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ベートーヴェンのピアノ・ソナタ
三大ソナタ、いわゆる「悲愴」「月光」「熱情」から聴き始めた方が多いと思います。
私もそのくちで、ルドルフ・ゼルキンの25㎝盤「月光」と「悲愴」の組み合わせのレコードから入門しました。中学2年の時でした。
「悲愴」ももちろん良かったのですが「湖に映る月光を思わせる」というライナーナートの言葉そなままの幻想的な第1楽章「アダージョ・ソステヌート」に魅了されて「月光」が特にお気に入りになり毎日のように聴いていました

歳を重ねて。。。
同じベートーヴェンでも後期のソナタなどを聴き始めると、「月光」だけでなくあれほど夢中になって聴いていた「熱情」などの中期のソナタを聴くことも少なくなりました。
そんなことを思いながら「月光」を聴きました。少なくとも10年は。たぶんもっと聴いていなかったはずです(^^ゞ
選んだのクラウディオ・アラウの演奏
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このCDは編集もので「月光」「悲愴」「熱情」そして「テレーゼ」が収められているのですが「月光」だけが1963年の旧録音です。
「月光」だけを聴けば普通に聴ける音質ですが他の新録音と比べると落ちるのは仕方ないところ。
そんな訳で最初の音が出た瞬間はイマイチだな、なんて思いながら聴いていたのですが、あの「アダージョ・ソステヌート」。アラウの弾く柔らかな響きを耳にしているうちに当時の、もう50年以上前になりますが、坊主頭で古い電蓄の前で正座して聴いていたことも思い出していました。
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ホロビッツBOXからベートーヴェンのピアノ・ソナタを一つ
ホロビッツがベートーヴェンに向いているかどうかと訊かれれば多くの人はノーと答えるのではないでしょうか。残された録音も少ないようです
ベートーヴェンのいわゆる心の奥に訴えてくるような曲とホロビッツの外に放たれる華麗なピアニズムは水と油のような気がします、録音があるかどうかは知りませんが特に後期のものは、そんな気がします(このBOXには28番が収められています)
しかし今回とりあげた21番「ワルトシュタイン」はホロビッツ向きのソナタではないかと思い取り上げました。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第21番ハ長調作品53

ハ長調という調性からくる明るく開放的な曲想。この開放的というところがホロビッツ向き。しかも随所にピアニスティックな聞かせどころも盛りこまれていて、聴いていて一種の快感をおぼえる中期の傑作でしょう。ただし深みという面では物足りないところもあり、飽きもきやすい曲かもしれません。私も久しぶりに聴きました
明快なタッチによる華麗にして、そして想像していたよりも強靱なベートーヴェン。
ホロビッツにとってはベートーヴェンもショパンも同じなんでしょうか?
ひたすら自分のピアニズムを駆使して壮麗にこのベートーヴェン中期の傑作を弾ききっている感じがあり、そこが爽快でもあり、何か違うかのと、特にバックハウスなどとは、そう思わせるところでもありました。
ベートーヴェンのピアノソナタは32曲あるわけですが、まぁどんな名作と言われても全部を万遍なく聴いた、ということは全くなくて、どうしても好きな曲を聴くとということになります。その好きな曲にしてもその時々で変わっていくものです。今現在で好きなものは若い順に1番、15番、16番、18番、24番、そして28番ということになります。
後期の名作群が入っていませんが、それらの曲は好きというのとはちょっと違った敷居の高さのようなものがあります。居住まいを正して聴かなければいけない、そんな心構えが必要だからですか。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ28番イ長調作品101
ジョルジュ・プレデルマッハー(Pf)
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28番は後期の作品の中でも親しみ易い、というと語弊があるかもしれませんが自分にとってはそういう曲です
この曲に関しては以前にも取り上げたのですが今回は最近購入したプレデルマッハーというピアニストの演奏を聴きました。このピアニストに関してはミルシュテインの最後の演奏会で伴奏をしたCDでしか聴いたことがありません
フランスのピアニストがどんなベートーヴェンを弾くのか?価格も安かったしそんな興味から購入いたしました。すべて1998年のライブ録音、番号順ではなくて調性に合わせた独自のカップリングになっています
この28番は2番イ長調、16番ト長調とのカップリングされています

フランスのピアニストだから明るい音色での感覚的なベートーヴェンといったら当たり前すぎて面白くもなんともないのですが、そう書きたくなります
使用ピアノはスタンウェイの4本ペダルの特注品ということなのですが、音に濁りが少なく音の重なり具合が明晰なのですが、良くも悪くも重量感に乏しい。ですからバックハウスなどを好んで聴いてきた耳には音のボリュームはあってもなんとなく軽量級に聞こえてしまいます。
第1楽章などベートーヴェン特有の深い憂愁の響きといよりはショパンの憂い、
終楽章も明るくカラッとした響きはある意味ではとても聴き易いのですがドイツ系のピアニストのベートーヴェンとはちょっと違う爽やかさと華やかさを感じさせます。
個人的にはやはりバックハウスとかアラウ、そしてポリーニのほうが好きかな?
ただこういうピアノなので他の好きな曲、16,18,24番などは向いているかなと思っています
それらの曲に関しては機会があったら
昔、今もかもしれませんが、ベートーヴェンのピアノソナタというと「悲愴」「月光」「熱情」の3曲が収められたLPがたくさんありました。
クラッシック音楽を聞き始めた頃、ベートーヴェンのピアノソナタが聞きたくなって、とてもその3曲が入ったLPが欲しかったのですが小遣いが。。。当時の30㎝LPは約2000円していたので手が出ず、妥協してやっと買えたのが1000円で買えた25㎝盤でした
25㎝盤ですから3曲は入っていなくて「月光」と「悲愴」の2曲だけ。R・ゼルキンのピアノでした。
それはそれで、その2曲は期待に違わぬ名曲で満足したのですが、それだからこそ「熱情」が余計に聴きたくなりました
当時はFM放送なるものの存在は知っていましたが受信がままならぬ、受信の為にはアンテナを建てるなんてことを知ったのは後のことだったし、FM誌も当時あったのかどうか?そんな環境だったので頼るものはLPだけだったし中古店の存在を知ったのは少し後のことでした。
そんな思いがあったためなのか、ブレンデルの廉価盤を買って初めて聴いた時には感激しました、特に終楽章!!

以来何種類かの演奏を聴いてきましたが今もって一番好きなのはリヒテルのものです。ベートーヴェンのソナタというとバックハウスの演奏が一番ぴったりときますが「熱情」に関してはリヒテルなんです

リヒテルの「熱情」は手元に4種類ありますが凄演といえるのが1961年のアメリカでのライブ盤!
それを久しぶりに聴いてみました。
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第1楽章から迫力満点、粒立ちのいい高音とドスの効いた低音がひときわ印象的でぐいぐいと聴き手をリヒテルの世界に引きこんでいきます。ただただ無類の力を感じさせるベートーヴェン。リヒテルの場合時として強引さ、乱暴さを感じさせることが無きにしもあらずなのですが、このベートーヴェンではそんなことは感じさせないばかりか、それが無類の推進力を生んでいるようで奔放で豪快。それが一番はっきりと現れているのが第3楽章の終結部。この怒濤のような高揚感に溢れた音楽にはただただひれ伏す他はない雄壮無比の音楽になっていて何度聴いても素晴らしいの一言。いろんなピアニストの「熱情」を聴いてきましたが、いまだにリヒテルを、特に第3楽章の鬼気迫るような迫力をもって弾かれた演奏は聴いていないと敢えて断言したいくらいの凄演です。

余談ですが、この演奏は殆どの評論家諸氏が絶賛していたと記憶していますが、吉田秀和氏だけはこの演奏がお気に召さなかったようで、まとまりの無い演奏と否定的でした。

録音は1961年。アメリカでのライブ。ライブということを差し引いてもSN比は良くない。咳払いなどの会場ノイズもあって聴き苦しいところもあろますが、それを忘れさせてしまう希有な演奏だと思います。
宇野功芳氏大絶賛の超有名盤
「テンペスト」をよく聴いていた時期とこのCDの発売が重なったということもあり、その名調子に乗せられてこれを買ったのがもう25年近く前のこと。
価格も税込みで2800円していた時代でした。
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買ったけれども何だかまとまりのない演奏に聞こえ、どこがいいのか全くわかりませんでした。
それに音が、ピアノの音も良くなかったですね。
ライブという制約があったこと、地方だったので録音スタッフも万全でなかった?それにピアノの状態がイマイチだった?
特に中低音に豊かさがなく全体的にカンカン響くアップライトな音が興を削ぎました。
演奏も即興が過ぎる恣意的なもので好みとは遠いところにあったようでした。

そんな「テンペスト」に再挑戦。
以前聴いた時よりはずっと良かったです。
まずピアノの音ですが当時聴いた時よりもボリューム感があってアップライト的な響きには変わりありませんが余り気にならないレベルに聞こえました。
そして演奏のほうも面白く聴けました。これは「テンペスト」という曲がベートーヴェンとしては、特に第1楽章と第2楽章が、散文的な面があり、ハイドゥシェックの気質と通じるところがあるからかな?個人的にはそう思えました。
また、全曲を通して左手を利かせた振幅の大きいダイナッミズムがこの曲に類のない劇的な迫力をうみだしているようです。
自由奔放な演奏であり好みは分かれると思いますが、極めて個性的な凄演で「テンペスト」が好きならコレクションに加えておきたい一枚かもしれません。

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