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後藤ひろひと OFFICAL SITE ひろぐ

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「このお話には理解できない点が2つあります!」

小学1年生の時の国語の授業で
童話『浦島太郎』を読み終えた私は
起立してその感想を語った!

「1つは皆さんもお気づきの通り
 人間は水中で呼吸などできないという点です!」

もっと子供らしい口調だったに違いないが
次の2点目の内容を「ママ」から聞く限りは
大人の話し方で表記しても構わないと感じた!

「もう1点!
 冒頭には”浦島太郎という漁師がおりました”と明記されています!
 漁師たる者は日々魚類を殺める事を生業としています!
 そんな業者がある日一匹の亀を助けただけで
 鯛や平目は舞い踊ってくれるものでしょうか?」

我が事ながら実に面倒な小学1年生である!
私自身この事件の記憶は一切無いのだが
「ママ」が先生から直接聞いた話らしいので
ねつ造されたものではなかろう!
なにしろ私はそんな頃から
『浦島太郎』という童話には
おおいに疑問を感じて生きてきたのだ!

「上方落語」に関して時代背景などを独学で研究するうち
「これは私が自分の手で舞台作品にしなければ!」
と思わせるすごい題材に出会った!
もしその話を書き切れば
”なぜ大阪人は本能的に他人を笑わせようとするのか?”
という大きな大きな文化人類学的疑問に
的確な答えをもたらす事ができる!
そんな驚くべき史実だった!
さっそく興味を持ってくれそうな劇場のプロデューサーに
私の頭に浮かんだ仰天の歴史物語を語ると
”是非うちで!”
という嬉しいお返事を頂戴した!

しかしながら
「あまりうまく本を読めない私」の独学など
早々に限界を迎えてしまう!
果たして私の頭にあるストーリーは
歴史物語として成立しているのか?
はたまた完全な妄想の粋なのか?
その解答を得るべく
昨日私は「大阪天満宮文化研究所」を訪れた!

「大阪」で数少ない「寄席小屋」の一つ
「繁昌亭(はんじょうてい)」の人気により
年々参拝客が増加している「大阪天満宮」!
その境内の中に建つ研究所で
「大阪」の文化史を長年研究されている
「高島幸次」先生は
ひげをくるんと巻いた私を
「誰か知らんけどどないしてん?」
と快く迎えてくださった!

「高島幸次」先生との対話は
なにからなにまでエキサイティングだった!
こんなストーリーの物が史実として通用するのか?
と私が話した物語に
細かく沢山のアドバイスを下さった!
そして沢山の補足や
沢山のアイディアをも頂戴した!
こんな話もありますよ!
こんな絵もありますよ!
こんな記録も残ってますよ!
聞けば「高島幸次」先生もまた
演劇脚本や「落語」台本を書かれる方だとおっしゃる!

「なんしか後藤さんがお知りになりたい題材は
 とにかく資料も記録も少ないんですわ!」

実はそれこそ私にとって好都合だ!
「高島幸次」先生はそれを即座に見抜かれた!

「僕ら歴史研究家はね!
 記録に基づく事実しか書いたらあかんけど
 作家さんやったら逆に記録にあれへんところを狙って
 好き勝手に書いたらよろしい!」

今後もいっぱい相談させて頂く約束を結び
私は他に無いとんでもなく面白い「大阪史」を描く準備に入った!
完成すれば私にとって初めての”着物芝居”である!

「天満宮に”亀の池”がありますわ!
 ええ!
 今も亀が泳いでます!
 そこでね!
 ”放生亀(ほうじょうがめ)”言うビジネスで大儲けして
 そのお金で自分の劇場を建てた男がおるんです!」

「しちゃらかぽこぽこ」
という名のビジネスの話を聞いて
へらへら笑っているところに
今度は「放生亀」が語られた!
なんだろう「放生亀」?

「太い竹を短く切って地面に置いてね!
 その上に亀をお腹で載せておくんですわ!
 ほんなら亀は歩かれへんようになって
 宙で手足をばたばたさせますわな!
 それが哀れやと思わはる方は
 お金を払うて亀を池に放したって下さい!
 ”放生亀”はそんなビジネスです!」

日本という国
特に「大阪」という街は
どうやらすさまじいまでに幸せな場所だったようだ!
そんなビジネスが成立するどころか
それで財が成せる時代があったと言うのだ!
亀をかわいそうな目に遭わせる張本人に
現金を支払って亀を助けてあげる事によって
あぁ今日はいい事をしたな
とお客が気持ちよくなるビジネス!
それが「放生亀」なのだそうである!

ややっ?
亀を助ける?

「先生!
 それってひょっとして『浦島太郎』と関係がありますか?」

私の問いに先生は即答された!

「ありません!」

あらら!

「『浦島太郎』の中の”亀を助ける”くだりは
 恐らく学校教育に取り入れられる際に
 欧州童話の影響で
 無理矢理補足された教訓やと考えられてます!」

どんなアクション映画を見るよりも
「高島幸次」先生のその言葉が
私には痛快に感じた!
そうだ!
そうなのだ!
『浦島太郎』は冒頭で亀さえ助けなければ
とても納得のいくストーリーなのだ!
亀を助けて歓待される事に
幼い頃から疑問を持ち続けた私だが
その歓待してくれた連中が
あろう事かガス兵器のような危険物を
おみやげに持たせるという部分にも
更に更に納得がいっていなかったのだ!
ある日なんだかよくわからないけど
浜辺で亀から突然
「ちょいと背中にお乗りなさい!」
と言われてああいう末路に行き着く漁師の話ならば
とても合点がいく!
それならば老化して途方にくれる太郎翁に対して
「ほらな?」
と言葉をかけてあげられる!
そうでなければ
”亀を助けると老ける”
という内容になり
なんなら
”若くいたければ亀は助けるな”
という教訓を頂いてしまうのだ!
「高島幸次」先生にお会いした事で
私の中の長い長い闘いが終わったのであった!

「そうそう放生亀!
 なんで劇場主になるほど儲かったか言うとね!
 ほんまかどうか知りませんよ!
 知りませんけどね!
 その亀!
 夜になったらみんな池から戻って来るように
 しつけてあったらしいですわ!」

本当に幸せな時代を感じる事ができた時
私も池のほとりで
竹筒に亀を載せて財を築こうと思う!

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