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大根は葉つきでなければならない。それが父母たちを悩ませる。



 農大一(世田谷区)の応援名物といえば、大根踊り。常設の応援団はない。踊るのは、野球部のベンチ入りしなかった部員だ。手に持つのは、青々とした葉つきの大根。これが学校の伝統だ。

 大根を調達するのは例年、選手の父母たちの役目と決まっている。応援用、おみやげ用と試合のたびに100本必要だ。

 昨年は、とにかく大変だった。

 6月いっぱいならば都内でも調達しやすい。試合が始まる7月に入ると近郊ものが手に入りづらい。いくつかの市場にかけあったが、葉つきが確保できなかった。

 いまの後援会長で、左翼手の相原勇介君(3年)の父・光良さん(48)がつてを頼って頼って、群馬・北軽井沢の農家に行き着いた。無農薬の大根を送ってもらえることになったが、ただし、泥つき。

 朝4時、北軽井沢を出発したトラックが板橋区高島平の店舗に着くと、光良さんが車で待ち構え、自宅に持ち帰った。家族で100本の大根の泥をぬぐった。第1試合に間に合わせるには、そりゃあもう、大忙し。

 2回戦、駒沢球場の第1試合。相原さんの自宅で洗っていては試合に間に合わない。泥つきのまま球場に運び、衣装ケースに水を張って、父母が総出で泥を落とした。

 昨年、調達した大根は3試合分300本。「大変だったけど、楽しかったよね」と母親たちが口々に言う。

 「目指せ700本」。決勝まで進めば、700本を用意することになる。今年は大田市場で、泥つきではない大根を調達できる手はずを整えた。後は、大根が日の目を見るように、雨天中止にならないことを祈るばかりだ。

   ◎   ◎   

 開幕を控えた3日、農大一の部員4人が緊張した面持ちで校庭にいた。大根踊りの本家、東京農業大学の応援団が手ほどきにやってきたのだ。

 今年の団長には2年の吉見俊哉君が志願。副団長の武井正貴君、団員の丹羽健君、一重和君には吉見君が声をかけた。

 「がむしゃらに声出して」「もっと思い切り足をけり出して、のばすっ」。大学の応援団長からゲキが飛ぶ。実際に大根を持つとダンベルのように重い。日頃、練習で鍛えているのに、踊っているうちに息が上がる。

 で、大根。吉見君ら部員は、試合のたびに父母が用意してくれるのは知っている。でも、葉つきを手に入れるのにそれほど苦労していたとは、知らなかった。

 口は出さないが金は出す。大根調達の手間は惜しまない。これが、農大一、父母たちのポリシーだ。




http://www2.asahi.com/koshien/88/chihou/etokyo/news/TKY200607060279.html

    

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