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あれは、今年の2月のことだ。珍しく発熱した子供を小児科医に連れて行くと、「今年から法律が変わり、ISEEの提示だけではチケット無料の措置を受けられなくなった。」と知らされた。
ISEE(Indicatore della Situazione Economica Equivalente)とは、前年の収入をもとに作成される所得証明であり、低所得者が社会サービスを割安で(もしくは無料で)受ける際に絶対必需と言われているものだ。
また、チケットとは、公立医療サービスを受ける際に支払う負担金であり、救急病院に担ぎ込まれたときと基礎医に診察してもらうとき以外は払わなければいけない。これらの場合も、通院となればチケットを払う必要があり、基礎医が書く処方箋で薬を買ったり検査を受けたりするときも然り。
イタリア、特に南イタリアでは、闇労働が少なくない。雇用主が合法化したくない場合もあるし、被雇用者が合法化を望まない場合もある。後者の場合、合法化されるとISEEの数値が上がり、社会サービスの負担金が増えるからだ。
保育園のママ友達の多くは、闇で働いている。あるカップルの場合、二人で闇労働しているため、そこそこ良い暮らしをしているのに保育料は我が家と同じ月16ユーロだ。ここでは、ある意味、生活の知恵なのだ。
こんな具合だから、シチリアではえせ低所得者が多い。彼らがISEEをフルに利用するため、社会保障費、特に医療分野の公費支出は莫大に膨れ上がり、それが財政危機を招いていることが、公務員をしていた私には容易に想像できる。
だから、新たな制度の導入なのだ。
新制度でチケット無料(又は減額)の措置を受けられるのは、6歳以下の子供と65歳以上の高齢者、失業証明を提示できる失業者、そして年金生活者(受け取っている年金の額によって、減額の割合が異なる。)だ。
措置を受けるためには、まず、ASL(地域医療公社)と提携したパトロナートに行き、証明書を作成してもらう必要がある。
さて、我が家の場合、子供は6歳以下、私自身は失業者ということで、二人ともこの恩恵を受けられる立場にある。
しかし、失業証明をシラクーサに取りに行く(朝6時半に窓口前に並ばなければならない)のは事実上無理だ。身体は丈夫なほうで、医療サービスを受けることもあまりないだろうということで、当面は無しで済ませることにする。
まずは病気で医者や薬の世話になりやすい子供の分を、ということで行きつけのパトロナートへ行くと、担当者は作成不能と言う。何でもASLのメインコンピュータに回線接続したところ、子供の名前が登録されていない(risultato non assistito)ため、まずASLで手続きをするようにと。
ユウキは、パレルモに主治医を持っている。登録されていないなどと言うことがあり得るだろうか?女性連合のフェデリーカは、怪訝な顔をし、Dr.ペッピーノは、「ユウキは外国の名前だから、担当者が打ち間違えたんじゃないか?」と。
そこで、担当者が別人の日に再度行ってみたが、結果は同じだ。痺れを切らしたダニエーラが、他のパトロナートで管理職をしている友人に相談したが、これまた同じ結果に。
こうして、クズマーノ通りにあるASLの本庁に行ったところ、どういうわけか、以前にも増して混んでいる。開庁時間前に行っても、取れる番号は40番台で、2時間待っても10数人しか順番が回ってこない。週1回の午後開庁日は、2時間しか窓口が開いておらず、かといって午前中に行くとなると仕事を休まなければならなくなる。。。渋い顔をするマリーリアを説得して、1度だけ午前中に行ってみたが、ダメだった。
本庁がダメなら出先機関でということで、午後の開庁日に1時間早くあがらせてもらい、ヴィッラビアンカ通りの分庁舎へ行った。この日に取れた番号は、10番代後半で、1時間ほど待って順番が回ってきた。
担当者に事情を説明すると、「子供の名前が登録されていないなどと言うことはあり得ない。現に、ASLのコンピュータには情報が登録されている。」と言う。そして、その画面をプリントアウトし、パトロナートに持って行くようにと。
しかし、その足でパトロナートに行くと、結果は同じだった。住民登録のあるASLがパレルモでないといけないのだという。
医療関係の事業は、州ごとに行われているため、パレルモもシラクーサもチケットの負担額は同じだ。しかし、実際の活動は、各県ごとに組織されているASLが担当している。
新制度が始まったとき、その手続きは、ASLの窓口でやっていたため、大変な混雑になったという。そこで、主なパトロナートと提携し、事務を委託したのだ。このとき、ASLは、提携パトロナートがASLのコンピュータに接続し、申請者の情報を閲覧できるようにした。しかし、それはその地域の情報のみ。だから、パレルモのパトロナートではユウキが登録されていないという結果になったのだ。
ASLで彼の情報を見ることができるのは、ASLのコンピュータが財務省のコンピュータと接続しているからだろう。見ようと思えば、ミラノやヴェネツィアの情報も見ることができるのではないだろうか。
ともかく、この“たらい回し”で分かったのは、私達の住民登録をパレルモに移すか、シラクーサのパトロナートで書類を作るか、だ。
そこで、元夫に連絡し、メリッリで作ってもらうことにした。
こうして医療費無料証明書を手にし、ほっとした私に、元夫は言った。「メリッリのパトロナートの話では、この証明書はシラクーサ以外では使えない可能性がある。」
これまたやっかいな。。。
パスクワの連休明けに小児科医のところへ持って行くと、全然問題ないと言った。事業体が異なっても、シチリア州内で作成されたものなら規則が同じなのだという。救われた!
こうして、チケット問題は2ヶ月かけて解決することができた。たとえ2ヶ月かかっても解決できたことはすごいことだ。こういうところが、他のG8諸国との違いなのは、住んでいる人なら容易に理解できるだろう。
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私が住んでいる街には(も?)たくさんの外国からの人が来ています(私もですが、ね)。多いのは、ロシア人や東欧からの人で、最近、マーシャルの人たちもいるんですが、聞いた話によるとマーシャルの人たちは(も?)税金をごまかして、浮いたお金でいい車に乗ったり、とかいうことをしているそうです。イタリアだけに限った問題じゃないんだなあ、と思いました。アメリカはお金が無い、となると公務員もすぐに首を切られます(私の主人)。とにかく、時間が掛かってもサービスが受けられることができて、よかったですね。
2012/4/12(木) 午後 11:40 [ suika ]
suikaさんへ
アメリカのマーシャル人に相当するのが、ROM(ジプシー)かもしれませんね。彼らは、国籍や住民登録というものがないのかよく分かりませんが、路上で音楽を奏でたり募金を募ったりして生活しています。それが結構良い収入になるらしいです。でも、税金は払っていないようです。シチリア東海岸の某所には、彼らが住む超豪邸があって、光熱水費は払っていないという噂があります。世の中には、いろいろな人がいるんですね〜。
2012/4/13(金) 午後 4:51