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普通の高校生が特別な理由があったわけでもなくたまたま選んだ実習クラスのテーマが「独裁制」だった。 1週間の実習期間の日がたつにつれ、実習生たちはどうなっていったか、、、。 これは1960年代にアメリカの高校で実際にあった心理実験を基にした2008年のドイツ映画だ。 独裁制を実習する生徒は、指導者(担当教師)から一方的に言われたルールを守らなければならない。 指導者には必ず「様」を付けて呼ぶこと。発言するときは挙手、起立すること、など。 始めは戸惑っていた生徒もしだいに「縛られること」に夢中になり、自分たちでさらにルールを決め、 他者を排除するようになる。その熱狂ぶりはだんだん制御不能になり、ついには暴走する、、、 と言うような洗脳の過程を描いた映画である。 テーマは興味深く、実際にあったことがベースになっているからまったくの絵空事でもないが、 しかしこの映画自体の出来は少し期待はずれだった。 実習生である高校生の行動の変化は目に見えているが、行動を起こさせる内面の変化が描かれていない。 実習にのめりこんでいく生徒も、懐疑心を持って抵抗する生徒も単純化が目立つ。 同年代の高校生が見たらあるいはもっとおもしろく観られるのかもしれないが、大人には物足りない。 映画では最後に悲劇の結末を迎え、教師も生徒も「バカなことをしでかしてしまった」という後悔ばかりがクロースアップされ、肝心の「独裁制」を冷静に見つめる眼はどこかに消えてしまっていた。 つまり「バカなこと」が「独裁制」から、「独裁制というテーマを制御できなくなったバカ教師」に移行してしまい、映画の主題もボケてしまった。 指導者の考え方次第でどうにでもなる要素が大きすぎて、日本の高校でこのような実習をやったらどうかと言われたら、もろ手を挙げて「賛成」とは言えないかもしれない。
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