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先月末、仙台市内のアパートで、夕食中に父親が当時2歳の娘を虐待死させ、逮捕される事件が発生した。亡くなった女児の体からは、無数のあざが見つかり、虐待が以前から日常的に行われていた実態が浮かび上がった。発覚するたび「なぜ防げなかったのか」が問われる児童虐待。今回も、最悪の結末を迎える前に、誰かが手を差し伸べることはできなかったのだろうか。
「ご飯を口から出して遊んでいたので腹が立った」。10月30日、宮城野区燕沢のアパートで次女の澪奈ちゃん(2)を殴って死なせたとして、仙台東署に傷害致死の疑いで逮捕された吉田達彦容疑者(26)。その言い分は身勝手だった。必死で止めようとした妻(28)を振り切り、暴行は約1時間半にもわたり続けられた。「(長女がいるので)男の子がほしかった。2人も女の子はいらなかった」などとも供述しているという。
何が暴力に走らせたのか。ある捜査関係者は「生活の苦しさからくるストレスもあったのではないか」と指摘する。
実際、家計は火の車だったようだ。吉田容疑者は平成17年春、タクシー会社に運転手として就職したが、18年11月30日に退職。同年12月からバス会社で運転手を務めたものの、わずか1年後に退職し、その後は事件当時まで無職だった。近所では妻がビラ配りをしている様子がたびたび目撃されていた。大家の女性(62)は「家賃は3カ月くらい滞納していた。1カ月分の家賃に1万円を足す感じで(滞納分を)返してくれればいいと伝えたが、それも無理だった」と話す。
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うまくいかない仕事。困窮する生活。たまる一方の不満の矛先がやがて子供へ−という展開は児童虐待の典型のように見える。ところが専門家は「生活の困窮が一概に虐待の引き金になりうるとはいえない」という。
仙台市児童相談所によると、今年度の市内の児童虐待相談件数は、4〜9月末までの集計で219件と、過去5年間で最多だった平成19年度の426件を上回るペースで増加している。高橋達男所長は「吉田容疑者は仕事がなく子供と接する時間が長かった。それが虐待につながるストレスを生んだ可能性はある」と分析。そのうえで最近の児童虐待の背景を「親のストレスのはけ口がないこと」と指摘する。「核家族化が定着し、両親以外に子供の面倒を見られない環境が多くなった。親の息抜きの機会が失われてきたことが虐待につながっている」
では、見守るべき吉田容疑者の周囲はどうしていたのか。実は、事件の半年前、吉田容疑者の長女は吉田容疑者の実家に引き取られていた。親族は県警の調べに対し、「澪奈ちゃんが虐待されている姿を長女に見せたくなかった」と話している。高橋所長は「虐待を恥と考え、なかなか相談に訪れないケースがある」という。今回も、身内は虐待の存在を知っていたにもかかわらず、虐待防止の対策を取っていなかった可能性がある。
加えて吉田容疑者は近所との付き合いにも乏しかった。現場アパート隣に住む主婦(29)は「吉田容疑者は無口で、こちらから会釈をしても無視されることが多く、次第に疎遠になった」と話している。
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「今回のようなケースの対応は現状では難しい」。虐待防止への環境作りを進める仙台市。だが、今回は行政が対応できる範囲を超えていた、と釈明する。
同市では新生児の定期検診の回数を増やしており、全国的にも珍しい2歳6カ月時の検診も実施している。市子供企画課の守政一課長は「子供の発育状況の細かな把握とともに、問診が虐待発見に一役買っている」という。確かに澪奈ちゃんも1歳6カ月の検診を受けていた。ただ「このときはあざなど、虐待が疑われる様子は見られなかった」と守課長。虐待の始まった時期はその後からとみられ、張った“網”には引っかからなかった−というのが市の説明だ。
「確かに、(虐待発見には)限界はある」と振り返る高橋所長。ただ、虐待に対する意識が高まってきた結果、相談件数が増加してきていることに、一筋の光明も見いだしているという。「小さな発見でもそこから発覚する可能性がある。どんなことでもいいから気付いたことは行政機関や相談所に連絡してほしい」。高橋所長は、あらためてこう呼びかけている。
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■児童虐待防止への対策
改正児童福祉法が今年4月に施行されたことを受け、仙台市は「市要保護児童対策地域協議会」を設置。各区役所に育児や児童虐待に関する問題点を議論する「実務者会議」などを設け、年に1回開かれる「代表者会議」で情報の共有や改善策を講じることしている。また、児童虐待防止月間である11月に合わせ、4日には児童虐待防止をよびかけるチラシ配りを実施した。市児童相談所では平成13年度に職員3人編成で発足した「虐待対応チーム」の人数を今年度から8人に増員。新たに保健師などをメンバーに加え、24時間態勢で虐待防止活動にあたっている。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/197767/
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はじめまして。
児童虐待には、近隣の理解・協力が欠かせないと思っています。
国は、「疑いのある場合も通報を!」と強調していますが、それは必要なのでしょうが、実際に近隣住民が通報するにも勇気が必要です。それに、通報される側も、ビクビクです。
それよりも、児童虐待の仕組み(何故起こるのか、どんな人にでも起こる可能性はある)などを専門家のみならず一般の人も十分理解する必要があると思います。
その上で、専門家以外の協力者を増やすことが効果的ではないかと思っています。
虐待している家庭は、大抵専門家(児童相談所や保健師)を警戒している部分もあります。ですから、親を責める方法ではなく一緒に考えよう・・という姿勢の立場の協力者がいるといいと思うのです。
そういう人材を地域に作っていくことが私の理想・・かな。
2009/4/29(水) 午後 11:59
はじめまして
そうですね。単に国や地方自治体が何かをする、介入するだけでは限界がありますよね。
そういう意味で、きちんとコミュニティが機能するかというところが課題になってくると思います。
通告や防止活動はむしろ、一般の人がいかにかかわるかで全然かかわってくるので、そこは行政サイドが主体になるより、民間が主体になるように、行政サイドが支援してく方がいいと思います。
そういう意味で、人材育成も含めて、幅広い柔軟な対応が、、、、あればいいな〜。
2009/4/30(木) 午後 5:20 [ gta*ca ]