いい映画を見た!
最新のCG処理映画に目が慣れてしまうと 白黒のざらざらな映像が恋しくなる! そんな折に『機械人間』が届いた! 最近では「阿見松ノ介(あみ・まつのすけ)」と名乗り なんとも奇妙なスプラッター映画の監督となり ”浪速のエド・ウッド”と称される彼は 「ゴミ映画」DVD専門レーベル 「WHD」の社長でもある! そんな彼からは毎月「WHD」リリースの 新作DVDが贈られて来る! それらは海外製作の 出所不明で聞いた事もない ドライブイン・シアター映画が多く どれをどれだけ見ても 面白い映画などあったためしがない! 本来ならばそんな映画にこそ猛烈にひろぐ私なのだが 『突撃!お色気海物語』 とか 『おっぱいもりもり大作戦』 とかいうタイトルの作品が届くと どうせたいした作品ではないにしても 「カミさん」を前にものすごく気まずくなってしまう!
「うん・・・ まぁ・・・ 届いたね今月も・・・ こんなのが・・・」
そんな調子なので 今月も届いた封筒をかなり恐る恐る開封した! その中に! どうにも気になる『機械人間』が含まれていたのだ!
1935年製作のソ連映画で 登場する素晴らしいデザインの「ロボット」には 「RUR」と書かれている! チェコの作家「カレル・チャペック」が その戯曲『R.U.R』において 世界で初めて「ロボット」という言葉を生み出したのが 1920年! 「チャペック」がタイトルに用いた「R.U.R.」は 劇中で「ロボット」を生産する架空の会社名だ! なので「R.U.R.」と「ロボット」とは 本来ならば直結する言葉ではない! なのに『機械人間』に登場する「ロボット」の胸には 「RUR」と書かれており 彼らは「ルル」と呼ばれている! この明らかな「カレル・チャペック」へのリスペクトに なんだかにこにこしてしまった!
そしてこの映画の何より優れている点は 現在でも見劣りしない編集テンポと 飛び抜けてユニークなセンスだ! 音声信号で操作する「ルル」なのだが 主人公の工学技術者ジムは 「ルル」をサクソフォンで操る! 「ルル」を動かすために ぱふぁらふぁーとサックスを吹くのだ! うっかりすると東京コミックショウの 「レッド・スネーク・カモン」になってしまうのだが 「ルル」を完成させた喜びや 労働者家庭出身の自分が 実兄から”政府の手先”と呼ばれた悲しみが サックス演奏で可動する「ルル」の電子頭脳に 直接伝わって行く! この発想はとんでもなく美しい! 作品全体のテーマは当時のソ連らしく ”資本主義打破”ではあるものの ”奏でる音楽を通じて人間の感情が機械に伝わる” というあまりにも美しいそのシステムに 完全に魅了された私は なんとかこの作品を舞台化できないものか? と空想にひろいでしまうのである!
世界で初めて「ロボット」が生まれた 「カレル・チャペック」の『R.U.R.』でも 後半を占めるストーリーは 「ロボットに心を持たせたい」 というものだった! 世界初登場にして いきなりそのテーマだったのである! なので1980年代に登場した映画作品 『ブレードランナー』や 1990年代に登場した 『AI』や『アンドリューNDR114』なども 「ロボット」作品の発展形ではなく あくまでも原点回帰と見ていいだろう! 多くの表現者達が 機械に心を与える努力を 長年に渡って続けているのだ!
なのに最近の世の中を見渡せばどうだ?
どう考えても人間が人間に対してやるべきではない事が 毎日の新聞やニュースで報じられている! いじめや虐待! 理由のない殺人! そして終わらない戦争! ”「ロボット」に心をもたらそう!” とはとても言っている場合ではない! 21世紀になった今なのに サクソフォンで心を届けねばならない相手は 「ロボット」ではなく人間なのである!
人間はよく 「お前はロボットか!」 と言われて腹を立てるが もしも「ロボット」が 「お前は人間か!」 と言われたらもっと怒るだのろう!
YouTube: Funny Robot Ride
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