一人文才バトル

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私が書いた小説です。たぶん弁望中心です。
文才ないので読みにくくて本当に申し訳ない!!(汗)
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ちょっと前にmixiでアップした弁×望←ヒノ小説です〜。
諸事情により、こっちにアップするか、ものすごーく悩んだんですが(あまり某方に読まれたくないので。爆)なんかもうどうでもよくなったので(おい)載せることにしました(笑)


ではでは、読んでやるぜ!!ってな、心の広い方は↓へどうぞ☆


※ ※ ※

「秋、か…」
 京の梶原景時の屋敷…京邸の庭を見つめながら、自然とそんな呟きがこぼれた。
 キレイに整えられた庭の隅では紅葉が紅く色づき、葉を落とし始めている。
 日が傾きかけた庭に出てその一つを手に取ると、その鮮やかな紅がより一層美しく見えた。

 今は、秋───。
 白龍の神子、望美と出会ってから、半年の月日が流れていた。


【すり抜けた運命】


「あれー?ここにもいないのかな?」
 庭から屋敷の中へ戻る途中、目的の娘…望美が縁側にいるのを見つけた。
 どうやら誰かを探しているらしく、部屋を覗いたり庭を眺めたりと周りと伺っていた。
 普通に声を掛けるのは芸がない。
 オレはそっと背後に周り、耳元で囁きかけた。
「望美?いったい誰を探しているんだい?」
「っ!?」
 ビクッと大きく反応し、望美がこちらを振り返った。
「ひっヒノエくん!?」
「やぁ姫君」
「背後からいきなり声かけないでよ!あー、びっくりした」
「ごめんよ。あまりにも可愛い顔をしてたからね。つい、からかいたくなって」
「もう!ヒノエくんはいつも登場が唐突なんだから…。もっと普通に声掛けてくれればいいのに」
「オレは『普通の男』でいたくないからね。でも、姫君の機嫌を損ねたのは失敗だったかな?」
 そう言ってオレは、少し膨れた望美の前に手に入れたばかりのソレを差し出した。
 望美は一瞬きょとんとした顔になり、そしてその表情は柔らかい微笑みに変わる。
「綺麗な紅葉だね!!」
「庭に落ちてたものだけどね。…いるかい?」
「もらっていいの?」
「もちろん」
 もとから望美に渡すつもりだったのだけれど。それは言わないことにした。
「ありがとう!ヒノエくん!」
 満面の笑みで望美は嬉しがる。
 紅葉の葉などいくらでも落ちていて、自分でも好きなだけ手に入れられるものなのに。まるでそれが『特別』なものであるかのように。

(だから、オレは───)

 最初は、本当にただの好奇心だった。
 『白龍の神子』という女がどういう女なのか、見てみたいと思って近づいた。
 熊野別当として、というのも確かにあった。でも、一人の男として、興味が湧いたのだ。

 才知に長け、剣術にも長けた白龍の神子。
 戦の時の剣を手にした凛とした姿、扇を手に軽やかに舞を舞う姿も確かに心惹かれるものがあった。
 しかし、ほんの小さなことで心から喜ぶ『望美』という一人の女にオレは心惹かれた。
 龍神に選ばれた神子なのだから、慈愛に満ちているのは当たり前だといわれればそれまでだが…。
 そんな言葉では片付けられない。
 望美の優しさには、そんなものが感じられた。作り物ではない、本物の優しさを。

 春の京…六波羅で出会った瞬間に感じた。
 望美が、それまで自分が見てきた女とは違う、特別な女なのだと。
 八葉だとか神子だとか、そんな事は関係なく、自分の運命の女なのだと。

 だからオレは望美を幸せにしたいと…。
 笑顔を作るためなら、何でもしてやりたいと思った。

(でも、オレは───)

「姫君。そういえば誰かを探していたみたいだったけど、一体誰を探していたんだい?」
「あ、そうだった。本当にどこにいるんだろう?…ヒノエくん知らない?弁慶さんがいる場所」
「………よりによってアイツか」

 でもオレは、自分の想いが望美に届かないことも、知っていた。

「そうなの…。最近特に忙しいみたいで、全然姿を見かけないから」
「姫君にこんな顔させるなんてね。とんだ野郎だぜ、アイツ」
「何かおっしゃいましたか?ヒノエ」
 穏やかで嘘くさい笑顔をした男が望美の後ろから姿を現す。
「弁慶さん!」
 パッと顔を上げた望美の頬に朱が差しているのを、オレが見逃すはずがなかった。
「すいません、望美さん…どうやら心配をおかけしていたみたいですね。軍師という立場上、どうしても時間がとれなくて…」
「いえ!忙しいのにわざわざ来ていただいて…」
「仕事を理由にするとは、ね」
 気に食わない。
 自らの都合で片付けようとするところもだが…何より、そこにいるというだけで姫君に幸せそうな顔をさせられるところが。
 この笑顔を作ることができるのは…この男だけなのだ。
「今日はやけにつっかかりますね?」
「何でもねぇよ」
「そうですか?…それならば詮索はやめましょう。いくら可愛い甥と、とはいえ、望美さんの前で不毛な言い争いはしたくありませんしね」
「………」
 そしてこの叔父は、自分だけがその笑顔を作れることを、知っている。
「ところで望美さん、こんなところでヒノエと何をしていたんですか?」
「弁慶さんがいる場所に心あたりがないか聞いていたんです。あ、あと…さっきヒノエくんにこれをもらったんですよ」
 望美が手にしていた紅葉を見て、弁慶の目がこちらにチラリと向けられる。
 しかしそれはほんの一瞬のことで、再び望美へと視線は戻された。
「とても、綺麗な紅葉ですね」
「はい!お庭の紅葉がこんなに色づいてるなんて知りませんでした!もうすっかり秋なんですね!!」
「───秋、ですか。…早いですね。君と出会って、もう半年以上も経っているなんて」

 オレと同じことを考えるあたり、血は争えないということだろうか?
 認めたくは無いが、やはりこの叔父と自分は似ているところがあると思う。
 思考、行動………そして女の好みまで。

 だから余計に腹が立った。

 何故、弁慶だったのだろう、と。

 似ているならば、オレではダメだったのだろうか、と。

 オレが渡した紅葉を手に、和やかに談笑する二人を見てそんな思いが胸を駆け巡る。
 望美の隣で笑っている男が、オレであってほしかった…と。

「あれ?ヒノエくんどこいくの?」
 二人に背を向けたオレに気づき、望美が呼びかけてきた。
「あぁ、ちょっと用事を思い出してね」
「こんな時間から?もうすぐ夕飯だって、譲くんが言ってたよ?」
「すぐ戻るよ」
 ひらひらと片手を上げて再び庭へと向かった。

 庭に出て空を見上げると、日はすでに落ち、薄く闇に染まったそこに月が浮かんでいた。
 ふと、足元に紅葉が一枚落ちていることに気づき、手に取る。
 先ほどのものとは違い、葉はまだ熟しておらず、緑だ。

「秋…ねぇ」

 オレと望美が出会ったのは春。
 …そして、弁慶が望美と出会ったのはそれより二月程前の冬。

 オレが望美と出会った時、望美の瞳はすでに弁慶を追っていた。
 それは分かっていた。
 けれど、二月の時間など、この先どれだけでも埋められると思っていた。

 でも、今は。

 その二月が、重く感じられる。
 どれだけ伝えても、望美にオレの想いは届かない。

 弁慶より先に出会っていれば、望美の特別になれただろうか?

 今、どれだけそれを望んでも叶わないことなのは分かっている。
 こうやって過去を悔いることが、自分らしくないことも。

「ハァ…」

 ため息が出た。

「もう、手遅れ…か」

 何もしても、この差は大きすぎる。
 そして望美自身、弁慶と共にいることを望んでいるのだ。

 ならば───。
 オレに、できることは。

「応援、するよ…姫君」

 望美が笑顔でいられるならば何でもしてやる。
 お前が幸せでいられるなら。

 オレに似たアイツなら、お前を幸せにしてやれるだろうから。

「どうか、幸せになってくれ…。オレが、本気で愛した女───望美…」

 月に向かって言ったその言葉は、冷たい秋風に攫われ、夕闇の中へと溶けて消えた。


(終わり)



※ ※ ※


【あとがき】
………自分が何を言いたいのか、よく分からなくなりました(爆)

とりあえず、ヒノエは、誰のルートであっても望美ちゃんに本気で恋をしてたんだと思います。
本気で好きだと言ってたんだと思います。
でも望美ちゃんはもう他に好きな人がいるし、ヒノエは女の子が好きだから、ヒノエの言葉を軽く受け止めちゃって…。
それでもヒノエは頑張るんだけど、望美ちゃんの心はどんどん他の一人の人に惹かれていって、想いが届かなくて───。
そしてヒノエがそれに気づいたとき…自分が諦めるしかないって思ったとき、彼は素直に身を引くと私は思います。
望美が幸せでなくては、何の意味もないから…自分にできる精一杯のことで、望美ちゃんを喜ばせるために、協力するんだと思います。


…そして、その思考がまたしても弁慶さんに通じるところがあるということに気づき、ヘコむんです(爆)

ということで、これ以上あとがきで語っててもアレなのでこれで終わります。
付き合ってくださった方、ありがとうございましたv
そいえば、ここにはこれをアップしてなかったなぁ、と思いまして♪

時間枠としては、十六夜バッドED直前あたり。
望美ちゃん視点ですよ〜☆

興味もたれた方は↓へどうぞvv

※このお話は『最期』と対になってます。『最期』が読みたい方は↓からどうぞ
『最期』


「望美ー?私達もう帰るけど、どうするー?」
「あ、私もう少し残るよ」
「えぇ〜?今日も?」
「うん、ごめんね。先に帰って?」
「・・・わかった。また明日ね」
「うん、また明日!」
 友達を見送り、私は再び本へと目を落とした。
 そこには、私達の世界での源平合戦のことが書かれている。

 弁慶さんに言われ、無事に自分の世界へと帰ってきた私は、歴史・・・特にこの源平合戦について詳しく勉強していた。
 おかげで、以前はお世辞にも得意とは言えなかった歴史が、かなりの得意分野になった。

 でもそのおかげで、私は知ってしまった。

 九郎さん達・・・弁慶さんが迎える運命を。

 ただそれは私の世界の「源義経」と「武蔵坊弁慶」の運命で、私が出会った二人とは違うかもしれないけれど。
 
 それでも、私は知ってしまった。

 平家に勝利した「義経」が兄の頼朝に命を狙われ、平泉へ行き・・・そして、そこで果ててしまうということを。

 すぐに、あの世界へ戻ろうと思った。
 けれど思い出される一つの言葉があった。
 それが今もあの世界へ戻ることを躊躇わせている。

『君は、自分の世界へ帰ってください』

 それは、軍師である彼が言った言葉。

 言われた時は、悲しかった。
 私はもう彼に必要とされていないのか?と思うと、胸が張り裂けそうだった。
 自分の力を過信しているわけではないけれど、私は「戦力」になる。「白龍の神子」という名前だけで、私は利用価値があるはずだ。
 彼もそれはわかりすぎるほどに分かっている。
 でも、彼は私を「いらない」と言った。

 悲しくて、悔しくて・・・それでも何も言えない自分が惨めで、涙が出た。
 そして、それだけじゃない。
 私はその時にあの人への想いを自覚した。

 私は、武蔵坊弁慶という人が好きなのだ。

 だから、本当は帰りたくなかった。
 同じ世界で、彼と一緒にいたかった。
 道具としてでいいから、私を必要としてほしかった。

 でも、彼は私を拒んだ。
 私は・・・帰るしかなかった。
 「最後は笑顔で」と望む彼に、精一杯の作り笑いで別れを告げて、帰って来た。


 ぼんやりとそんな事を思い出しながら外を見る。
 冬の空、時間はまだそれほど遅くはないけれど、日はだいぶ傾いている。

「・・・帰ろうかな」

誰に言うでもなく呟いて立ち上がり、借りていた本を元に戻した。

『僕たちは・・・僕は、大丈夫ですから』

(弁慶さんがそう言ったんだから・・きっと大丈夫)

 帰路で考えるのも、彼のことばかりだった。
 会えない間にも、私の想いは大きくなっている。

「会いたいな・・・弁慶さん」
───僕、も・・・。

「っ!?」
 私が呟くのと、彼の声が聞こえたのは同時だった。
 慌てて振り返るけれど、もちろんそこに彼の姿はない。

「・・・弁、慶・・・さん?」

 そっと呼びかける。

───の・・・ぞみ、さん。

「!!」
 聞こえた。
 実際にではなく、心に直接響く声。
 そして彼の鼓動も強く感じる。
 呼吸が浅くて多く・・・そして心拍数も以上に多い。
 深い傷を負っているのは明らかだった。

「っ!?弁慶さん!?どうしたんですか!?ねぇ、弁慶さん!!」

 いくら呼びかけても返答が無い。
 どうやら、彼の声は私に届いているけれど、私の声は届いていないらしい。

 武蔵坊弁慶の立ち往生。

 この世界では有名すぎる逸話を思い出す。
 嫌な考えばかりが頭をよぎっていく。
 たぶん今・・・彼は・・・。
「───っ!弁慶さん!?」
 必死に呼んでも届かないことが腹立たしくて悔しくて、知らず私の目に涙がにじむ。

───仕方ないのかなぁ・・・僕は、君を悲しませてばかりだった・・・から。

「え?」
 一瞬、私の声が届いたのかと、錯覚する。
 けれど、それはやはり錯覚だった。

───僕の生涯も・・・無駄では、無かっ

「弁慶さん!!」
 その言葉を聞いて、名前を呼ばずにはいられなかった。
 何故、彼はそんな悲しいことを言うのだろう?
 生きることを諦めてしまったような言い方をするのだろう?
 ・・・。
 分からない。
 彼ほどの軍師が、どうしてそんなことを言うのかが。
 彼は本当に頭が良くて、彼の考える策に間違いなどなくて、源氏を・・・九郎さんを勝利に導くためには何でもする人なのに。

 一体、いつだろう?
 彼が生きることを諦めてしまったのは?

───あぁ・・・そうだったんですね。

「え?」
 少しずつ力を失っていくその声を聞き逃さないようにと、私は意識を集中する。

───僕は・・・君のことが、好き・・・だったんですね?

「っ!!」
 
 息がつまる。
 鼻がツンとして、目が熱くなってくる。
 溢れる涙を止めることなどできなくて、私の頬を二筋の涙が流れていった。

「・・・どう、して?」

 どうして私は、今、彼のそばにいてあげられないんだろう?

 それは、彼が私に帰るように望んだから。

「どう、して?」

 どうして、彼は私に帰るように望んだんだろう?

 それは、あの時すでに彼は負けることを・・・勝てる策など無いことを知っていたから。
 そしてそれに、私を巻き込みたくなかったんだ。
 ・・・私のことが、好きだから。
 私に、死んでほしくなかったから。

「っ・・・どうして!?」

 いつ、彼は生きることを諦めてしまったんだろう?

 それは。
 たぶん、私を帰した・・・あの時。

「・・・ふっ・・・ぅっ!!」

 涙が止まらなくて、嗚咽も抑えることができなくて・・・立っていることすらできなくて、私はその場に座り込んでしまう。

 一つのことが分かると、全部のことに筋が通ってしまった。
 分からないままのほうが幸せだったのではないか、と思うほどに、彼の考えを理解してしまう。

 そんな彼の考えを、受け入れてしまいたくなどないのに。

───望美さん・・・

「っ!?」

・・・ト、クン。

 吐息のような呟きと、小さな一つの鼓動を最後に、何も感じなくなってしまった。
 さっきまでは確かに感じていたのに。
 消えてしまいそうに弱弱しくて、集中していないと分からないくらいではあったけれど・・・それでも息遣いまで、分かっていたのに。

「・・・い、やぁっ!」

 何も、感じない。

「嫌、だよ・・・弁慶さん!!」

 一人で、逝ってしまうなんて。そんなこと。
 

「『僕たちは大丈夫です』って言ったのに!」

 その言葉を信じたからこそ、帰って来たのに。
 一体、どこが大丈夫なのか。

「私は・・・」

 これからどうするべきか、考える。

 弁慶さんの最期を知ってしまった今、このまま終わらせる気なんて、さらさらない。
 私は、この運命で納得などできない。

 キィン、と音を立てて胸元が光った。
 それは以前の時空で白龍からもらった「白龍の逆鱗」。

 これで再び───。

「待ってて、弁慶さん」

 あなたに「帰れ」と言われ、帰ってきたけれど。
 あなたは、こんなこと望んでなんていないかもしれないけれど。

 でも、私はこれでいいとは思わない。
 こんな運命、認めない。

 あなたの生きられる運命を、絶対に探してみせるから。
 生きることを諦めなくていい運命を、必ず───。


(終)

続きそうですが終わりですよ〜(汗)
続きは・・・そのうちフッと思い立ったら書くかもね(ぇ)

『最期』(弁望?)

・・・えと。
本当の本当にここに書くことが尽きてしまいました(滝汗)

なのでmixiの方で1週間ほど前にアップした弁望小説でも載せておこうと思います。
・・・弁望っていうより弁→望みたいな感じですが。

ではでは、興味もたれた方は↓へどうぞ〜♪

「・・・はぁっ・・・はぁっ」
 自分のものだとは思えないほど自由にならない自分の足をなんとか動かし、前へ進む。
「っ!?」
 息を殺し、その場で伏せると声が聞こえる。
「いたか!?」
「いや、こっちにはいないようだ!」
「くそっ・・・どこへ行った!?あの身体で、遠くへは行けないはずなんだが・・・」
「もう一度よく探せ!」
 
・・・。

 声が離れたことを確認し、僕は彼らとは逆へと進む。
 森の中・・・いくら足跡が残ってしまうとはいえ、この雪だ。追いつくには時間を要するだろう。
「・・・九郎は、大丈夫かな?」
 別行動になってからは、もう半日は経っている。
 僕の足止めが成功しているなら、今のところ鎌倉の軍からは逃げ遂せているだろうが・・・。
「・・・彼女は」
 望美さんは、幸せに暮らしているだろうか?

 彼女が元いた世界には、この世界のような争いは無いと聞いた。ならば、大丈夫だろうけれど。
 それでも、彼女がちゃんと笑っていてくれるのかは気がかりだった。


 彼女が僕に好意を寄せていることは気づいていた。
 けれど僕は、彼女の願いを聞き入れることはできなかった。

 あの戦いのあと、鎌倉に追われることになることは予想の内だった。そうなれば、僕たちに勝ち目はない。
 この平泉に助力を求めたところで、力の差は歴然だ。
 そんな場所へ、あれほどの清い心を持った女性を連れて行くなど、そんな愚かなことは僕にはできない。
 彼女の幸せを願うなら、彼女は元の世界へ帰るべきだった。

 だから言った。
「君は、元の世界へ帰ってください」と。
 彼女は、笑って帰ってくれた。
「私、ちゃんと笑えてますか?」
と、笑いながら・・・涙を流して帰っていった。


「いたぞ!!こっちだ!!足跡がある!!」
「っ!!」
 少し長居をしすぎたようだった。
 今の声の距離ならば、すぐに追いつかれてしまう。
 なんとか足を前へと動かそうとするが、うまくいかずよろけてその場で転倒してしまった。
「・・・もう、ここまで・・・か」
 限界を訴える足に力を入れ、どうにか立ち上がり鎌倉の兵たちに見えるようにと木陰から移動する。
「!いたぞ!!武蔵坊弁慶だ!!」
「なに!?」
「他には誰かいないか!?」
「九郎義経は!?」
 声は四人・・・だが、他にも3人はいるようだった。
 七対一で、この身体・・・さすがに分が悪すぎる。
 しかし、この先へ彼らを通すわけにはいかない。
 僕は薙刀を構えた。
「まだやる気か!?」
「構わん!!矢を!!」
「放て!!」
 
 ドスッ。
「くっ!」
 
 一本。

 グサッ。
「・・・ぅ!」

 二本。

 トスッ・・・ドッ。

 三、四・・・。

 痛みは感じない。ただ、衝撃が襲うだけだ。
 
「お・・・おいっ」
 鎌倉の兵は、矢を放たなくなる。
「あれだけの矢を受けて・・・何故」
「どうして立っていられるんだ!?あの男!!」
 どうやら、恐れを抱いているようだった。
 ならば・・・。
「ふ・・・どう、したのですか?僕はまだ、生きて・・・いますよ?」
 僕はただ、足から力が抜けぬよう・・・そして姿勢を崩さぬように彼らの前に立つ。
「さぁ、好きなだけ矢を放ってください。全部、受けてさしあげますよ?」
 そう言いながら、いつものように微笑む。
「『熊野の鬼子』と呼ばれた男を・・・君たちは本当に殺せるんでしょうかね?ふふっ・・・」
「っ!!」
「ば・・・化け物!!」
「にっ逃げろ!!」
 そうして呆気なく兵たちは下がる。

「・・・もうそろそろ・・・僕も限界かなぁ」
 そう呟くのと、足の力が抜けるのは同時だった。
 支えを失った身体は雪の中へと倒れこむ。

 真っ白だった雪を、流れ出した僕の血が赤く染めていく。

 雪の降る空を見上げると、空の端に月が出ていた。

「の・・・ぞみ、さん」

 最後の力を振り絞り、月へと手を伸ばす。

 届かないことは分かっているけれど・・・それでも。

───弁慶さんっ!!

 彼女の顔が頭から離れない。
 けれど。

───弁慶さん・・・。

 何故、思い出す顔は泣いている顔ばかりなのか。

「仕方ないのかなぁ・・・僕は、君を・・・悲しませてばかりだった・・・から」

 せっかく、最後に笑顔を見せてくれたのに。

 でも・・・それでも。

 彼女を守れたのだから、後悔など無い。

「僕の生涯も・・・無駄では、無かっ」

 意識がぼんやりと遠くなっていく。
 けれど。

───弁慶さん!!

 彼女の声は、耳にしっかりと残っていた。

「あぁ・・・そう、だったんですね」

 何故、彼女の顔ばかり、さっきから気になるのか。
 それが今になって、ようやく分かる。

「僕は・・・君のことが、好き・・・だったんですね?」

 何故、そんな簡単なことに気づかなかったのか。
 けれど・・・もう。

「望美さん・・・」


 そう言って、月へと伸ばされた手は、何かをつかむことなく雪の中へと落ちた。


(終)

十六夜弁慶BADルートでした。ちょっと変えてありますけどねvv
さて、これで本当にここに書くことがなくなってしまったよ・・・。
明日、どうしようかな〜?(汗)
ついこの間までやってたやつの・・・続き?かな。
一応その後〜みたいな話です。ただ、今までシリアスだったんですが・・・思いっきりギャグです。しかもエロな内容のギャグです(爆)
私、思いっきり成人過ぎておりますので全然大丈夫なんですが・・・まだ若い方で、エロなギャグを読みたくない方は読まない方がいいかもしれません。
まぁ、かなりアホな話ですけど。

それでは「ばっち来いや!!」てなお方はお進みくださいませvv


「今日も平和ねぇ」
「あぁ、そうだね〜。天気もいいし、オレの腕が鳴るよ〜♪」
「もう・・・兄上ったら」
 先日までのことが嘘だったかのような静かな朝。
 私、梶原朔と兄の景時は、縁側でお茶をすすっていた。

 つい先日まで私達兄妹は平家と源氏の争いの中にいた。
 けれど、私の対である白龍の神子・春日望美と、その八葉の一人であり源氏の軍師でもある武蔵坊弁慶殿の力によって、その争いは終わりを告げた。
 当人達は全く気づいていなかったみたいだけれど、二人が惹かれあっているのは周知のことだった。
 だというのに、いつも二人はすれ違ってばかり。
 おせっかいだとは思ったけれど、私も弁慶殿に口を出したりもした。
『これ以上、あの子を泣かせないで!』
 と。
 それから少しの間は望美は泣き続けていたけれど、今はそんなことも───。
「さああぁくううぅ!!」
 噂をすれば・・・とはよく言ったものね。
 当人である望美が、私を見つけ勢いよく走ってきた。
 しかし、その瞳には涙が溜まっている。
「・・・望美。少し落ち着いて?一体何があったの?」
 そう言うと、望美はその場にぺたんと座り込む。
 私はちらりと兄上に視線を流した。
 空気を察した兄上が、そっとその場を去ったのを確認し、私は「ほら」と望美に手ぬぐいを渡した。
 それを素直に受け取った望美は。
「ううぅぅ・・・っ」
 泣き出した。
「望美?」
「おや、こちらにいらしたんですね。捜しましたよ?」
 私が望美に声をかけたのと、弁慶殿が私達に声をかけたのは同時だった。
 という事は。
「・・・はぁ。また、あなたなのね?弁慶殿」
「・・・すいません、朔殿。でも、仕方ないんですよ」
「はぁ?」
 私にはわけが分からない。
 私が困っていると、さっきまで弱気だった望美が、弁慶殿をキッと睨みつける。
「仕方ないって何ですか!?開き直りですかっ!?・・・信じられない!!」
「・・・でも、覚えていないものは覚えていないんですから───」
「そんな事あるわけないじゃないですかっ!!」
「それでも僕は・・・」
「ちょ、ちょっと待って二人とも。一体、何の話をしているの?」
 とりあえず、二人の会話を止めてみる。
 すると、望美が私の方を向いて話し出した。
「朔。朔は・・・あの夜。私がここで弁慶さんを待ってた夜のこと覚えてる?」
「えぇ、大変だったわね」
 くすり、と私は笑った。
 けれど、望美はちっとも面白くないようだった。
「私・・・あの夜、誰のところへ行ったのか弁慶さんに聞いたんだけど」
「さすがに名前は教えられません」
 弁慶殿が困った笑顔で口をはさむ。
 ・・・まぁ、この時世。誰に会話を聞かれているか分からない。その些細な一言で、最悪の場合命を狙われる可能性は十分にあった。
「だから、どんな女の人だったのかを聞いたの」
「えっ!?」
 望美は・・・なかなか度胸のある女性であるようだ。
「だから、どんな顔してたのかとか。・・・その、どんな・・・身体つき、だったのか・・・とか」
 ・・・。
 確かに、好いた男の過去が気になる気持ちは分からないでもないけれど。
 それで?とだけ私は言う。
「『それで?』じゃないよ!!弁慶さん、何て言ったと思う!?」
 その剣幕におされ、私は後ずさる。
 ・・・望美が・・・怖い。
「忘れたって言うんだよ!?」
 信じられる!?と、望美は私に意見を求めるけれど、私は何も言えなかった。
「そんなの、忘れるわけないじゃない!!いっ・・・一回でも、そ・・・そんなっ関係になったなら!!」
「でも僕は本当に覚えていないんです。はっきりと覚えていない事を話せと言われても無理です。でも」
「ひっ、ひどい!!弁慶さんにとって、ああいう行為ってそんなに軽いものなんですねっ!?」
「そんな事あるわけないでしょう?望美さ」
「まだ何ヶ月も経ってない過去を忘れるような人の言葉に説得力なんてありません!!」
 そう言って泣きじゃくる望美を、とりあえず落ち着かせようと私は一歩前に出た。
 けれど、私よりも先に弁慶殿が望美の手を取っていた。
「望美さん、どうか落ち着いてください。僕の話には続きがあるんです」
「・・・え?」
 望美が顔を上げる。
「確かに僕は、今まで数多くの女性を相手にしてきました。それは事実なので変えようがありません。認めます。・・・でも、彼女達に情を抱いた事などありません。ただの、取引の材料だったんですよ」
 ・・・。
 何か、ものすごいことを言っているように私には聞こえるのだけれど、望美はただ弁慶殿の言うことを静かに聞いている。
「そんな情の無い女性・・・しかも夜闇の中、相手の顔などいちいち覚えてなどいられませんし──」
「っバカ!!」
 
 バチン!!

 と、弁慶殿の頬に小気味良い音が響いた。
 少し冷静さを取り戻したものの、望美はまだ自分で怒りを抑えられていなかった。
「弁慶さんなんてもう信じられません!!薄情者!最低!!バカ!!スケベ!!えっち!!」
 ・・・私には分からない言葉が出てきたけれど、どうやら望美は思いつく限りの言葉で弁慶殿を罵っているらしかった。
「あぁ、でも一人だけ・・・よく覚えている方がいますね」
「え?」
 ここに来て、弁慶殿が意見を変えた。
 望美の動きが、その言葉に反応してぴたりと止まる。喜んでいいものか悪いものか・・・どうしていいのか分からない顔だった。
 けれど、一瞬後には覚悟を決めた瞳で弁慶殿を正面から見つめる。
「だ・・・誰ですか!?その、弁慶さんが覚えてる人って!!」
「君ですよ」
 さらりと、弁慶殿が答える。
「なっ・・・!」
 と反応したのは私。
 望美は。
「・・・・・・・・・」
 固まっていた。 
 真っ赤になって。
「昨夜の君のこ──」
「きゃああああぁぁっ!!」
 笑顔で話し出す弁慶殿の口を必死に手で塞ぎながら、望美は叫ぶ。
 が、弁慶殿のほうが身の丈は高い。易々とその手は振りほどかれた。
「望美さんの肌はとてもき──」
「いいぃぃやああああぁっっ!!」
 続けようとするが、望美の声で全てかき消されてしまった。
「・・・望美さん、僕が一生懸命説明しようとしているのに、何故止めるんですか?」
「わっ!私の事はどうでもいいんですっっ!!」
「そんなことはありませんよ?君は、僕が初めて心まで欲しいと思った女性なのですから」
「・・・弁慶、さん」
「君のことは、全部覚えています。忘れたくとも忘れられない・・・」
「弁慶、さん」
「望美さん」
「弁慶さん」
「望美さん」
「・・・弁慶さん!」
 最後にそう言った望美は、弁慶殿に抱きつく。

(望美!!あなた弁慶殿に言いくるめられているわ!!)

 と、思ったけれど・・・私は何も言わなかった。
 何も言わず、私の存在を忘れてしまった二人をそこに残してその場から消えることを選ぶ。
 はっきり言って、これ以上あの二人に付き合っていられない。

 『夫婦喧嘩は犬も食わぬ』

 というけれど、本当らしい。
 付き合っていたら、こちらが疲れてしまう。
 
 何だか大変な人を好きになってしまったみたいだけれど、あれはあれで幸せなのよね?望美?


 (終われ!!)

はい、終わりましたバカップル話。
最後・・・鎌倉夫婦と同じになってしまいましたがね(爆)
とりあえず、望美ちゃんは意を決して弁慶さんに尋問をしようとするんだけど・・・絶対言葉で言いくるめられそうだよなぁ、と思ったのでこんな感じになりました(笑)
この二人、ギャグもいいよなぁ(何)
これを全部読んでくれてる人っているんだろうか??(汗)
と疑問に思いつつも、なんとかここまで辿りついた・・・。
ちゃんとこれで終われてるのかものすごく不安ではあるが(爆)

まぁ、とにかく一応これでキリはついてる・・・はずです(笑)


 弁慶さんの考えた策は、成功した。
 清盛が最後の力で呪詛した黒龍をも鎮めることができた。
 ・・・彼が、笑っている。
 だというのに、私の心はまだ晴れていなかった。
「・・・生きていて、くれてるのに」
 こんな私でも、彼を失う運命を変えられたのに。
 やはり、考えることは最初に戻ってしまった。
 あの夜、私とは違う女の人のところへ行ってしまった彼の姿が忘れられない。
 彼が、あの穏やかな笑顔を私以外の女の人に向ける───。
 そう想像するだけで、胸が締め付けられるように痛かった。
「私って、こんなにも嫉妬深い女だったんだ・・・」
 前の時空でその話を耳にした時は、何も感じなかった。
 ただ、弁慶さんってそういう人だったんだ、と思っただけ。
「恋人でも、なんでもないのに・・・」
 だから、彼が他の女の人のところへ通うことを止める権利なんて私にはない。
 それは彼の自由だ。
 それに、彼にとって私は目的を成すための道具・・・『白龍の神子』という一つの駒にすぎない。彼が目的を成したいま、私の価値なんて無いに等しい。
「望美さん?こんなところにいらしたんですか?」
「・・・弁、慶・・・さん」
 皆の輪の中にいたはずの彼がどうしてここにいるのか分からなくて少し驚く。
 見事に清盛を倒し、京に応龍の加護をもたらした弁慶さんは、今日の戦勝の宴の主役のはずだ。
「君の姿が見えないので、みなさん心配していましたよ?」
(弁慶さんは?)
 という疑問を飲み込み、
「ごめんなさい」
 とつぶやいた。
「謝らなくていいんですよ。君にはだいぶ無理をさせてしまいましたから」
「そんなこと、ない・・・です」
 そう。戦での疲れなんてほとんどない。
「そうですか?それにしてはあまり元気が無いようですが?」
 そう言って、弁慶さんは私の顔を覗き込む。
 あまりの顔の近さに、私は身体ごと向きを変えた。・・・変えようと、した。
 そうできなかったのは、途中で弁慶さんが私の腕を掴んでしまったからだった。
 私の正面に立ち、弁慶さんは私をまっすぐに見ている。
 私は、視線を合わせることすらできない。
「望美さん。本当にどうしたんですか?いつもの君らしくないですよ?」
(私らしい?私らしいって何?本当の私なんて───)
「弁慶さん、私・・・明日自分の世界に帰ろうと思うんです」
 涙が出そうになるのを必死にこらえ、できるだけの笑顔を作ってそう言った。
「・・・望美さん?」
「清盛も倒せたし、白龍も力を取り戻せたみたいだし。もう・・・私がこの世界にいる理由、ありませんよね?」
 なんで、自分がそんなことを言っているのか自分でも分からない。
 そんなのは口実で、本当に私が望んでいるのは───。
「・・・君は、もう決めてしまわれたんですか?」
「はい」
 違う。
 本当は。
「そうですか。・・・では、僕の質問に答えてください」
 ふわりと、弁慶さんが微笑むのが分かる。
「何故、泣いているんですか?」
 あの時と、同じ質問だった。
 私が「え?」と声を上げるのと同時に、弁慶さんがその手で涙を拭ってくれる。
「自分でも気づいていなかったんですね」
「はい・・・」
「何故、泣くのですか?」
「・・・・・・・・・」
 そんな事、この人ならば分かっているはずなのに。
「あの時、僕に『ごめんなさい』と言ったのはどうしてですか?」
「・・・っ!・・・ぅっ!」
 嗚咽で声が出てこない。
 何か喋らなきゃ、と思うのに、涙と込み上げてくるたくさんの想いでいっぱいになってしまって、何を言えばいいのか分からない。
 言いたいことが多すぎてまとまらなかった。
「君が、帰りたいと望むのなら・・・僕にはそれを止めることはできません。でも、僕はひとつ君に伝えていないことがある」
 弁慶さんが、くぃっと私の顎を持ちあげる。・・・いつだったか、私を脅したときのように。
 でも、弁慶さんはあの時とは全く違った顔をしていた。
 切なげな・・・今にも泣いてしまいそうな顔だった。
「僕は、君が好きなんです」
「・・・?」
 言われた言葉が一瞬理解できなかった。
「できることならば、このまま君を元の世界に帰したくない。僕と、一緒に生きてほしい」
 信じられなかった。
 奇跡だ、と思った。
「・・・わたし、と?」
「えぇ」
 今度は嬉しさで涙が溢れる。
「でも、あの時の『ごめんなさい』は、僕が思っていたのとは違う意味だったんですね。君は・・・っ!」
 弁慶さんの言葉はそこで止まった。
 私が止めた。自分の唇で。
 口を離すと、弁慶さんは驚いた顔でこちらを見ていた。
「っごめんなさい。・・・ごめんなさい!ごめんなさいっ!・・・っく、私この想いが弁慶さんの重荷になるから、だから貴方に言っちゃいけないって思って。でも、歴史変えないと弁慶さん死んじゃうしっ・・・知れば、知るほど・・・ぅっ好きになってくの止められなくて!!・・・ふっ・・・ぅ!わ、私っもう、どうしたらいいのかっ!!」
 自分で言っていても、何を言っているのか分からなかった。
 もっと上手に伝えたいのに、それができない自分に腹が立ってよけいに涙が出てくる。
 そんな私の言う言葉を、弁慶さんは何も言わずただ笑顔で聞いてくれた。
「あの夜・・・平家の内情を知るために・・・出かけるってことも、知って、ました!・・・っく。でも・・・それが女の人だと思うと、たまらなくて!・・・こ、これからもそんなの見なきゃならないかもって考えたら、耐えられなくて!!・・・だ、だから私っ!」
 だから帰ろうと思った。
 好きだけど・・・見ていたくなかった。
「望美さん・・・」
 そっと、弁慶さんは私を抱きしめる。
「すいません。僕は・・・君を傷つけ続けていたんですね」
 弁慶さんのお香の香りが鼻孔をくすぐる。
「僕が、嫌いになりましたか?」
 ふるふると、私はその腕の中で首を振る。
 そんな事、あるはずがない。
「僕の事を、信じられなくなりましたか?」
 再度、私は首を振る。
「・・・元の世界に、帰りたいですか?」
「・・・っい、や!!帰りたく、ない!!」
 そうだ、帰りたくなんてない。
 見ていたくなくて、帰りたいとも思うけど・・・彼が見えないと、たぶんもっと辛い。
 弁慶さんと一緒に生きていたい。
 弁慶さんのいない世界なんて、もう考えられない。
「帰りたくなんてない!!ここにいたい!!私はあなたが好きなんです!!」
 精一杯言うと、彼は笑った。
 私が見たいと望んでいた、本当の笑顔で。
「その言葉が、聞きたかったんです」
 そう言って、強く抱きしめてくれる。その力は痛いほどで、彼の想いが伝わってくるようだった。
「望美さん、今まで傷つけてしまったぶん・・・僕はこれから貴女だけを想って生きていきます。・・・僕と、生きてくださいますか?」
「はい!」
 そう答えた私の顔に、弁慶さんの顔が近づく。
 それに気づき私は目を閉じた。
 ゆっくりと、二つの唇が重なった───。


 私は、気づかなかった。
 彼がここまで私を想っていてくれたことを。
 
 あれほど彼を見てきたのに。
 彼だけを追いかけてここまできたのに。

 弁慶さん。
 私は今まで、あなたに「ごめんなさい」しか言ってきませんでした。
 でも今、あなたにすごく言いたい言葉があるんです。

 「弁慶さん、ありがとう」


(終わり)
な、なんとか終わった?(疑問形かよ)
一応エピローグっぽい話も考えましたが・・・一応明日にでもアップできたらしますが、お笑いです(笑)バカップル話です(爆)
シリアスでやめときたい方はここまでにしておきましょう♪

というわけで、一応『月影の思望』終わりです。
テーマとして「すれ違い」と「矛盾」の2つを考えてたんですが・・・私の話のつなげ方にいろいろ無理があるので、話自体が矛盾してますね(笑)
とにかく、少しでもそんなんが(どんなんだ?)伝わってればいいと思います☆
作中、キスが多いような気もしますが、気のせいです(何)

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