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内閣総理大臣
安部 晋三 殿
2007年5月28日
日本聖公会正義と平和委員会
委員長 谷 昌二
「国民投票法案」と「米軍再編特別措置法案」の国会成立を深く憂慮し、抗議する声明
去る5月14日、日本国憲法の改正手続きに関する国民投票法案が、その9日後の23日に、
在日米軍基地の再編を促進する「米軍再編特別措置法案」が、
政府与党(自民、公明両党)の賛成多数で強行採決されましたが、
このことに関し深く遺憾の意を表します。
私たち日本聖公会は、神がどんな人をも一人ひとり無限に愛し、
その命を奪っても、奪われてもならないとの信仰にたって、
深い人権思想に基づき戦争放棄を謳っているわが国憲法第9条の改悪に反対する決議を、
2004年5月の日本聖公会第55(定期)総会に於いて採択しています。
ここに下記の理由により、私たちは、この度の両法案の国会成立を深く憂慮し、強く抗議いたします。
記
一、今回の国民投票法案の発案の根拠は、現憲法96条1項にあり、
総議員の3分の2以上の賛成による憲法改正の発議後、
「国民に提案して、その承認を経なければならない。」との文言によっています。
これは、発議権が国会議員にあったとしても、承認にいたる過程では、
有権者の声を丁寧にきく慎重さが不可欠であることを求めています。
今回の強行採決では、その声として出ていた最低投票率制度の検討、
公務員・教員の地位利用による国民投票運動の規制の検討、
メディアの有料広告規制の検討などの問題が付帯決議とされ、
審議不十分のまま強行採決されたことに強く抗議します。
なぜ拙速に法案の成立をあなたは急いだのか。
あなたは首相在任中の改憲を公言し、その真のねらいが9条改憲にあり、
最近の集団自衛権をめぐるあなたの発言を聞きますと、
国民投票法案成立の9日後に成立した米軍再編特別措置法と
不可分な関係にあることが察知されます。
二、米軍再編特別措置法は、昨年5月の日米安全保障協議委員会における
両政府の最終合意に基づく在日米軍再編を財政的に裏付けようとするものです。
在日米軍再編とは、6年前の9.11同時多発テロ後、
世界規模で進められている米軍再編の一環として、在日米軍と自衛隊との融合、一体化と、
沖縄に集中している米軍基地での訓練の一部移転、基地機能の日本国内への分散化など、
あなたが言う日米同盟の軍事同盟化を益々進めていくものです。
特に、沖縄での米軍普天間基地の移設も含め、基地や訓練の負担が増える自治体に対しては、
再編の進み具合に応じて交付金を配分する「再編交付金」制度を
今回の特別措置法で新設したことは、平和を願い、
基地撤去を願う住民の平和的生存権を否定しようとする反憲法的制度であると
強く抗議します。
2005年10月28日に出された自民党改憲案から削除されている、
現憲法前文にある、「われらは、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」を再確認していただき、
憲法を逸脱したあなたの政策を一刻も早く改めていただきたい。
また、主イエスのことば、「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。」
(マタイによる福音書26章25節)を真剣に受け止め、戦争によって、
わが国を滅びにいたらしめる誤りを、繰り返すことのなきことを切に求めます。
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