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日本国債に資金逃避の動き、欧州債務危機の深刻化で「安全」視

2011年 11月 17日 13:33 JST プレジデントロイター

 [東京 17日 ロイター] 欧州債務危機が深刻化するなか、海外勢が日本国債に資金を逃避する動きを強めている。

 市場が期待する欧州金融安定ファシリティー(EFSF)拡充や欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ増額は一向に進まず、フランスなどユーロ中核国の国債が売られるなかで、日本国債が「安全資産」として選好されているという。日本株が年初来安値水準に下落する一方で、10年債利回りは1年ぶりの水準に低下している。 

  <日本国債に中東マネー流入のうわさも> 

 11月6日─11月12日の対内債券(中長期債)投資は2973億円の資本流入超となった。資本流入超は3週連続。市場では「欧州情勢の緊迫化とともに株式などのリスク資産のウエートを落として、相対的に安全な日本国債に資金を逃避させる動きが出ている。一部で中東マネーなどの資金流入がうわさされているが、額が小さくても日本国債が選好される流れはしばらく続くのではないか」(国内金融機関)との見方が出ている。

 背景は欧州債務問題が長期化するなかで、海外勢が日本国債を「安全資産」として買う動きを強めてきたことだ。国内勢も国債へのシフトを強めており、17日の円債市場では国債中心限月12月限は一時143円14銭、10年最長期国債利回り(長期金利)は一時0.940%と、いずれも1年ぶりの水準を付けた。 

 欧州の政治不安は依然解消されていない。イタリアではモンティ新政権が発足したが、閣僚人事は政治家を含まない16人の有識者で構成したことに対して、国民に不人気な緊縮財政計画が議会の同意を得られるか懐疑的な見方が強まっている。前日のイタリア10年国債利回りは再び「危険水域」の7%台に上昇。フランス10年債利回りも4月以来の高水準を付けた。欧州各国の財政再建に対する市場の不信感がくすぶるなかで「イタリアのみならず、中核国の金利までもが上昇し始める等、依然不安の深刻化が止まらない状況」(SMBC日興証券・マーケットアナリストの土井俊祐氏)となっている。 

 政府債務残高は対国内総生産(GDP)比で200%とイタリアの120%をはるかに超える日本だが、「国民の豊富な金融資産や対外債権、欧州などと比べた増税余地などから、依然として国債消化は可能とみられている」(外資系証券エコノミスト)という。

  <後手に回る欧州当局に不安> 

 16日の米市場では、一時はプラス圏に浮上していた米ダウが引け際にかけて急落。終値は190ドル安まで下落幅を拡大させ、17日の東京市場もリスクオフムードを引きずったままの展開になっている。

 きっかけは格付け機関のフィッチが16日、欧州の債務危機が波及する懸念を理由に、米国の銀行の格付け見通しを「安定的」から引き下げる可能性があると明らかにしたことだ。リポートを共同執筆したフィッチのアナリスト、クリストファー・ウォルフェ氏は、米国の銀行は過去数年間に欧州でのトレーディング業務を拡大する一方、伝統的な融資業務を縮小していると指摘。長期化する欧州の債務問題が米銀の資本市場関連収入に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見方を示した。また欧州からの波及効果により、米銀の資金調達にも影響が生じる可能性がある、としている。 

 マーケットが最も警戒するのが欧州債務危機が金融システムに波及することだ。欧州連合(EU)は10月末に合意した包括的な危機対応策のなかで、2012年6月末までに銀行の中核的自己資本比率を9%に引き上げる方針を打ち出したが、それだけでは市場の不安は解消されないとの見方が多い。「EFSF拡充による国債市場の安定化が進まなければ、銀行自己資本を強化しても、事後的に新たな資本不足が発生する可能性が払拭できない」(シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)。国債価格の下落が止まらなければ、含み損は膨らみ自己資本は劣化し続ける。 

 EUは包括対応策のなかで、EFSFに4─5倍のレバレッジをかけ、約1兆ユーロ(約1兆4000億ドル)の規模に拡大することも発表しているが、スキームや資金調達の具体策はいまだ見えていない。ECBによる国債買い入れ拡大も市場が期待する選択肢だが、ドイツは否定的な姿勢を続けている。

 一方、その間にEFSF債の信用力の裏付けとなるフランス国債の利回りが上昇し始めるなど、「後手後手に回っている欧州政策当局に市場の不安感は強まっている」(国内投信)。 

 フィッチの警告は米国の銀行セクター全般を対象としたもので、個別行には言及していないが、16日のニューヨーク株式市場でモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)が8%、ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)が4.2%下落するなど、金融株が売り込まれた。東京市場でもメガバンク株がさえない動きだ。 

 日経平均は薄商いのなか上値の重い動き。TOPIXは連日の年初来安値更新となった。市場筋によると引き続き欧州マネーからバスケット売り注文が出ているという。市場では「8400円の節目で下げ渋っているものの、きょう予定されているフランス、スペインの国債入札を控え欧州情勢への警戒感が続いている。日本株は安値圏に入っているが、機関投資家等の押し目買い注文は少ない」(SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏)との声が出ている。 

  <フランス、スペインの国債入札に警戒感>

今晩、フランスは中期債などの入札、スペインが10年債の入札をそれぞれ実施するが、16日の欧州債券市場では、両国債ともに利回りが上昇しており警戒感が強まっている。 

 SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジストの野地慎氏は、フランスの入札については価格下落を受けた値頃感が働きそうで、心配はしていないとする一方、スペインの入札は20日に総選挙を控えて不安定になりやすいと話す。スペインは30億─40億ユーロの調達を目指しているが、「量を確保しようとすれば、高い利回りを受け入れざるを得ない可能性がある。一方、あまり少ない調達額でも市場を不安にさせる」という。野地氏は落札レートが6.5%を超えるようなら、ユーロは1.31ドルを目指すとの見方を示している。 

 東京市場で、ドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ変わらずの77円付近で推移している。アジア時間正午までのドル/円のレンジは上下8銭とこう着した。ユーロ/ドルは海外市場での下げが一服。1.34ドル後半へと切り返した。  

  (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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