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現職自衛官が安保法制の違憲性を根拠に防衛出動命令に従う義務がないことの確認を求める訴訟を提起していた

 茨城県の現職の陸上自衛官が、集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法は憲法9条に反し違憲だとして、「存立危機事態」での防衛出動命令に従う義務がないことの確認を求めた訴訟が提起され、審理されてきた。
 2017年3月23日の東京地裁判決は「男性は直接戦闘を行う部隊に所属したことがなく、防衛出動命令が出される現実的な可能性があるとは言えない」として、訴えは不適法と却下した。

自衛隊員には安保法制の違憲性を主張し、防衛出動命令に従う義務がないことを確認する法的利益があるとした東京高裁判決

 2018年1月31日、東京高裁は自衛官の防衛出動命令に従う義務のないことの確認の利益を認めた。
 東京高裁(杉原則彦裁判長)は、この訴訟の控訴審判決で、訴えは「適法」として、却下した一審東京地裁判決を取り消し、審理を地裁に差し戻すという判決をした。集団的自衛権行使が違憲かどうかについて高裁判決は触れていないが、今後、差し戻し審で集団的自衛権の行使の憲法適合性について実体的判断が示される可能性があり、注目されていた。
 高裁判決は、「本件訴えは,存立危機事態における防衛出動命令に基づく本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分を受けることの予防を目的として,控訴人が存立危機事態における防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める無名抗告訴訟であるところ,その請求の趣旨は,存立危機事態における防衛出動命令に基づき控訴人に対して下される本件職務命令に服従する義務がないことの確認を求めるものと解することができ,実質的には,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分の差止めの訴えを本件職務命令ひいては防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める訴えの形式に引き直したものということができる。」「そうすると,本件訴えが適法な無名抗告訴訟と認められるためには,本件職務命令に服従しないことやその不服従を理由とする懲戒処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること(重大な損害の要件)及びその損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性の要件)の2つの要件を満たすことが必要である。」とし、「本件訴えは,存立危機事態における防衛出動命令に基づく本件職務命令に服従しないことやその不服従を理由とする懲戒処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に限り,提起することができる(重大な損害の要件。行政事件訴訟法37条の4第1項本文参照)ところ,差止めの訴えにおける「重大な損害を生ずるおそれ」について,「裁判所は,前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。」(同条2項)とされている。
そして,これを本件訴えについてみると,自衛隊は,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つため,我が国を防衛することを主たる任務としている(自衛隊法3条1項)ところ,隊員は,事に臨んでは危険を顧みず,身をもって責務の完遂に努め,もって国民の負託にこたえることを服務の本旨としている(自衛隊法52条)のであるから,存立危機事態における防衛出動命令に基づく本件職務命令を受けながら,これに服従しない自衛官は,我が国の防衛という重要な任務に背き,服務の本旨を蔑ろにしたものとして,極めて厳しい社会的非難を受けることになることに加え,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分,更には重大な刑事罰を受けることになるのである。そして,存立危機事態の危険性及び切迫性に照らすと,防衛出動命令に基づく本件職務命令を受けた自衛官がその服従を怠るときは,我が国の国民や他の自衛官の生命及び身体に高度の危険を及ぼすおそれがあることが明らかであるから,本件職務命令に服従しなかった自衛官に対する懲戒処分は,当該自衛官に課せられた重大な責任に違反するものとして,免職を含む重大なものとなることが容易に想定できる。また,刑事罰も同様に重いものになると考えられる。このような極めて厳しい社会的非難にさらされること並びに重大な懲戒処分及び刑事罰の対象となることにより控訴人が被ることになる損害は,行政処分たる懲戒処分がされた後に取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどはもとより,当該処分の差止めを命ずる判決を受けることによっても容易に救済を受けることができるものではない。
そうすると,本件においては,上記の「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に当たるということができ,本件訴えは,重大な損害の要件を満たすものというべきである。」
 そして、「なお,被控訴人は,控訴人に対して本件職務命令が発令されることは想定できないと主張するが,防衛出動命令(なお,存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないという被控訴人の主張は,平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし,採用することができない。)は,内閣総理大臣が,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つことを任務とする自衛隊(自衛隊法3条1項)に対し,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)を含む我が国の国民の生命等に極めて高度の危険が発生又は切迫した事態に際して,我が国を防衛するため必要があると認める場合に発するものである(自衛隊法76条1項)。
そうすると,防衛出動命令に基づく本件職務命令を受ける対象が特定の戦闘部隊等に所属する自衛官に限られる保障はない。かえって,予備自衛官(自衛隊法66条1項)及び即応予備自衛官(自衛隊法75条の2)は,いずれも,防衛出動命令が発せられた場合のみならず,その発令が予測される場合にも防衛大臣の招集命令を受け得る立場にある(自衛隊法70条1項1号,75条の4第1項)ことに照らすと,防衛出動命令が発令された以上,控訴人を含む全ての現職の自衛官は,後方業務を担う部隊等に所属するものを含めて,いずれも本件職務命令の対象となる可能性が非常に高いというべきである。したがって,被控訴人の上記主張を採用することはできない。」と判断を示した。

高裁判決は処分の蓋然性についての事実を認定し、判断を示している

 後述する最高裁判決が高裁での判断が欠けていると指摘した「処分がなされる蓋然性」についても、東京高裁は、安保法が制定されたことを踏まえ、存立危機事態が生じ、防衛出動命令が発令される可能性があり、命令の対象となる自衛官について「特定の戦闘部隊に限られる保証はない。後方業務を担う部隊も含め、全ての現職自衛官は命令の対象となる可能性が非常に高い」と明確な判断を示していたことが特筆される。
 そして、命令に従わない場合について「社会的非難を受けたり、懲戒処分や刑事罰を受けることになる」とし、「重大な損害を予防するための訴えは適法」とした。 
 この判決に対して、国は訴えの適法性を認めた高裁判決を不服として、上告していた。

国の上告を認め、処分の蓋然性の有無についての審理のため事件を高裁に差し戻した最高裁判決

 最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は7月22日、国の上告を容れ、この訴えを適法とした二審東京高裁判決を破棄し、処分の蓋然性の有無についての審理を高裁に差し戻した。
 最高裁では、訴訟の適法性のみが争点となった。最高裁は、今回の訴えは「命令に従わないことで受ける懲戒処分を防ぐためで、行政処分の差し止め訴訟と目的は同じだ」と指摘し、こうした訴訟を起こすためには「処分を受ける現実的な可能性があること」が要件とされるのに、高裁はこの点について検討しないまま適法と認定したと判示した。しかし、これは高裁判決を誤読している。
 最高裁判決は、「本件訴えは,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分の予防を目的として,本件職務命令に基づく公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟であると解されるところ,このような将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は,当該処分に係る差止めの訴えと目的が同じであり,請求が認容されたときには行政庁が当該処分をすることが許されなくなるという点でも,差止めの訴えと異ならない。また,差止めの訴えについては,行政庁がその処分をすべきでないことがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められること等が本案要件(本案の判断において請求が認容されるための要件をいう。以下同じ。)とされており(行政事件訴訟法37条の4第5項),差止めの訴えに係る請求においては,当該処分の前提として公的義務の存否が問題となる場合には,その点も審理の対象となることからすれば,上記無名抗告訴訟は,確認の訴えの形式で,差止めの訴えに係る本案要件の該当性を審理の対象とするものということができる。そうすると,同法の下において,上記無名抗告訴訟につき,差止めの訴えよりも緩やかな訴訟要件により,これが許容されているものとは解されない。そして,差止めの訴えの訴訟要件については,救済の必要性を基礎付ける前提として,一定の処分がされようとしていること(同法3条7項),すなわち,行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があることとの要件(以下「蓋然性の要件」という。)を満たすことが必要とされている。したがって,将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は,蓋然性の要件を満たさない場合には不適法というべきである。原審は蓋然性の要件を満たすものか否かの点を検討することなく本件訴えを適法としたものといわざるを得ない。」
「以上によれば,原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな違法がある。論旨は理由があり,その余の判断の当否を検討するまでもなく,原判決は破棄を免れない。そして,上記の点等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」
 つまり、最高裁は、高裁が蓋然性の要件を満たすものか否かの点を検討をしていないことを破棄の唯一の理由としたのである。

最高裁判決は高裁判決を明らかに誤読したもの
 
 しかし、この最高裁判決には根本的な疑問がある。最高裁判決は高裁判決が蓋然性の要件について判断を示していないというが、前記に引用したとおり、蓋然性の要件についてはっきり判断が示されている。
① 存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないという被控訴人の主張は,平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし,採用することができない。
② 防衛出動命令は、内閣総理大臣が,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つことを任務とする自衛隊(自衛隊法3条1項)に対し,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)を含む我が国の国民の生命等に極めて高度の危険が発生又は切迫した事態に際して,我が国を防衛するため必要があると認める場合に発するものである(自衛隊法76条1項)。
③ そうすると,防衛出動命令に基づく本件職務命令を受ける対象が特定の戦闘部隊等に所属する自衛官に限られる保障はない。
④ 予備自衛官(自衛隊法66条1項)及び即応予備自衛官(自衛隊法75条の2)は,いずれも,防衛出動命令が発せられた場合のみならず,その発令が予測される場合にも防衛大臣の招集命令を受け得る立場にある(自衛隊法70条1項1号,75条の4第1項)ことに照らすと,防衛出動命令が発令された以上,控訴人を含む全ての現職の自衛官は,後方業務を担う部隊等に所属するものを含めて,いずれも本件職務命令の対象となる可能性が非常に高いというべきである。

 と明快な論旨にもとづいて、訴訟を提起した自衛官が職務命令の対象となる可能性が非常に高いことを認定している。「可能性が非常に高い」ということは処分を受ける「蓋然性がある」と言うことにほかならない。
 民事訴訟法第321条は、「原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。」と定める。最高裁は、本来高裁が適法に認定した事実関係に拘束され、これに対して法的判断を議論する場なのである。このような高裁判決の事実認定を覆すのであれば、具体的な証拠と根拠を示して、このような事実認定が経験則に反する違法な事実認定であることを具体的に示さなければならない。
 にもかかわらず、最高裁は、高裁判決が「蓋然性の要件」について判断を示していないと高裁判決を明らかに誤読した上で、原審は「蓋然性の要件をみたすものか否かを検討することなく本件訴えを適法とした」と判断し、高裁の行った事実認定をなぜ覆すことができるのか、どのような点で違法な事実認定といえるのか、何らの判断・根拠を示すことなく、高裁判決を破棄したのである。

報道に苦言を呈す
 この最高裁判決を報じている記事は、いずれも最高裁の説明にもとづいてか、高裁判決は「実際に命令が出る可能性までは言及していなかった」(朝日新聞)、「こうした訴訟を起こすためには「処分を受ける現実的な可能性があること」が要件とされるのに、高裁はこの点について検討しないまま適法と認定した」(共同通信)と報じている。これらの報道はいずれも誤報である。
 高裁判決をきちんと読めば、最高裁判決が誤っていることはたちどころにわかるのに、高裁判決を読まないで、最高裁判決だけを読んで、記事を書いているのではないか。
 この第一小法廷には、去る6月25日に、大崎事件の地裁・高裁の再審開始決定を無理矢理取り消した前科がある。司法記者は、最高裁判決の判断に根拠があるか、前提が間違っていないか、きちんとファクトチェックをした上で報じなければならないはずだ。

最高裁が安倍政権の意向を忖度していることは明らか

 なぜ、このような判決が出されるのだろうか。
 安倍政権が、集団的自衛権の行使について、違憲の主張を封じ込めることを目的とした憲法9条を改正し、自衛隊を明記するという改正についてアクセルを踏み込んでいるときに、このような政権の動きにブレーキを掛けるような司法判断が下級審であっても、万が一にも出されることがないように、憲法解釈についての判断そのものを困難にする目的で、この最高裁判決が言い渡されたことは、誰の目にもわかるだろう。
 まさに、政権の意向を忖度した判決そのものである。

裁判官は発言して欲しい
 こんなでたらめな判断で、東京高裁の裁判長が練りに練った高裁判決を覆されるようなことが続けば、全国の下級審裁判官は「どうせ、何を言っても最高裁で取り消されるなら、積極的な判断は回避しなければならない」という心理に陥り、萎縮してまともな判決を書くことはいよいよ難しくなるだろう。
 裁判官にも、事実をもとに、法律解釈について論議する表現の自由は認められている。最高裁は本当にこれで良いのだろうか。最高裁・司法は、政権の前にひれ伏すような存在となってはならないはずだ。心ある裁判官は、いま、ここにある司法の深刻な危機に際して、自らの見解をあきらかにして欲しい。

転載元転載元: 情報収集中&放電中

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