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 8000人が殺害されたサラエボ紛争における「スレブレニツァの虐殺」。その虐殺の首謀者カラジッチは今でも逃走中であるとか。この作品は、実際にカラジッチの居所を突き止めるためボスニアに入り、追跡した実話に基づいています。
 物語と同じくCIAに間違われることで、アメリカや欧州諸国、CIA、国連が一蓮托生となって、カラジッチの逮捕をサボタージュしている現実にぶち当たったのです。
 作品サイトのイントロダクションにあるように、どうして米政府が500万ドルもの懸賞をかけても、カラジッチは逮捕されないのでしょうか。

 その疑問と怒りが、どっちかというと軟派な作品の出演が多かったリチャード・ギアを変えたと言っていいでしょう。ただし変わったと思うのは観客のほうで、リチャード・ギア本人は元々ガチガチの社会派だったわけで、本作はその真骨頂を見せるような演技に取り組んでいます。
 なかでも彼が演じるスターキャスターサイモンが、虐殺現場でプッツンして、生放送中に暴言を吐き、即刻クビになるところでは、魂の底から搾り出すような怒り方でした。役柄でもサイモンの子供を身ごもった現地の女性が殺された直後という設定もあるため激情したとも言えますが、リチャード・ギア自身が心の中で、こんな非人道的行為は絶対許されないのだと叫んでいたのに違いありません。

 こういう風に書けば、一直線に勧善懲悪に走る作品に思われがちですが、リチャード・シェパード監督は、正義感をストレートに表現せず、上手にエンタテインメントとしてまとめています。
 まずはサイモンのキャラ。ヒーローには似つかわしくないクレージーさで何をやらかすかわからないし、人を煙に巻いてしまうけれど、心の底は曲がったことが大嫌いで、こうと決めたことに突き進んでいくタイプなんです。
 こういうキャラだから、虐殺現場でプッツンしたことも頷けるし、戦争犯罪人フォックスを捕まえるという突飛な話も、彼ならアリかなと思ってしまいます。人間味あるサイモンのキャラ自体に魅力を感じました。
 見ているほうも半信半疑だったのですが、ほんとにサイモンは元相棒のカメラマンのダックと大学出たばかりの新米プロデューサーを従えて、フォックスの潜む「敵地」セルビア人居住区に潜入していきます。こんなヨワッチイ武装もしない3名のクルーがセルビア人たちが崇めるフォックスを捕まえることができるかと思わせることが、監督の狙いなんでしょう。
 潜入早々から、住民にピストルで撃たれるなど、ハラハラドキドキの冒険ものの様相になっていきました。逆にフォックスたちに捕まって、絶体絶命になったあとどうなるかは必見ですよ!

 あとダックを演じるテレンス・ハワードもよかったです。「ブレイブ ワン」の時も人情味ある刑事役が印象に残りました。この作品でも、戦場カメラマンの頃と、スターカメラマンに上り詰めたときの貫禄の違いがはっきり演じ分けられています。しかも成功して、美女に囲まれる生活の中にも、どこか昔の戦場での緊張感が忘れない物憂いさを感じさせてくれます。
 彼のサクセスと、サイモンの落ちぶれていった生活は、対照的です。けれども、この作品を見ていると、命がけでフォックス狩りに突き進んでいるサイモンの方が生き生きとして魅力的に感じてしまうのは、小地蔵だけでしょうか。

 ちよっぴし、人生も感じさせてくれる作品でした。

 最後に、フォックス狩りに突き進んでいるところで全体の3分2を費やしてしまい、ラストが駆け足になってしまったのが残念です。でも充分面白かったですよ。


●Introduction
かつて紛争地域から、伝説的なレポートを送り届けていたサイモンとカメラマンのダック。しかしある事件がもとでサイモンは仕事をクビになる。一方、本国に戻ったダックは出世していた。その二人が数年ぶりにボスニアのサラエボで再会する。「大きなネタ」を持っていると言うサイモン。それは虐殺事件の首謀者であり、戦争犯罪人フォックスの情報だった。フォックスを求めて、彼らは危険地帯へと足を踏み入れる…。

1990年代、深刻な内戦を引き起こし、多くの死者を出したボスニア紛争。その中で国際的にも大きな問題になったのが8000人が殺害された「スレブレニツァの虐殺」。虐殺の首謀者カラジッチは国際法廷で有罪判決を受けたが、いまだに捕まっていない。本作はそのカラジッチをモデルにしたフォックスという男を、スクープを狙うジャーナリストたちが追う社会派エンタテインメントだ。シリアスな問題を提起しながらも、冒険もののテイストを生かし、後味のいい仕上がりになっている。人間的には欠点だらけだが、心の底には正義感が燃えている主人公をリチャード・ギア、その相棒となるカメラマンを黒人俳優テレンス・ハワードが好演している。

[ 2008年5月10日公開 ]

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