一人の芸人が その芸能生活に終止符を打つからと言って 決して涙にくれる会にはしたくなかった! なにしろお笑い芸人なのだから やはりいつどんな時でも楽しく過ごさなければいけない! 「レオン・カヴァレロ」も オペラでそんな事を書いていた!
「すーちゃん」こと「青空須藤」が企画したその宴会は 「まいど会」というコードネームで呼ばれた! 引退する「ストリーク」の「吉本峰之」君 通称「まいど先輩」には 「すーちゃん」と私と3人で小さく飲む会だと告げた! それを聞いた「まいど先輩」は
「楠見さんは来てくれへんのや・・・」
と私の「カミさん」が不参加である事を 少々悲しんでくれたと言う! 仕方が無い! なにしろ今の彼女は私の「カミさん」以上に 「ロミオのママ」だ!
しかしながら3人だけで飲むなどというのは嘘だ! 我々はいっぱいで待っていた! 「ストリーク」とは「NSC」で同期の「ランディーズ」からは 「高井」君が来ていた! 飲み会秘密結社「谷町会」の付き合いから 「安尾信乃助」先生もいらっしゃった! 「藤崎マーケット」の「たさちゃん」こと「田崎」君もいた! 「span!」の二人もいた! 「銀シャリ」の「橋本」君もいた! 「テンダラー」の「しら」こと「白川」君もいた! いっぱいいた! いっぱいの芸人で待ち構えた!
私は「野球」を知らないながらも 「ストリーク」の漫才が好きだった! つっこみである「まいど先輩」が 実に真剣に怒る姿が好きだったのだ! 私の中にある”いい漫才”と”悪い漫才”の違いは つっこみが真剣に怒るか もしくはお客さんが笑ってもいないのに へらりと笑いながらつっこむか そのどちらかである! もちろん私は前者だけを評価する! 毎日舞台で交わしているであろうやりとりに 思わず笑ってしまう事などあり得ない! それでも笑ってしまう事によってお客さんの笑いを誘う事は とんでもなく高い技量の芸人だけができる事であり デビュー10年以内の芸人になど 決してできる芸当ではない! しかしどういうわけか それに挑もうとする芸人があまりにも多いと感じてしまう! その点「まいど先輩」は舞台の上でいつも怒っていた! 「ストリーク」の漫才が心地いいのは そのおかげだったと私は思っている!
YouTube: ストリーク「メリーさん」
「お前らこんだけ揃って何してんねん!」
やがて何も知らずに現れた「まいど先輩」は 我々を見るなり猛烈な怒鳴り声を上げた! そうそう! それが「まいど先輩」だ! 我々は大きな声で迎えた!
まいどー!
「まいど先輩」は躊躇しながらも本能的に返した!
まいどー!
普通ならば「まいど先輩」に続いて言う言葉なのだが 今回ばかりは我々がリードした!
まいどー!
いっぱいの笑顔で「まいど先輩」は返した!
まいどー!
何度も何度も「まいど」した! 「まいど先輩」が泣くまでやってみようと思ったが さっさと飲みたいのでいい加減にしてやめた! そうでなければ楽しい「まいど会」にはならない! かくしてそこからは大宴会である!
あまりマスコミでは発表されていない事だが 「まいど先輩」は今後 資格を取得して不動産業に進むのだそうだ! 既にそれに向けて猛勉強中だと言う! 素晴らしい話だ! 以前も『ひろぐ』に記したが 17年間もやり続けた仕事を辞めるには とんでもないパワーが必要だ! しかしその上で 生まれて初めての事に挑むには 更なるパワーが必要だ! 「まいど先輩」にはそのパワーがあったという事だ! 改めておめでとう「まいど先輩」! いつの日にか 「まいどホーム」の看板が 関西中に立ち並ぶ事を祈ろう!
さて! 引退する事によって 「まいど先輩」のトレードマークである 「まいどー!」 はその後どうなるのか? 誰か後輩にでも譲るのか? 飲みながらそんな話題になった! しかしよくよく考えてみれば それは別に「まいど先輩」が考案したギャグではなく 実に普通な関西人の挨拶なわけで そもそもの権利は 「大阪人」全員にあるのだという結論に至った! つまり! 「まいど先輩」はこのたび! 「まいどー!」 を「大阪府」に返還する! 今後は校長先生の朝礼でも 社長の結婚式挨拶でも 府議会答弁でも 自由に「まいどー!」を飛び交わせる事が許される! さぁ! あなたも明日から「まいど」しよう!
そんなどうでもいい事を思っている矢先の事!
マネージャーの「サー・ストライカー北橋」が 私の担当を外れて東京に転勤する事になった! とうとう彼ともお別れだ! その話はまたいずれにしよう!
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