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後藤ひろひと OFFICAL SITE ひろぐ

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いつだって日本中の色々な場所でひろいでいるくせに
それらは全て舞台公演ツアーのついでだったりするわけで
実のところを明かすと
後藤ひろひとという人は
自分で特急電車の切符を買ったり
自分で「ホテル」を予約したりした経験がほとんど無く
いっぱいに緊張してしまう人物なのである!

そんな私がぶらりと
プライベートで「名古屋」に行ってみた!
目的は「名古屋」在住の女優
「日坂朱里(ひさか・あかり)」が主演・プロデュースする
『ダブリンの鐘つきカビ人間』
を観劇するためである!

『ダブリンの鐘つきカビ人間』とは
私が1996年に劇団「遊気舎」を引退する際に書いた脚本だ!
なのでかれこれ15年も昔の作品である!
後にPARCOプロデュースでも新バージョンが2回上演され
私のプロフィールなどを見ても
必ず記載されているところを見ると
いわゆる”代表作”として認めていただいている作品なのだろう!

どきどきしながら「上本町」駅に向かい
近鉄特急「アーバンライナー」の切符を買った!
驚いた!
「難波」「上本町」「鶴橋」という
いずれも我が家の近所にあり
歩いても移動できる3駅に停車したら
その次の駅は「名古屋」だと言うではないか!
そんな大雑把な乗り物があったのか!
名作『あしたのジョー』の対戦相手で例えれば
不良→チンピラ→少年院の看守→ホセ・メンドーサ
のような並びである!

しかしどうにも快適なこの「アーバンライナー」!
私はすっかりファンになってしまった!
車体のカラーリングやデザインが優れている事のみならず
全車両内に設置されたテレビモニタには
なんと!
先頭車両に取り付けられたライブカメラの映像が
常に映し出されている!
なのでどの車両に乗車していても
自分が操縦している気分でいっぱいだ!
どれほど粋な人によるアイディアなのだろう!
これを提案した人と
それにゴーサインを出した人には
「後藤ひろひと運輸賞」と共に
白いギターを進呈したい!

イメージ 1

「新幹線」ならば1時間もかからない
「大阪」から「名古屋」なのだが
「アーバンライナー」の乗車時間は約2時間だ!
しかしなんならもう1時間乗っていたいと思える
そんな素敵な乗り物に巡り会ってしまった!

イメージ 2

はてさて!
決して「鉄道マニア」ではないとの注釈を付けながら
「アーバンライナー」をひろいだ私は
やがて「名古屋」に到着した!
公演会場である名古屋市北文化小劇場は
「黒川」という場所にあった!
奇麗でこじんまりとした200席ほどの気持ちのいい劇場だった!

イメージ 3

客席に着いた私はものすごく緊張していた!
自分が書いた作品を客席で見る時には
いつだってそうだ!
恐らく自分の新作舞台の初日よりも緊張する!
自分の舞台の初日であれば
何かトラブルが起こったり
客席がまったく盛り上がらなかったとしても
自分がそこにいる以上は
なんとかできると思っている!
しかしながら客席で見ている状況であれば
何の手出しもできない!
トラブルがあっても
野次が飛んだとしても
ただひたすら眺める事しかできない!
きっとその壁を感じるがゆえの緊張なのだろう!

かくして舞台はスタートした!

荒野に建つ霧に包まれた屋敷の中で
道に迷った男女の旅人と
屋敷の主が会話を交わす!
家主はその土地がかつてはたいそう栄えた街だったと言い
自分はその街の市長だったと言う!
やがて霧の中から聞こえて来る鐘の音!

「不思議だねぇ・・・
 ずっと鳴り続けるんだよ・・・
 鐘なんかもうないのに・・・
 誰が・・・突いてるんだろう?」

私が「ヴィンス」と呼んでやめない
大好きな俳優「ヴィンセント・プライス」をイメージして書いた
「市長」の言葉が語られると
そこから舞台は病に冒された不思議な街へと変わって行く!

知っている!
私はどの俳優が次に何を言うのか何をするのか
全てを知っている!
だけど舞台の上にいる俳優達の顔を
「日坂朱里」以外誰も知らない!
これは私をとても不思議な気分にさせる!
「記憶」になんらかの障害が起こっているのか?
とまで感じさせてくれる!
見ていると
ところどころで私の記憶にない言葉が飛び出す!
今回のプロデュースにおけるアレンジ部分だ!
そんな記憶にない言葉に時折はっとしながら
私は今と昔とを行ったり来たりした!
懐かしくて新しい
そんな珍しい時間を体感した!

クライマックス最後に
主人公「おさえちゃん」
奇跡の剣「ポーグマホーン」を振り上げて叫ぶ!

「奇跡なんてくそくらえ!
 ポーグマホーン!」

そしてその剣で自らを貫く!
ふと見渡せば多くのお客さんが涙していた!
私はこれまでその涙を舞台の上でしか知らなかった!
これほどまでに観客席の心を動かす世界を書いていた事を
実はよくわかっていなかった!
しかし客席にいる事によって
何か不思議な幸せをいっぱいに感じた!

これまで世界で一番多く
「おさえちゃん」と「カビ人間」の死を目撃した人物は
間違いなくこの私だ!
しかし生まれて初めて客席から見た
「日坂朱里」が演じる「おさえちゃん」の死は
私にとって少々特別な物として感じられた!
「日坂朱里」以外のキャストにもスタッフにも
何も知らせずに突然観劇に訪れ
たいそう驚かせてみようと「名古屋」まで行ってみた!
なんだか怖い原作者のふりをして客席にいてみたかった!
しかし意外にも
私が見上げた舞台にいたのは
15年前の私であり
そこに至るまでの私であり
そこから今に続く私だった!
そんな様々な時間の私から
未来の私を見つけて行こうと感じた!

かくして朝の3時まで
打ち上げに参加させてもらって大騒ぎ!
「名古屋」の俳優達といっぱい語り合った!
この作品で俳優を引退するという「真奈美」を演じた女優に
たまたま着ていたトッテナム・ホットスパーのミッドフィールダー
「ラファエル・ファン・デル・ファールト」
「ユニフォーム」を進呈した!
なので帰りはずいぶん寒かった!

イメージ 4

翌日「アーバンライナー」で帰宅した私は
書斎「LEVEL 4」のクローゼットを開けて
ある物を取り出した!
PARCOバージョンの『ダブリンの鐘つきカビ人間』で
実際に使用した奇跡の剣「ポーグマホーン」だった!
なんだかふと見てみたくなったのだ!
1000人斬ると奇跡が起こるという「ポーグマホーン」!
しかし本当の奇跡は
上演されるたびに悲しく死んでいく「おさえちゃん」と「カビ人間」が
15年経ってもなお日本のどこかで
また出会っては恋に落ちる事なのである!

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ついでに
番組『メイド・イン・カンサイ』
鉄道カフェにロケに行った際に頂戴した
「アーバンライナー」の「プラレール」
デスクに飾ってみた!
仕事で「名古屋」に行く時には
「アーバンライナーで行かせて下さい!」
と頼む
面倒にしてエコノミックな作家になりそうな予感でいっぱいの秋である!

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