緑フォーラム

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1月緑フォーラム開催報告


牛久入管収容所への面会行動から見るこの国の「外国人政策」

講師:牛久入管収容所問題を考える会代表
    田中 喜美子さん


 
 
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 今回、講師を務めて頂いた田中喜美子さんは、この道一筋の方である。2年前に実施した日立鉱山への朝鮮人強制連行を学習する緑ツアーに参加して頂いた方の紹介である。こうして運動のつながりが広がっていくことはうれしいことである。
 
 田中さんが代表を務める「牛久入管収容所問題を考える会」は、東日本入国管理センターが作られた1993年より活動を開始し、入管の実態を入所者との面会から明らかにする「面会行動」を翌年の1994年より開始している。すでに23年の月日が流れている。田中さん達のような地道な活動があるおかげで、やっと日本の民主主義がなんとか保たれているのである。知らせていただいた収容の実態はひどいものであった。
 
虚言病のジツコ

 ジツコ(JITCO)などというものは聞いたこともなかった。公益財団法人国際研修協力機構というのが正式名称である。そのホームページには、『海外の経済発展を担う「ひとづくり」のために外国人技能実習制度の円滑な運営を支援します』とある。つまり、今、大きな問題になっている外国人技能実習制度の大元締めである。彼らのホームページを開くと笑顔の女性が大写しでアップされ、海外から人だましの甘言で実習生をおびき寄せていることが明らかである。実態を知った人が見たら、偽装工作のためのホームページかと見間違うだろう。きっと今、問題になっている「徴用工」も、こうして甘言でだまされて連れて来られて、日本国内の劣悪な現場で働かされたのだろうなと想像がつく。ある技能実習生が、何度もジツコに会社の劣悪な実態を訴えても、「待って下さい」というだけで、何の解決もしなかったと訴えていた。彼は、ジツコは何のためにあるんですかと、疑問を投げかけていた。
 

 甘言のついでに、東京電力の言っていることに言及しておこう。
東京電力の言っていることの中に、
「親身・親切な賠償のための五つのお約束」と、「損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策(三つの誓い)」というのがある。
「五つのお約束」とは、①迅速な賠償のお支払い、②きめ細やかな賠償のお支払い、③和解仲介案の尊重、④親切な書類手続き、⑤誠実な御要望への対応、そして
「三つの誓い」は、①最後の一人まで賠償貫徹、②迅速かつきめ細やかな賠償の徹底、③和解仲介案の尊重、いうものだ。嘘八百とはこのこと、「気をつけろ、暗い夜道と甘い言葉」の見本品である。
 ジツコも東京電力も、虚言病にかかっているのである。
 
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万人の外国人労働者(2018年暮れ)、実習生は69人死亡(2015〜2017年)
『(外国人は)煮て食おうが焼いて食おうが自由』

 
 問題点だらけの外国人技能実習制度であるが、パワハラ・セクハラは数限りない。長野・山梨などにもたくさんの実習生がいるが、女工哀史のように悲惨な歴史を繰り返している。平均時給500円、残業代は時給300円などいうものもあった。農業では農協が窓口になっているが、日本人親方ひとりに89人の外国人労働者がついて働いている。北関東の農場にもたくさん来ていて、朝67時から働いていることが多い。募集した時は月給156万円だが、アパート代・ふとん代・洗濯代などとさっぴかれて手取りが6万円になってしまったという実習生がいた。大変な職場から逃げると契約違反で収容所へ入れられる。名古屋より東側は、東日本入国管理センターが管轄している。西側は、長崎にある、かの悪名高い大村入国管理センター、かつて在日朝鮮人を限りなく強制送還したあの大村収容所である。東日本入国管理センターは、19931224日にオープンした。定員は700名、現在330340人が収容されている。大村は定着800人である。かつて、法務省の池上努(つとむ)いう参事官が、『法的地位200の質問』(1965)という著書のなかで、『外国人は自国以外の他国に住む権利はないのである、だからどんな理由をつけても(国際法上は、その理由すらいらないとされている)追い出すことはできる、国際法上の原則からいうと「(外国人は)煮て食おうが焼いて食おうが自由」なのである』と書いていたことがある。その傲慢な考え方は、今も続いている。東日本で収容された外国人が、大村収容所に移送されることがある。その時は、バスで27時間も拘束されて移動する。それだけでも不安と悲観で心が萎えちゃうでしょう。
 
長期化する拘束、人道に反する待遇
 
 以前は、6〜7か月の収容期間だったが、だんだん長期化して今では、45年という人もいる。6ヶ月以上を長期収容者と言うが、以前3040人だったものが、昨年では140人にのぼっている。10畳ほどの部屋に2段ベットを2つ入れ、5人で生活させている。午前8時点呼、9時半には室外に出ることができるが、それも午後4時半まで。それから翌日の9時半までは、大の大人5人が一つの部屋に閉じ込められている。収容所では、嫌がらせのために、ひとつの部屋に同じ国籍の人が入らないように別の国籍の言葉が通じない人達を詰め込んでいる。反抗すれば懲罰ルームだ。彼らは常に強制退去への恐怖を感じている。うつ状態になり、眠れなくなるため精神病薬が必要になり、ついには自殺・自殺未遂してしまう人が出ている。
頭痛・腹痛を訴えても詐病(さびょう)扱いされることが日常茶飯事だ。頭痛を訴えたベトナム人の方は、クモ膜下出血で亡くなった。糖尿病があったカメルーンの方も、緊急搬送もされず亡くなって法廷で戦われている。外部で診療を受ける時は、犯罪人と同じ、手錠・腰縄だ。人権侵害もはなはだしい。
 
長期収容の原因となる仮放免の不許可
 

 収容所を出る一時的な手段として仮放免がある。保証人と最高300万円の保証金、出所したあとの住所が必要だ。仮放免にならなければ無期限の収容となる。でも仮放免では働いてはいけないのです。以前は仮放免であれば働いていた。働かなかったら生きていけない。労働は人間の当然の人権。ところが今は厳しい。県外への移動はもちろん、住所の変更は入管への届けが必要で、許可を受けなければならない。あるパキスタン人はアパートの2階から3階へ移っただけで、住所変更届違反に問われて、もう2年以上も収容されている。彼らは「人でなし入管」と呼ばれています。日本人なら、犯罪をおかしても刑期を終了すれば晴れて自由の身です。ところが、外国人は入管へ入らなければならない。日本人と結婚して子どもがいる場合でも、出身国へ強制送還です。再入国できる保証は何もない。
 牛久入管では、2010年に日系ブラジル人と韓国人が自殺、2014年にイラン人とカメルーン人が病死、2017年にはベトナム人が病死、2018年には難民申請中のインド人が自殺と異常な事態が続いている。日本には難民申請中の方が2万人いるが、難民と認定された人は2017年にわずか20人だ。

 
看板に偽りあり、人道・人権を標ぼうする法務省

 1981年に政府は難民条約を批准している。1999年には拷問等禁止条約にも加入している。それにも関わらず、この人権無視だ。外国人に対する治外法権的な強権支配を見過ごしてはいけない。マスコミに取り上げてもらうことも大事だが、多くの人に関心を持ってもらう必要がある。
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2011年、牛久収容所問題を考える会は、東京弁護士会から人権賞を受賞しています。忙しい中、講師を務めていただいた田中代表に厚くお礼申し上げます。(文責 編集部)


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