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福田首相退陣表明 日銀、金融政策足踏み 空白の副総裁人事も不透明
2008年9月3日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
福田康夫首相の突然の退陣表明を受け、日銀の金融政策や組織運営への影響も注目されるが、景気の下振れリスクとインフレリスクの板ばさみで、日銀が身動きできない状況に変化はないとみられる。一部空席のままとなっている副総裁と審議委員の人事についても、新政権や今後の政局の行方次第という不透明感はぬぐえず、方向感の定まらない展開が続きそうだ。(柿内公輔)
◇ 経済への影響注視
日銀の白川方明総裁は2日、中部経済界との懇談後の記者会見で、今後の金融政策に関して、「物価安定のもとでの持続的成長の実現に努めることに変わりない」との従来方針を繰り返し、福田首相退陣の直接的な影響はないとの姿勢を強調した。
その背景には、政府も日銀も事実上の景気後退局面入りを認めたことが大きい。
リーマン・ブラザーズ証券の川崎研一日本担当チーフエコノミストは「利上げはありえないだろうし、白川総裁は明らかに景気の下振れリスクの方を重視している」と指摘する。
次の自民党総裁の有力候補である麻生太郎幹事長をはじめ、新政権の政策運営についても、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「財政政策と金融政策の総動員で景気浮揚を狙い、国債の増発や日銀に国債を買い増すよう圧力を強める可能性がある」として、景気の腰折れ懸念と国債の利払い負担の増加につながる利上げに、日銀は傾きにくいとの見方だ。
とはいえ、全国消費者物価の伸び率が、日銀が安定的と考える2%を突破するなど、インフレ懸念も根強く、白川氏も「利下げへと踏み込める状況にもない」とみる。要するに、景気を刺激する利下げにも、インフレの行き過ぎを防止する利上げにも、日銀はただちに動けないのが実態だ。
◇ 人事は流動的?
今年4月に就任した白川総裁は、総裁人事をめぐる混乱に伴い、福田首相の強い後押しで副総裁から総裁へ昇格した。白川総裁にとって、福田首相はいわば「生みの親」といえる存在だが、白川総裁は「金融政策の目的は日銀法に明確に規定されている。首相が代わったから後ろ盾を失ったとは思っていない」と強気の姿勢を強調した。
一方、白川総裁の就任以降、副総裁1人と審議委員1人の空席が続いていることについて、白川総裁は「異例の状態で、早く解消されることを強く願う」と訴えた。
クレディ・スイスの白川氏は「近く想定される総選挙で国会の衆参ねじれ現象が解消されれば、日銀人事も動き出す可能性がある」と予想する。
ただ、川崎氏は「空席でも現在特段困った状況にはなく、人事は政府と国会の話し合いなので早期解決は難しい」と懐疑的で、日銀幹部も「政治空白で副総裁人事もたなざらしが長引くのでは」と気をもむ。
いずれにしろ、今後の政局の行方や新政権のスタンスを見定められるまで、日銀も事態の推移を見守るしかないのが実態で、金融政策や組織運営の正常化も先送りとなりそうだ。
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