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ロシアは今日も荒れ模様 米原万里
ロシア語の通訳者である著者によるエリツィン政権あたりからソ連崩壊前後までの十数年が書かれています。
前半はロシア人気質を語るにいかにウォトカ(ウォッカ)が重要なファクターであるかをいくつかの小噺を交えて紹介しています。
これがもう抱腹絶倒で、特権階級が潤う賄賂の横行の記述などでさえウォトカが絡んでいるとなると深刻さも半減し、読みながら頭の中では♪酒が飲める、酒が飲める、酒が飲めるぞ〜♪がヘビロテでした。
ウォトカ絡みの小噺も面白かったのですが、何といっても圧巻だったのが酩酊状態のエリツィンがしでかした武勇伝でした。
ただでさえ乱暴者で激昂家。それがもう飲んだとなると周囲の人間を振り回し、一国の指導者としてあるまじき姿を晒したりもするのですが、それはそこ、国民そろって飲兵衛の国ときているので案外好かれていたようですし、なんだか可愛くもありました。
吞み助エリツィンに対し、ゴルバチョフはお酒を制限した途端、人気が落ちたそうです。
キャラ立ちすぎの要人たちが登場し、軽い読み口で進む前半から本作はしだいに激動の政局へと話が変わり、後半のソ連邦崩壊の前夜はシリアスです。
中央集権制を敷く広大な領域の国家ゆえの利点の裏返し部分であえぐ様々な職種の人々の暮らしぶりや、市場経済化の中で倒れゆく強権国家のあり様はお腹を抱えて笑う可笑しさとはまた別のおもしろさがありました。
*「父ちゃん、酔っ払うってどんなこと?」
「ここにグラスがふたつあるだろう? これが4つに見えだしたら酔っ払ったってことだ」
「父ちゃん、グラスはひとつしかないよ」
*世の中にブスはいない。ウォトカが足りないだけだ。
*ロシア人はウォトカのためならどんなことでもする。唯一できないことはウォトカを飲まないことだ。
*アメリカ人は自己コントロールできない人間を軽蔑するが、ロシア人は警戒心を解いて自己をさらけ出し平気で酔っ払うタイプを好む。
♪酒が飲める、酒が飲める、酒が飲めるぞ〜♪はディズニー映画のビビデバビデブ〜が元歌なんですってね。
この本を読んだあとテレビドラマで海辺の別荘のポーチでビール片手にカードゲームに興じる人たちを見ました。何と楽しそうでしょう。
下戸のわたしを不幸者と言った人がいましたが、こういう場面をみると素直にそれを認めてしまいます。
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ぐりさんの更新記事だ。。。
溝口健二は「酒の飲めない奴は、信用できない。」と言いました。
でも、断酒した私から言わせてもらえれば、ダラダラと人に迷惑を掛けてお酒を飲むやつは、だらしないく見えます。やっぱり、自己コントロールできる人が偉く見えますね。
ソビエト連邦の頃のロシアのジョークには、面白いものがたくさんあります。北朝鮮が恐ろしいのは、ジョークさえ言えない処だと私は思う。
2019/7/14(日) 午後 3:38
久し振りにぐりさんの文章を読め、とても嬉しいです。
そして、お陰でこの本の内容を、興味深いと思いました。
私も完全なる下戸なので、絶対に損をしていると思っています。
若い時に無理に飲んで苦しい思いをし、また苦しくなる前のテンション高い陽気さも味わいましたが、面白かったなぁ。
ウォトカかぁ…致死ですね、それは。
ロシア人、おそるべし。
で、ふたつのアカウントで出たり入ったりの混乱で、自分のコメントを読むのも難儀です…。
2019/7/14(日) 午後 6:08
お久しぶりですね、お元気そうでなによりです♪
本を手にとる時間ができたようで、ホッと一息というところなのでしょうか。
どれもニヤリとさせるセンテンスではありませんか。ロシアを隣国や取引相手という目で見ると油断も隙もない謀略国家や冷酷な軍事国家に見えがちですが、ロシア人ひとりひとりと言葉を交わすと、なかなか味のある人々が多いと思います。ドイツ人や中国人と違って、むしろラテンを思わせるようないい加減さにホッとすることが多かったです。ロシア文学の魅力って、その辺りにあるのかなぁ、とか思っております。
最近、平気でウソをつくご近所の立ち居振る舞いにいいかげん辟易させられているので、余計に魅力的に見えました。ワタシも読んでみよっかなー♪
2019/7/14(日) 午後 7:06
←酔ってませんよ
おおお、お久しぶりです。
ロシアといえば、詳しくは書けませんが海老原少尉の話がちいとウケましたw
それにしてもシラフで話すロシア人てプーチン以外あまり見かけませんね・・・
2019/7/14(日) 午後 10:39
> 猫さん
1年以上空けてたのにシレ〜っと更新してみました^^;
「このコニャックは南京虫の臭いがするなどと言うやつをペシミストという。この南京虫はコニャックの臭いがするというやつをオプチミストという」だそうで♪
2019/7/16(火) 午後 8:44
> BACCAさん
ハイ、何とか元気でやっております^^
自分が楽しくお酒を飲めるくちでしたらやっぱり飲めないひとを損してるなと思うでしょう。
いくら好きでもコーヒーでは代わりになるものじゃありませんしね。
ブログのことをわたしも考えてはいますが移行後のことを思うと二の足を踏んでしまいます。ヤフー終了までにたまにはお気に入りさんたちにコメントを入れたいですから。
2019/7/16(火) 午後 8:53
> まつしまさん
お酒にかんする小噺だけでなくロシア人気質を表すものもあり可笑しかったです。
この著者は上手い文章家としても知られているうえに、同時通訳役者として数々の要人たちを間近で見てきているので読み応えがあります。
ぜひご一読を。
2019/7/16(火) 午後 8:59
> ωさん
エビ・・・メッ!
米原万里はすでに故人ですがこの人によるプーチンの人物像を読んでみたかったです。
本書によるとほとんどの重要な会議や会見の際もエリツィンはシラフではなかったということです。日本じゃ考えられない。恐るべしロシア人!
2019/7/16(火) 午後 9:07
お酒もたばこも嗜まない私は嗜む人より少し損をしている
その嗜まない私が肺がんなんってもっと大損の感じです💦
2019/7/18(木) 午後 9:08
> yosikoさん
お久しぶりです!
そうでしたか。。。
そういえば本書に出てくる大酒飲みたちが病気で苦しんだというエピソードはなかったような。。。
2019/7/19(金) 午後 9:07