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焦点:イタリア、来春に多額の国債償還控え国際支援の必要も
ロイター 2011年11月17日(木)14時42分配信
[ローマ 16日 ロイター] イタリア国債の利回りは、年末まで現在の高止まりした水準を維持する可能性があるが、それ以降は来春の大規模な償還を控え、投資家のリスク回避の動きから一段と上昇する見通しで、同国がデフォルト(債務不履行)を回避するためには国際支援が必要になるとみられる。
イタリア10年国債の利回りは16日、7%付近で推移し、前日の終値とほぼ同水準を維持した。9日には同国の政局不安から7.5%を上回り、欧州中央銀行(ECB)の買い支えでようやく落ち着くといった状況だった。
利回りが7%を上回ると「持続不可能」な危険水域とよく言われるが、これは事実よりも、むしろ理論や推測に基づいており、イタリアの債務の持続可能な水準に正確な基準はない。実際のリスクは、高水準の利回りと来年初めの大規模な償還が重なり、イタリア国債の買い手が見つからない状況に陥ることだ。
イタリア国債のプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)はこうしたリスクを指摘している。
匿名のあるプライマリーディーラーの幹部は「プライマリーディーラーは、儲けが出ておらず、テールリスクが大きく、ボラティリティーも高いため、厳しいと感じている。こうした状況はすべて入札が不調となることを示している」と語った。
イタリア中央銀行は前月、利回りが8%、経済成長率がゼロとしても、その他のすべてが同じであれば、現在国内総生産(GDP)比120%となっている債務は向こう3年間、安定的に推移するとの試算を明らかにした。
しかし問題は、ほぼ確実に数カ月以内に他のすべてが同じではなくなることだ。
今後約2カ月間の資金調達ニーズは比較的低いものの、来年2─4月には1500億ユーロ規模の債券が償還期限を迎える。
このような規模の債券を7%あるいはこれに近い水準の利回りで売却するという見通しはそれ自体、国家財政にとってかなりネガティブであり、不安感から投資家を敬遠させ、利回りの一段の上昇を招き、入札が失敗に終わる可能性がある。
<リセッション>
それに加えて、大方のアナリストは、イタリアが既にリセッション(景気後退)に陥っており、今後の追加緊縮財政措置によってリセッションは一層深まるだけだとみている。
みずほの欧州主席エコノミスト、リカルド・バルビエリ氏は「こうした利回りに加え、経済のリセッション入りを踏まえると、債務の対GDP比率は小幅としても2012年に上昇し続ける見通しだ。この危機は数カ月以内に解決する必要がある」と指摘した。
7%の利回り水準が債務の持続可能性の分水嶺と見なされている背景には主に、この水準を超えた場合、イタリア政府が削減を目指している公的債務が、逆に毎年増加してしまうほど利払い負担が増大するとの試算がある。
ただ、これは経済成長や、政府の歳出と歳入の規模など見極めが困難な要因に左右される。
アナリストは、ポルトガルとアイルランドの国債利回りが7%を超えた後、すぐに8%まで上昇が加速し、両国が市場での国債入札を続けずに国際支援を求めたことにも注目している。
ただ、イタリアは、キャッシュポジションが依然として健全である上、提供できる証券はゼロクーポン債、インフレ連動債など幅が広く、債券市場の流動性も昔からかなり高いことから、両国よりも多くの時間を稼げるかもしれない。
さらに、アイルランドとポルトガルの国債は80─90%が海外投資家の保有だったのに対し、イタリア国債は約半分が、海外投資家よりも入札を見捨てる可能性の低い国内投資家による保有となっている。
<キャッシュ>
イタリア財務省は現在、約350億ユーロの資金を有している。これは1年のこの時期の通常の状況に見合った適度に心地よい水準だ。
おそらく、投資家が年末よりも前に入札を敬遠し始めるという最悪のシナリオの下でも2月までの債務返済を果たすのには十分だろう。だが、それ以降は厳しいとみられる。
多くのアナリストは、モンティ新首相が財政再建と経済競争力の改善に向けて何をしようとも、イタリアは国際支援を求めることが必要になるとの見方を示している。
シティバンクのJuergen Michels氏は「政府が変わるとはみていない。構造改革と緊縮財政措置の早期実施が市場の信頼の早期回復につながるかさえ疑わしい」と指摘。
「結果的にイタリアは、国際通貨基金(IMF)と欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に金融支援を要請することになるだろう」と語った。
ただ、イタリアの公的債務は1兆8000億ユーロと巨額であるため、既存の救済メカニズムは、数カ月以上にわたる救済には不十分だ。
こうしたことから、アナリストは、ECBが8月に開始した流通市場でのイタリア国債の買い入れを大幅に拡大する必要があると指摘する。
債券コンサルタント会社、スピロ・ソブリン・ストラテジーのニコラス・スピロ氏は「短期的には、唯一イタリアを救うことができるのはECBによる大規模なコミットメントだ」と語った。
ECBは8月に流通市場での同国債の購入を開始した際、利回りを5.5%程度に維持することを望んでいた。イタリアが市場の信頼回復を現実的に望めるようになるには、利回りがこの水準付近に戻る必要があるだろう。
(Gavin Jones記者;翻訳 佐藤久仁子 ;編集 佐々木美和)
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