[スペインの"お先に失礼-説"]
2012年6月2日 土曜日 公開
解説
▽TV報道等ではユーロに対して日本円が円高となり、又もや為替介入うんぬんの話が出て来ました。
私が社会人一年生の頃は360円。 それからずっと毎日 為替レートを睨む仕事でした。 22歳から40年以上為替の報道を見て来ましたが、判った事はたった二つだけ。 為替レートの予測は不可能で有る事。 そして日銀による為替介入は効果ゼロである事です。 今後も焼け石に水で、効果はゼロでしょう。 つまり為替の上下変動に使われる理由等は全て後付けの理由です。 金価格の上下変動に使われる理由等も全部後付けです。 これだけ金価格上昇要因ばかりの状況なのに、下落しているのですから、後付けの理由を探し出すのも困難な状態です。
さて 本題に入りましょう。
▽スペインの苦境の記事をまず一つ紹介します。
http://blogs.telegraph.co.uk/finance/ambroseevans-pritchard/100017477/spain-runs-out-of-money/
既に日本の一般メディアでも報道されているので、気になる部分だけを紹介します。 報道されている救済の為の注入額は口先だけのものであり、今後 安心させる為に数字もドンドン変化する可能性がありますので、無視をします。
■■■
気になるポイント:
★Mariano Rajoy首相は欧州安定化基金からの救済支援の話すら否定をしている。「スペインの銀行システムの救済に外部資金は不要である。」と。
しかし、スペイン自身の銀行システム秩序回復基金は5.3Bユーロしか残っていないのに、現在 破綻してしまったBankia銀行には23.5Bユーロの注入が必要とされている。 何処から捻出できると云うのだ。
首相が外部からの救済を否定する理由は簡単で、もし外部救済が必要な程の窮乏状態であると認めると、スペイン国債の金利が跳ね上がり、その結果更に財政不足が拡大するからである。 となれば、ECBやIMFから裏口での救済金運び込みしか方法は残っていない。
★Barclays Capitalは、スペインの不動産バブルは道半ばの状態で、住宅価格は今後更に20%以上値下がりをすると予想している。 つまり、これらの住宅債券等の不良資産を抱え込んでいる銀行群は更に破綻の苦しみが続く事になる。
★スペイン経済は更に落ち込み税収は減り、歳出や社会福祉関連支出は増加するので、財政赤字を現在の8.9%から5.3%に減らす事など出来ない。 既にギリシャと同じ道を進んでいる。
■■■
記事の紹介は此処迄にします。
▽こんな事態になるのは、日本人からすれば、明々白々でしたね。 日本の不動産バブル崩壊から現在に至る道、此の20年間を振り返れば、そして 現在から未来の日本を想像すれば、判り切った事でしょう。 南欧諸国の場合は産業基盤が元々弱いので、立ち直るのも厳しいはずです。 その分 治療期間も長くなるはずです。
さて表題[スペインの"お先に失礼-説"]の話に移ります。
▲スペインの方がギリシャよりも先にユーロから離脱するかもしれないとの観測記事が出ています。
http://www.moneynews.com/StreetTalk/Spain-Eurozone-Greece-europe/2012/05/30/id/440588?s=al&promo_code=F0D4-1
■■■
記事のポイント:
★ギリシャは未だ小さい国で、経済も小規模。 しかし、スペインは救助するには大きすぎる。 ギリシャは2012年前半で、ECB,IMF等から170B$の支援を受けているが、スペインとなると、もっと大規模な資金援助が必要となる。
★スペインの場合、4家族に1家族の割合で失業。 小売産業の売り上げは前年対比で10%も収縮している。
★スペイン第3位の銀行の Bankia の救済だけで、現在24B$必要との事。(時間経過と共に救済資金は膨れ上がっているのが現状)
他の銀行だって危篤状態になるのはほぼ確定的。
■■■
記事の紹介は此処迄です。
▽記事では、次はスペインだ!と言っていますが、本当は良く判らないのです。 銀行の腐敗状態は密室でのみ語られ、真実が白日の下に晒される事は無いからです。 又 ヘッジファンドでスペインの空売りを目論んでいる連中は、自分のポジションに有利なように語るからです。 ポジション・トークです。
▲上述の観測記事ではスペインがギリシャよりも早くユーロから離脱するかもしれないと述べています。 では このような解釈は どうでしょうか? グラフを見て下さい。
★右のグラフは公的債務/GDP比率を表しています。 最下部がギリシャで2011年第4四半期には165.3%になっています。
では、名指しされているスペインはどうでしょうか? 68.5%です。
ポルトガルは107.8%です。
イタリアは120.1%です。 スペインよりずっと悪いのです。
★しかし、比率ではなく借金の金額で見ましょう。 左のグラフです。
ギリシャは365Bユーロです。
ポルトガルは184Bユーロでギリシャより少ないのです。
スペインの借金は734Bユーロですね。 金額は多いのですが、公的債務/GDP比率はギリシャの半分以下。
となると心配になって来るのが、イタリアです。 イタリアの借金は1897Bユーロであり、非常に大きいのです。
★そこで、自作グラフ(左上の簡単なグラフです)を作成しました。
借金総額x公的債務/GDP比率のグラフです。
ギリシャを基準とし、1.00としました。
これで測るとスペインよりもイタリアの方が危険な国になります。
フランス、ドイツだって安全か?どうか?は判りません。
▽長々と述べましたが、結論は簡単なのです。
次は誰が犠牲になるかは判らないのです。 例えば、今 話題のスペインの銀行 Bankia は、もう過去の物語です。 既に Bankia の次は何処の銀行だ?と言う話に移っています。 肉食恐竜の獲物探しなのです。 肉食恐竜Aは、獲物Xを狙い、肉食恐竜Bは獲物Yを狙い、肉食恐竜Cは獲物Zを狙っており、その順序は 相互関係があるので、結局は判らないのと同様です。
同様にギリシャの次はスペインなのか? イタリアなのか? それともポルトガルなのか?
ユーロの次は英国なのか? そして中国? 日本? 米国?なのか 現実世界は揺れ動き確かな未来は見えません。
しかし間違いないのは、順番がどうあれ、この結末は限界到達点の未来です。 有限の地球で、無限大の経済繁栄は不可能です。
何故なら究極的には「無限の人口増加が無理なように、経済活動も永遠の拡大は有り得ません。 究極的には経済活動とは、資源の食い潰しであり地球と云う我々の生息域の環境破壊」だからです。
繰り返しになりますが、この金融システムを維持する為の無限大のマネーサプライ政策には無理があります。
▲このマネーサプライの膨張から来る津波は、全ての国を飲み込んでしまうのは間違いありません。 他のシナリオを想像しようと試みても、他のシナリオは私の頭には浮かんで来ないからです。
|