短小説モンスター

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

モンスター〜懐旧編〜

イメージ 1

静かに満ちては引いてゆく波打ち際、日差しは暖かく柔らかく、風景を包んでいる。
白い砂浜が横長く伸び、その向こうには深緑の松林が続いている。
彼らはその白い砂浜に打ち上げられている。風が頬を撫でてゆく。

此処までくれば大丈夫でしょう・・・。」僕は息を切らせながらいった。
そうだな。」彼は仰向けになり、高く青い空を見つめて溜息をついた。
ケン一人が元気で辺りを見回している。
な、な、何か・・・き、聞こえます。」何かに気が付いたようだった。
確かに耳を澄ませば、笛と太鼓の音が風の中に聞こえている。
お、お、俺、み、見てきます。」ケンはそう言うと、音の方へ歩き出した。
遠くへは行くなよ!」彼は叫んだ。


風が気持ち良かった・・・




随分時間が経った、しかし、ケンが戻ってこない。

仕方なく僕らは探しに行く事にした。
松林を抜けると畑があり、その向こうの森の中から、今度ははっきりと祭囃子が聞こえていた。
森の中の階段を上りきると、通路があり奥に何やら建物がある。建物の横には小さい広場があり、
中が少し丸く高くなっていた。建物に向かう通路の左右には、人が立っていて良い匂いがして人
だかりになっていた。

お祭りですかね。」僕は呟いた。その時、広場でワアッと歓声が上がった。あ、ケンだ。
ケンは裸に黒いベルトの様な物を巻いていた。
お前、何してンだ?」彼が怪訝そうに尋ねた。
い、いや、な、なんか誘われちゃって・・・」ケンは困ったような顔をした。
よく見ると、丸い円から相手を追い出す勝負のようだったが、なかなか面白い。

周りの人々の服は布を巻いて紐で結んでいるだけの様で、継接ぎだらけであった。
靴は履いていない、草で編んだサンダルを履いていた。
泥で全身汚れてはいたが、顔は笑顔に満ちていた。のどかなお祭りだった。
良い所みたいですね。」僕は彼に言った。
そうだな、良さそうだな。」彼も笑っていた。

また、歓声が上がった。審判が勝者を称えている。次はケンの番だった。
よ〜し、行けぇ、ケン!」僕はケンに向かって叫んだ。
負けるなよ、ケン」彼も観客に混じって応援している。



暖かい日差しの中で、僕ら三人はお祭りを心から楽しんだ。
海からの風は涼しく気持ちよかった。


*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*

はい、これモンスターです〜
実は、以前最終回用に書いたもので、ボツにしちゃったんですが・・・
NINさんのご要望と、僕が彼らに会いたかったんで、記事にする事にしました〜

どうですか〜NINさん・・・・

そしてモンスターを復活させようと思います。
お仕事が忙しいんでなかなか筆は進まないとは思いますが、ガンバリマス。
あと、新作の単小説の連載も開始しようと思っています。
ではでは、次の発表まで、以前書いた『モンスター』を復習しててねぇ〜(≧▽≦)


*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*

  モンスター

 1. 〜奇襲編〜  2. 〜幽閉編〜  3. 〜慟哭編〜  4. 〜悠久編〜  5. 〜始動編
 6. 〜怒濤編〜  7. 〜嘗胆編〜  8. 〜奪回編〜  9. 〜彷徨編

え〜彷徨編を持ちまして「モンスター」は終了とさせて頂きます。
長い間のご愛読有難うございました。またいつか何処かで
彼らに会える日を僕も楽しみにしています。
有難う御座いました。

       m(_ _;)m Goleiroより
*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*

  モンスター

 1. 〜奇襲編〜  2. 〜幽閉編〜  3. 〜慟哭編〜  4. 〜悠久編〜  5. 〜始動編
 6. 〜怒濤編〜  7. 〜嘗胆編〜  8. 〜奪回編〜  9. 〜彷徨編

モンスター〜彷徨編〜

イメージ 1

三人は追っ手を逃れようと逃げた。人目を避けて山を越え河を渡りながら逃げた。
だが、彼らの行く先には必ず赤色灯を点けた車がいた。そして、いよいよ彼らは、
行き場を失っていった。
今彼らは森の中の大きな樹の根元に隠れている。表には戦車、空にはヘリコプター
そしてその付近をZ迷彩服を着た奴らが必死に探している。


大丈夫か、お前?」彼は心配そうに僕を覗き込んだ。
ええ、なんとか・・・出血が止まれば・・・」僕の左腕は肘から先が無くなっていた。
す、すいません・・・お、お、俺のせいで・・・」ケンが申し訳なさそうにしている。
そう言えば・・・前にも似たような事がありましたよね。」僕は可笑しくなって笑った。
ああ、腕を無くしたのは俺だったけどね。」彼もニヤッとした。
ちょ、ちょっと、い、い、行ってきます。」ケンはそう呟きその場を立ち上がった。
おい、無理するなケン!」彼の言葉に振り返り、ニッと笑って森の中に消えて行った。
さて、どうしましょう?」僕は痛む腕を庇いながら彼に問いかけた。
そんな事は良いから、ケンが戻るまで少し寝てろよ。見張ってるから。
また僕は笑った。「少し前にも聞きましたね。」僕はそう言うと安心して眠った。



暫くすると、ケンが片手に毛むくじゃらの腕を抱えて戻ってきた。
聞けば・・・聞くだけヤボなので二人は聞かなかった。
無いよりはマシでしょう。」僕はそう言うと、自分の左腕に宛がった。
みるみるうちにその毛むくじゃらな腕は、僕の一部となった。
皆は大丈夫ですか?」僕は新しい腕の調子を確かめながら聞いた。
見りゃ解るだろ。」そうだ、僕らはモンスターだった。

さて、これからどうします?」僕は二人に尋ねた。
逃げるのにも疲れたな。」彼はそう答えた。
突破でもするか?」冗談とも本気とも取れた。
ぼ、僕ももう、や、や、八百長は、い、嫌です。に、逃げるのも、い、嫌です。
ケンはそう言った。彼と僕は顔を見合わせてニヤリと笑った。
じゃ決まりだな、行こう!」彼が言うと、僕らは立ち上がった。





彼らが何処に行こうとしているのか・・・それは彼ら自身にも判らなかった。
ただ争いのない世界を求めて、この理不尽で不条理な世界を懸命に生きてきただけなのに。
しかしまた彼ら自身も、理不尽で不条理な、許されざる存在であったのだ。
相反する関係の中で、彼らはこれからももがき苦しみながら生きてゆくだろう。
でも彼らはもう逃げないと決めた。前に進むと決めたのだった。

        '大丈夫、彼らは負けない、彼らは死なない

        なぜなら・・・彼らはモンスターなのだから





深い森の中腹から、人の物とも思えぬ雄叫びが上がった。
麓の部隊にピンとした緊張感が張り詰める。
木々の枝がバサバサと揺れながら、麓目掛けて何者かが移動している。
やがて大きな翼を持つ黒い怪物、四足で鋭い牙を持つ茶色い怪物、
巨大な継接ぎの筋肉を持つ怪物が姿を現した。
それらは雄叫びを上げながら部隊に向かってくる。
戦車の砲口が一斉に怪物に向く。
隊員は横一列に並び銃口を向けている。
彼らの距離が急速に詰っている・・・

砂塵が怪物達をすり抜けて行く・・・




構えぇ〜・・・撃てぇ!!

モンスター〜奪回編〜

イメージ 1

しかし、なんでこんな格好しなくちゃいけないんですか?
国道の脇の小高い丘に身を潜めながら、僕は似合わない迷彩服を恨めしそうに睨んだ。
いや・・・格好から入るタイプだからさ・・・俺」彼はヘルメットの位置を治しながら言った。
彼は、昼間のうちに迷彩服と、襲撃の為の武器を買い込んでいた。
しかも、トンカチやチェーンって・・・これでいったいどうするんですか。
僕はあきらめて溜息をついた。僕たちモンスターなのに・・・
まあ、無いよりはマシだろう。この国は拳銃とか簡単には売ってないんだよ。それより、
そろそろ来るはずなんだけどな。」彼は時計に目をやった。
その情報って、信用できるんですか?」僕は少し不安になって尋ねた。
大丈夫だ、ケンは祖国へ強制送還が決まって、空港へ護送される。だから今日ここを通る。
間違いない。ある確かな筋からの情報だ。


間もなく、一台のワゴン車がヘッドライトを灯してやってきた。
グレーの車体に窓は鉄格子がある。間違いない、あれだ。
じゃ、行くぞ!」彼が動いた。
うわぁ〜!!」車目掛けて二人は走り出した。


ワゴン車はタイヤの悲鳴と共に、少し斜めになって停止した。10m程先には、牙のある口を
大きく開けた、全身黒い毛に覆われたモンスターが、大きく翼を広げ立ち塞がっていた。運転
手は慌てて車をバックさせようとした、その瞬間、屋根の上にドンという大きな音がして車が
衝撃を受けた。屋根は尖った爪のある足型にへこんでいた。茶色い毛のモンスターが屋根の上
に乗り、その鋭い爪で鉄板を引き裂いてゆく。中から空が見えそうになると、上から覗きこみ
一声吠えて、仲間を引っ張り上げた。と、その時数発の銃声が聞こえて茶色の左腕が血を噴出
しながら宙に舞った。赤色灯を点した3台の警察車両が、何時の間にかそいつらの背後に回り、
制服を着た警察官達が拳銃を構えていた。先ほどの運転手が彼らの傍で何かを叫んでいた。
3匹のモンスターは車を盾に隠れている。じりじりと警察官達は彼らとの距離を狭めてくる。

さて、これからどうする・・・



突然、彼らの目の前を黒い影が遮り、ドンッという音と共に警察官達前に立ち塞がった。
まったく、吉田さんたら・・・心配になって来てみたら・・・
そのモンスターは牙のある口で呟いた。
要するに、こうなるんじゃないかって思っとったんですわ。
翼を精一杯広げ、警察官達を威嚇している。
ここは私に任せて、ね、吉田さん。あんたら逃げなさい、ね。
何発かの銃弾をその身体と翼に受け、血を滴らせながらしゃべり続けている。
要するに、お父上には散々お世話になったんですよ、以前にね。だからね、ここはお返しって
事で・・・ね、jr。早く行きなさい!

そう言うと、拳銃を構えている警察官達に向かって翼を広げて突進していった。



逃げて行くモンスター達の後ろで、何十発もの銃声が響いていた。

モンスター〜嘗胆編〜

イメージ 1

どれくらい時間が経ったのだろう・・・


5分か・・・1時間か・・・それとも数日・・・







ハッと気が付いて身体を起こそうとした。その瞬間、左腕がズキズキと痛んだ。見るとべっとり
血が乾いた跡があったが、傷口は既に塞がっており、後はどうやら肩の関節が外れているようだ
った。僕は肩に筋肉に神経を集中させた。「ふん!」という声と共に肩の関節を元通りにして辺り
を見回した。闇の中にススキの穂が揺れている・・・そうだ、こんな事している場合じゃない・・・
僕はよろよろと立ち上がり、ススキを掻き分けて道路に戻り、街を目指した。



明け方に指定されたホテルに着いた。地方の街らしく、質素な造りのシンプルなフロントから彼を
呼び出してもらった。すぐに、彼は携帯で誰かと話をしながら階段をおりてきた。電話が終わるの
を待って、僕は頭を下げた。
すいません、遅くなって。
僕が言うと、彼は優しい笑顔を見せた。
いいんだ、どうせ走ってきたんだろう?
はい。
だったら、すこし部屋で眠るといい。
彼は僕の左肩をポンと軽く叩いた。
あ痛っ!
突然だったので僕は顔をしかめた。
ゴメン、肩をどうかしたのか?
彼が心配そうに聞く。
いえ・・・ちょっと・・・
まあいい、休んでろ。
彼はそう言った。



彼が外出をして、戻ってきたのは夕方だった。その間、僕は泥のように彼のベッドで眠っていて、
ドアが大きく開いた音で目が覚めた。目の前の彼は両手に袋を抱えていた。




彼は目を黄色く細めて言った。




ケンを取り戻すぞ!

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


.

ブログバナー

goleiro
goleiro
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

標準グループ

登録されていません

音楽(Guiter)

音楽(Music)

写真(Photo)

ペット(Pet)

読書(Reader)

美文(Write)

スポーツ(Soccer)

映画(Cinema)

演劇(Drama)

日記(Diary)

その他(Others)

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事