「ランディーズ高井」君の誕生日が先月あり
先輩芸人である「安尾信乃助」先生が
「パーティしたろか?」
と持ちかけたところ「高井」君は
安尾邸で「明石焼き」が食べたい!
と申し出たそうである!
「明石焼」とは”石焼”という文字を含むため
一見すると無頼漢共が
さらった娘を踊らせながら
豪快に食べる山賊料理のような印象だが
実際は玉子焼きにたこを入れ
たこ焼きのように丸く焼いたふわふわのものを
つゆにつけて食べるという
つつましくも上品な
「兵庫県」明石市で生まれた食べ物である!
そのため明石市では本来
「たまご焼き」
とだけ呼ばれる食べ物だ!
実は関西人はみんな「明石焼」を知っているのに
他府県の人にはなぜかあまり教えようとしない!
”兵庫県に行ったら必ず明石焼を食べろ!”
とも言わないし
他府県の人をもてなすのに
「明石焼」屋さんへ連れて行ったりもしない!
仕事帰りにぶらりと「明石焼」屋さんの前を通った時に
”まぁ軽く明石焼でも食べるか!”
と言っては入店し
その後に会った人に
別にその話もしない!
そんな存在感すらつつましい
関西人の日常食事の一つなのだ!
”たこ焼きホームパーティ”は頻繁にあっても
”明石焼ホームパーティ”は
大阪ではなかなか行われない!
これは楽しみだとばかりに
途中でバースデーケーキとプレゼントを購入し
私と「カミさん」は
安尾邸に参じたのであった!
「吉本新喜劇」の「森田展義伯爵」や
ちゃんと話すのも初めてな
「音羽一憲(おとわ・かずのり)」君らもいて
パーティはたいそう盛り上がった!
「明石焼」はおいしく
普段は「調理」になど決して手を出さない私も
一回だけ焼くのに挑戦し成功した!
誕生日は先月だったのだが
ちょいと遅れておめでとう「高井」君!
はてさて!
宴たけなわとなった頃!
私は一同に紙を配布した!
私には探したい人物がいた!
そう!
前回の『ひろぐ』で生まれた新語!
「超視点画家」だ!
あたかも見上げるように見下げたこの言葉を
私は自分自身でたいそう気に入っている!
「スペースシャトルを描いて下さい!」
私が投じた難問に
全員が真剣に挑んでくれた!
「森田伯爵」などは
ほぼ正確な「スペースシャトル」を描き切り
周囲からの賞賛を受けた!
「高井」君もまた上手なものである!
しかし!
私は”正視点画家”になど興味はない!
私が会いたかったのは
独自の視点を持ち
現実や常識にとらわれない線描で
固く結んだ私の口を
ぶふっと開く
そんな「超視点画家」に会ってひろぎたいのだ!
そしてそこにも
「超視点」で描くアーティストは存在した!
「音羽」君が描いた「スペースシャトル」の
このごった返しはどうだ!
尾翼も胴体もあったものではない!
これはもう
大学生のアパート並な散らかりようである!
これを発見した宇宙人は
恐らくこれが乗り物である事にも気づくまい!
そんなほぼ初対面の「音羽」君を笑っていたら!
続いて周囲を驚愕させたもう一人の「超視点画家」は
実に意外な人物だった!
さぁ大変だ!
あろう事か私は
自分の「カミさん」が
「超視点画家」である事を知ってしまったのだ!
「イヤミ」の歯を尾翼とする「NASA」の新機種!
一番の特徴は
これまでのどの機種よりも船内に入りやすいという
主婦発案による安心設計だ!
こんな簡単なキッチン戸棚並のドアでは
月のうさぎに開けられてしまうに違いない!
ここから先は
「音羽」君と「カミさん」による
『二人のビッグショー』である!
歌謡界で言えば「加山雄三」と「小林旭」に匹敵する
この2大「超視点画家」達は
世界に一体何を見せようとしているのか!
一同はかたずを飲んで見守った!
無機物を描いてもらった後ならば
続いては有機物を描いてもらうのが礼儀というものだ!
私は彼らに
「クロールを描いて下さい!」
と依頼した!
するとわずかな後にテーブルに叩き付けられたのは
「カミさん」によるこの作品である!
腕関節を特に大切とも思わない
実に自由で気持ちのいいこの作品は
見方によっては素晴らしくポップだ!
ただし残念な事に
人体をほとんど見せない事によって
「超視点画家」ならではの”超視点”が
かなり隠されてしまっている!
そんな事をちょいと寂しがっていたところに
「音羽」君から危険なまでの”超視点”が
投げつけられて来た!
どうしたものか!
常人であれば「クロール」で泳ぐ人を
真上からの視線で描こうなど
決して思いつきはしない!
絵画が得意な”正視点画家”でも
実に描きにくい大冒険だ!
だのに!
「音羽」君は何の躊躇もなく
まさに「超視点」を見せた!
そしてその挑戦に玉砕するかのごとく
片腕が大変な事になってしまった!
この腕を医者に診せたら
「あんた一体何をしてこうなった!」
と驚かれるに違いない!
そこで
「クロールです!」
と言うにはなかなかの度胸が必要だ!
厳密に言えば足も豚である!
続いての課題として
私は遂に
「超視点画家」達の潜在能力を
最大限に引き出してしまう要求を投げかけた!
「バットマンを描いて下さい!」
やがて「音羽」君が差し出した紙を見た瞬間
私は10本の指を一気に突き指した!
「音羽」君は『バットマン』の根本を覆した!
正体を隠さないのならば
この格好をする必要がどこにあろうか?
これならばきっと何もかぶらない方がいい!
手はどういう状態なのかと尋ねてみると
腕組みをしていると言って聞かない!
ならば枝のような物はどういう状態で
彼に付着しているのであろう?
これこそまさに「超視点」の神髄である!
しかも名前は「バッドマン」だし!
が!
本物の上には更に本物がいる!
「カミさん」が我々に披露した「バットマン」は
そこにいた全員の「しりこ玉」を
一気にはじき出した!
安尾邸のそこいら中から
ぽんっ!
ぽんっ!
と「しりこ玉」のはじける音が聞こえた!
さぁ!
あなたもこれを見て玉をはじくがいい!
こいつに倒される敵は
そうとうな間抜けだ!
同時にこいつに助けられる我々も
うなりをあげて間抜けだ!
描きながら「カミさん」は
「なんか武器的な物があるはずやねん!」
とつぶやいて
足の爪を描いた!
恐ろしい武器だ!
どうやらこれでジョーカーやベインといった強敵達を
ぱすぱす蹴って倒すらしい!
呼びたくない!
こいつを呼ぶぐらいなら
自分でなんとかしたい!
そんな自立心をゴッサムシティの住人に興させる
大切な「ヒーロー」が
この「バットマン」であるに違いない!
彼女にこう見えているのならば
きっとそうなのである!
私の「超視点画家」探求は
まだまだ続くのであった!
ちなみに最後に
とんでもない問題作をご覧いただきたい!
これはかのデザイナー「笹田子爵」が一昨晩に描いた
「スペースシャトル」だ!
職業で絵を描くはずの彼なので
絵に自信がないという事はあり得ない!
だとすれば!
彼の目には「スペースシャトル」が
”こう見えている!”
としか考えられないのだ!
「超視点」とはそういうものなのである!
飛んでけ笹田シャトル!
けど帰りは電車とかの方が多分安全だぞ!