神戸な夜ご飯

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ブログ短編小説

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ブログ短編小説『刺子のマフラー』を読んでいただきありがとうございました。

書き上げて印刷してみました。16ページに及ぶ物。

少なからず驚きました。

最後まで皆様が読んでくださって暖かい書き込みを下さったからこそ。

本当にありがとうございました。

お礼と言っては何ですが、この小説のメイキングと言うか、どうやって出来たかを…

暴露。面白おかしく読んでいただけたらと思います^^


1. 物語の発端について

  理由は簡単に説明すると、次のような順となろうか。

  先ず、TV。年末年始のつまらぬ特番ばかりで観るものがない。

  此処一ヶ月、ぼんやりと何かを書いてみたいと…

  次に、店の紹介。年末年始はパートナー共に都合がつかず紹介できない。

  時実女史の川柳の最終書き込みあたりから短い小説のような物になったらと思った。

  正月の明け、二日に手持無沙汰もあり、手許の刺子のマフラーを洗い張りした。

  小説に付き物の何か「小物」の登場。これでいこうと決まった。

  これである程度スタート出来る…と言う無謀なスタートであった^^;

2. 物語と現在の気候状況、他の「小物」そして亜希子について

  年明けから、どの地方も寒さが増したので場所は特定しなくて良くなった。

  よって、季節設定は霜月から睦月。短編なので季節限定とも言える。

  出きるだけ短く、いろんなチョイスを盛り込もうとvo.2には決定していた。

  例えば「小物」は好きな物をいっぱい登場させました^^;

  順に「刺子のマフラー」「加賀友禅」「博多献上」「伊賀の組紐」「大島」「根付け」

  「たとう紙」「日本画」「香」「浄瑠璃」「音楽」「茶」「焼き物」「作務衣」etcです。

  どこで登場させるかは…大変でした^^;無理なく話しの中に納まったと思いますが

  どうでしょうか?^^;

  次に、問題の女性「亜希子」について…パートナーとも相談したのですが、これは

  最後まで秘密のままが良いと言う結論に達しました^^;ご了解ください^^;

  因みに、パートナーがモデルではありません。亜希子は亜希子です。

3. 各小節の言葉と情景と登場人物の年齢設定について

  言葉は、九月から今まで掲載してきたお店や川柳の紹介やその他のものと変えぬ。

  それには気をつけました。例えばお店の紹介にしても、実際に行って楽しんでいた

  だけるよう、物語タッチで紹介しています。また、ブログ開始から四ヶ月を過ぎた。

  お店紹介から始めて、豆知識や、川柳、此処に来て小説もどきまで登場^^;

  一貫性がない^^;よってとても気を使いました。書き出した言葉に統一。

  逢瀬の情交シーンにはとても悩んだ^^;これは人それぞれ^^;
  
  皆さんの想像に任せました。

  情景は、映画好きなのが影響していると思う。各場面を文字で動いて見えないか?

  それが課題でした。「…」に想像を膨らませて貰ったり、時間や空間を感じてくださったのなら嬉し

  いです。着物の風情もそう。八掛等、見え隠れする所にお洒落で登場して欲しかった。言葉を捜して

  言葉がない無粋な男も。どうやったらその姿を想像してもらえるか?タクシーでの最後の別れは、ち

  ょっと自分でも苦しいくらい胸を掻き毟りながら書き終えました^^;

  さて、男の年齢。これは、簡単。ちょっと渋めですが、自分を重ねてのものです^^;

4.最後に…

  小物にもう一つ「火鉢」があります。これは無理やりでした^^;

  マンションで火鉢は無理?けれど、亜希子からの年賀状はメラメラと燃えて欲しい。

  灰皿では情緒も何も無い。よって幼い頃から、好きだった火鉢に登場してもらいました^^;

  何度か読み返してみました。何箇所も「あかんわぁ!」と反省。

  次回がもしあれば、もう少しましなものをと思っております。

  最後まで読んで下さってありがとうございます。

  皆様の書き込みを拝見し、何かしら達観できた竹の花です。

  本当にありがとうございました。    竹 拝

紅白も終わり、風呂へ入る。

カウントダウンは風呂で洗髪のあたりだろう。

風呂からあがると新年になっていた。

裸でベランダへ出てみる。

立ち昇る湯気が心地良い。

若人のように叫ぶか…叫ばない。

数分で寒さに負け、そそくさと部屋へ戻る。



友人の気配りのお節に舌鼓を打ちながらピアノ・ソロを聴く。

転寝のつもりが、しこたま寝たようだ。

午前六時を過ぎている。

軽くシャワーを使い、結城の刺子織作務衣に着替える。

綿入れをはおり、郵便受けのブースへ。

輪ゴムで束ねられた年賀状を取り出し、寒いので急いで戻る。



換気をしながら火鉢を抱き込む。

炭の上で、南部鉄瓶が沸騰している。

有田の湯冷ましで沸騰したお湯を落着かせる。

一人初釜と洒落込んで…年賀に目を通すか。

輪ゴムを外し、年賀状に一枚一枚目を通しだす。

ここ10年で、年賀状も様変わりした。

表書きはPCで印刷、どれもが同じに見える字体で誰からのものかわからない。

裏返してみる。

一筆、書き込みがあればまだ救える。

印刷済みの年賀かインクジェットで印刷したそれがほとんど。

末尾で差出人が判明と言うのが最近の年賀状である。

あと数枚で読み終えると言う時、その年賀を手にした。



見覚えのある、流麗な筆字。

一瞬の内に蘇る記憶。

美術館での記帳や、逢瀬をせがむ手紙…

間違えようがない亜希子の文字。

何故今頃、年賀なのだ?

あのタクシーで別れてから何年経ったのだろう…。

戸惑いと狼狽。

裏返してみる。

…家族の写真。

彼女と亭主、抱き寄せている幼子…。

私は、年賀に微笑んでいた。

挨拶の結びが「上京の際は、是非お立ち寄りください。」

彼女はまた大人になったようだ。

写真に納まっている彼女の顔は、私が知らない顔。

妻であり、それより頼もしささえある母の顔になっていた。

その年賀を火鉢へ。

あっと言う間にメラメラと燃えつくす。

…。

何かが終わった。

煎茶が久し振りに美味しいと思えた。



酒仲間達が続々と訪れる。

心地良く酔えた元日であった。

二日になり、書きそびれていた年賀返しも済み、朝風呂も済ませた。

あれから何年たったのだろう?

もう、思い起こすのは止めよう。

一度も洗っていないマフラーを洗い張りする。

心の奥底で、何かしらのけじめがついていた。

道行。

梅川・忠兵衛いや、お初・徳兵衛の曽根崎心中。

この世のなごり 夜もなごり 死にに行く身をたとふれば、

あだしが原の道の霜 一足づつに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ

あれ数ふれば暁の 七つの時が六つ鳴りて 残る一つが今生の

鐘の響きの聞き納め 寂滅為楽と響くなり…



何度か、二人で訪ねた寂れた宿もあった。

狂うほどに求め合いながらも彼女は頑なに避妊に拘った。

覚悟の逢瀬に避妊はない。

道行はないのである。

今生で、七つ目の鐘を聞いている。



彼女は、昔を、また家の話をほとんどしなかった。

知り得る情報は、商社勤務の夫と社宅マンションに二人暮らし。

一回だけ、淡々と幼子を昔に亡くしたと呟き、その後一日中泣いていた。

その日の帰り際「二度と訊かないで」と背中が語っていた。



ワインを飲み干し、煙草を燻らす。

紫煙の向こうに冬の早過ぎるくらいの夕暮れの空が覗える。

一頻り泣きじゃくった彼女も今は落着いている。

私は、一言も発しなかった。

発せなかった。

「ついて来い」とは言えない。

「そうか」ではない。

いつもよりはしゃいだりしていて何か予感はあった。

しかし、突然の事で思考がついて来ない。

気の利いた言葉の一つも出てこない。

結局その後、二人は何も語らず粛々と身繕いをし、帰るべく仕度。

苛々と煙草の本数だけが増える。



宿を出て、普段へ帰すようにタクシーへ彼女を乗せる。

手を握ろうとしたが、気づいてくれない。

こみ上げるものがある…

開いていた窓がオートで閉まりかける。

閉まった途端、彼女が口を開く…

「馬鹿!馬鹿!馬鹿!」ハンカチが間に合わず涙が溢れている。

タクシーが走り出した。

私は、彼女が数時間前にくれた刺子のマフラーを握りしめていた。



最終章へ続く

「聞香」とは、香をかぎ分けてその種類をあてて楽しむ事。

五感を研ぎ澄ます。

一心に鑑賞する行為。

それを「聞く」という。

音も時間もない空間で、二人どれだけそれを楽しんだだろう…



シャワーを済ませ、出てきた彼女は「もう、逢えない。」と言う。

言わずもがな、理由は聞かなくても歴然としている。

亜希子は、商社に勤務する営業マンの妻である。

商社社員の転勤が常である事は充分に把握している。

この五年の間、波風が立たないはずはない。

快楽の後先に、匕首を首に…そんな情景もなかったわけではない。

川柳に「ころしてよ頸に冷たい手を巻いてよ」とあるが、

そう言い寄られて、刹那に首へ手を持っていった時もある。



彼女に出逢う数年前、私は離婚を経験している。

子供もいた。

世間で言う、性格の不一致か?

取り囲む環境は、面白おかしく話題にしてくれる。

余計なお世話である。

離婚は、子供が犠牲者。

子供には何の罪もないのである。

そして、夫婦だけでは済まされない今までの環境がある。

人の噂も75日…否、数年かかった。

堪えるエネルギーは普段の仕事、生活以外に必要なのであった。


次へと続く

二人の出逢いは遡る事、五年も前のこの季節であった。



霜月。

この季節、美術館ではその年最後の催事でもある。

師走に始まる催事は今まで記憶が無い。



『上村松園、松篁と伊東深水の三人展』日本画画伯三人のものだったと思う。

前々からの松園ファンであり、年末は近いと言えど緩急はある。

観たいと思えば、どうにかしてでも時間は作るもの。

その日も、いそいそと出掛けて行った。

三者の作品を季節ごとだろうか?(松園と松篁は親子だから作品発表順ではない。)

500円を払い、作品説明をイヤホンでしてくれるグッズを借りる。

順に回る…楽しい。

途中、仕事の電話・メールが何度もバイブでワイシャツの胸ポケットで振るう。

緩急の緩をみつけて行ったが、仕事も気になる。

美術館内で携帯が途切れる場所もあり、益々いらいらとしてくる。

手洗いへ避難し、諸々を済ませ展示場へ戻る。

亜希子はそこに佇んでいた。

私が、展示場へ戻り、そこの説明をグッズで楽しんで…唸った作品の前であった。

ばたばたと最後まで観て帰り際、そこへ戻った。

まだ彼女は佇んでいた。

作品は、伊東深水の「聞香(もんこう)」である。

後日、日展への出展作品だと判明。




出逢いとはそう言うものではないのだろうか?

戻って、絵の前に佇む彼女が素敵だった。

あの日も着物。

軽いお出かけふうの、訪問着かつけ下げ。

体を反るくらい凛として画と向かい合っている。

深水の絵も、私に声をかける勇気をくれた。

自分の背中を押しつつ、彼女の背中を押したのである。

「お香を聞かれるのですか?」



隣接の喫茶店で、時間も忘れ話し込んだ。



その日から、逢えても逢えない日でも香はいつも二人の間に存在した。

逢えない時間を、同じ香を聞く時間で紛らわすかのように…



あれから五年も経ったのだ…

春の花見も、夏の花火も、秋の紅葉も、冬の風花もいつも二人の時間があった。



しかし、バスタオルを巻いただけの姿でバスルームから出てきた彼女は、

唇を震わせ、涙をため、かぼそい声で一言。

「あのね、もう逢えないの。」

受け止める余裕は無かった。

ワインを飲み干し、傍に寄り抱きしめていた。

ずっと、ずっと、ずっと…



次へと続く

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