毎日次々とおもしろい事が起こっているのに
『ひろぐ』はなかなか東北から抜け出せないでいる!
「たった3時間の睡眠」で
「馬見ヶ崎川(まみがさきがわ)」の河原に向かった私!
そこで私を待ち受けていたのは
「応援団長・高嶋」をはじめとする
多くの高校同窓生達だった!
私が久しぶりに帰郷する事を
「Facebook」で知った懐かしい友人達が
私のために「芋煮会」を開催してくれたのだ!
どういうわけか私には
「高校」時代の記憶がとても薄い!
部長でありキャプテンでもあった
ハンドボール部が
新設部だったために学校のグラウンドを借りられず
放課後は毎日チームメイトと「山形大学」に向かい
大学のグラウンドで大学生達と練習していた!
実はそれこそが
高校時代の記憶が薄い最大の理由だと考えている!
私は放課後の母校の様子をほとんど知らない!
恐らくは多くの人々の心に残るであろう
”夕陽の射し込む校舎”
という景色を見た覚えが無いのだ!
”夕陽の射し込む校舎”は大切だ!
中学時代を思い出すと
実に多くの”夕陽の射し込む校舎”を記憶している!
友人とじゃれていたのが
いつの間にか本気の喧嘩に変わってしまったり
それが理由で何時間も先生に叱られたり
「どの女の子が一番かわいいか?」
を議論しているところに
その女の子が通りかかったり
その子に手紙を渡したり
その子から手紙をもらったり・・・
中学時代の”夕陽の射し込む校舎”は
いっぱいいっぱい自分の中にあり
そのどれもが大切な想い出である!
ところが!
高校時代にはそんな記憶がない!
割と人気者ではあったので
沢山の友人と話をしたはずだ!
けれどそれらは全て10分か15分程度のもので
どの会話も始業準備ベルによってさえぎられた!
友人はいっぱいいたはずなのだが
”夕陽の射し込む校舎”で
暗くなるまで話した友人の記憶が一つもない!
放課後は大急ぎで山形大学に駆けつけたため
高校に登校した記憶はいっぱいあるのに
下校した記憶がまったくない!
どうやら私は自分の心だけを
見た事もない”夕陽の射し込む校舎”に
置き去りにしてしまったようである!
川縁にシートを広げ
既にいい具合に出来上がった40代半ばの同窓生達!
男女共学ではあったのだが
女子は1割ほどしかいなかったので
私を迎えてくれたのも全員が野郎ばかりだった!
みんな私にとても親切だった!
「わかるかな?
○年生の時に○組で一緒だった○○だよ!」
何年生の時に自分が何組だったのかも
まったく記憶にない!
今私に25年ぶりに挨拶してくれている相手の
顔も名前も思い出す事はできるのだが
その彼と自分がどういう関係だったのかを
思い出す事ができない!
登校中に出会って
ただ挨拶をかわす程度だったのか?
それとも授業の合間に
いっぱい仲良く話した友人だったのか?
大喧嘩をしてそれっきりだったのか?
つらい時にいっぱい励ましてくれた大切な友なのか?
なにも・・・
思い出せない・・・
なんだかちょいと泣けて来た!
みんなが高校時代の私を覚えていてくれて
おかしなエピソードをいっぱい話してくれるのに
当の私にその記憶がない!
自分の事なのに
「へぇ」とか言ってしまう!
みんながいっぱい今の私の仕事ぶりを讃えてくれるのに
私にはファンに接する時の態度しか取る事ができない!
3年間も毎日会った友人達なのに
「また見てね」とか言ってしまう!
”あの頃”の事を共に語り合いたいのに
私の中には”あの頃”がない!
なんだか・・・ちょいと泣けて来た!
けど!
ならば!
それでいいじゃないか!
自分への嘘などうんざりだ!
なんでも話を合わせようとすれば
それは人生の時間を無駄に使う事になる!
何十年も前に置き忘れた物を
今でも大切に預かってくれている友人がいるのならば
少しずつ少しずつ分けてもらおう!
それでいいはずだ!
高校時代の私は
既に今の私になるために必死だった!
どこに向かい
どう生きれば
コメディを作る事を職業とできるのか?
なにをして
なにを得れば
他人の心を動かす術を手に入れられるのか?
それを誰にも相談できず
苦しみもがいた挙げ句
最終的には「モンティ・パイソン」の
「テリー・ジョーンズ」氏に手紙で相談した
そんな高校時代の私だった!
やがて「43歳」になった今!
私は自分が高校時代に憧れた人物になっている!
夢に描いた以上の幸せな日々を送っている!
現実には存在しない話を創作して
他人の心を動かす事を職業としている私だ!
現実には記憶にない高校時代の交友を
今から始めてみる事に
何の問題があろう?
野球部のやんちゃ坊主は銀行員になっていた!
菊池桃子マニアはテレビ局員になっていた!
口喧嘩の強かった男は弁護士になっていた!
おめめがぱっちりのかわいらしかった少年は
毛むくじゃらの精神科医になっていた!
ほとんど学校に来ないで
ゲームセンターで一日を過ごしていた奴は
念願叶ってなのか
コンピュータソフト会社の社員になっていた!
おとなしかった彼はEL発光パネルの技術者となり
あろう事か同窓生のあの子と結婚していた!
安定度の低い不真面目な自営業を営んでいるのは
私と昆虫カメラマンの「応援団長・高嶋」だけだった!
高嶋よ!
負けずに生きて行こう!
この世に「昆虫」がいる限り!
この世に笑いと喜びを求める人がいる限り!
我々は細々となにかしよう!
過去の事!
現在の事!
未来の事!
河原で芋煮をつつきながら
いっぱいいっぱい話していると!
・・・夕陽が我々を包み始めた!
目の前に流れる川は
そんな暖かい色の光を照り返した!
辺り一面がオレンジ色に輝いた!
私は”夕陽の射し込む校舎”を知らない!
けれども
高校時代の仲間と
いっぱい語り合いながら
夕陽に包まれた事がある!
河原から居酒屋!
やがてはバーへと移動し
ふらんふらんになりながらタクシーに乗り
久々の実家に帰ってみると
家は当然ながら既に真っ暗だった!
よかった!
3時間しか寝ていなかった私は
その日一日で3日間ぐらい過ごした気分だった!
もしもそこで
あのご陽気極まりない
「ママ」と「ごんぼちゃん」に迎えられたなら
一日で4日間を過ごした気分になっていただろう!
両親がうっかり寝室から出て来ないよう
そっとそっと二階への階段を登った!
なにかをむちゃっと踏んだ!
階段の途中に「コアラ」が座っていた!