の人権といった問題について、もう一度よく考える機会になればいい
実際:「一般国民の考え方と乖離した歴史認識を持っている政治家が、慰安婦の被害者の苦痛と、そして女性の人権という普遍的なテーマについてもう一度考えてみる、そういったきっかけになればと、いう風に思っております。」 朝日:
過去の歴史に対する日本政府の基本的な立場を表明したもので歴代の日本政府は踏襲してきた。これに基づき韓国を含む周辺諸国は、日本との関係を築いてきた
実際:「村山談話”は過去史に対する日本政府の基本立場を表明したものであって、いままで日本の歴代政府はそれを踏襲してきております。」 朝日:
韓日関係の将来に不安定な要因となる。韓国政府は、そうした動きのあるたびに警告してきた
実際:「韓日関係の将来にも不安定な要因を提供することになると思いますので、そのようなことが発生しないことを、そうするように、韓国政府はそのような発言が出る度に警告をしており、そうした方向で進めていきたいと、いう風に思っております。」 |
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