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『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ
気持ちにすれ違いの生じ始めた若い夫婦が、5日間の停電時にロウソクの明かりの下でお互いの隠し事を打ち明け合うという話です。
打ち明けた話は深刻なものではなくちょっとしたことなのですが、その些細な行動の裏には、新婚の時期を過ぎた夫婦の相手を見る少し冷めた目があります。
それを自覚しながらものをいうということは、頭のなかにぼんやりとあった相手への不満や違和感を輪郭のある明確なものにしてしまうのでしょうか。
ゲーム感覚で始めた秘密の打ち明けごっこ。
ところがゲームのつもりは夫だけだったようです。
何を話そうかとわくわくした初日、2日目が過ぎ、ふたりのあいだの溝は埋まりそうに見えたのですが、電気の復旧作業の終わった夜に妻がロウソクを吹き消し、煌々と灯る照明の下で語ったことは?
そして面食らった夫が仕返しに話してしまったひた隠しにしていたこととは?
(実は不倫してたとかじゃありません)
本書はアメリカで育ったインド系の女流作家による短編集で、アメリカを舞台に登場人物がインド系というものが多いです。
どんでん返しのようで表題作もおもしろかったのですが、最後の一文で全編を理解できた『ピルザダさんが食事にきた頃』も良かった。
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