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【PJニュース 2009年12月25日】1997年に児童相談所に持ち込まれた児童虐待の相談件数は年間でおおよそ5000件だった。しかし、今その件数は4万件を超える。その児童虐待の当事者である子どもたちに取材した本がこの表題の「日本一醜い親への手紙」(メディアワークス刊:現在は絶版)という本だ。この本は1997年に書かれたが、当時でさえ三部作で2001年までに30万部が売れた。その時から12年がたったいま、著者の今一生氏がふたたび、この本を再版する、というので、お話を伺ってきた。1997年の三部作の中から、厳選した100通の虐待された子供からの手紙を今回発売される一冊に編集し直した(ノンカフェブックス刊)、という。
編著者の今一生氏は、社会起業家などを追うジャーナリストだが、加えて1997年から「児童虐待」の問題を追っている、という。まず、なぜこの問題を今氏が扱うようになったのか、とお聞きした。
「児童虐待の問題はかなり前から言われているのです。でも、どこを探しても虐待された子供自身の声が無い。テレビなどのメディアに出てくるのは虐待された子供を預かる施設の人とか、虐待された傷を治療した医者とかそういう人の発言ばかりです。本当は子供自身に取材しなければならないのではないか、と思ったのです」。
なるほど、そう言われてみれば児童虐待の実態を語るのにマスコミでは子供自身の声は出てこないことが多い。子供にインタビューする、ということが困難であったり、虐待の行為そのものがほとんどが家庭内という閉鎖されたところでのことだから、虐待を受けているにしろ、自分の親はそこにいる「虐待」をしている人だけ、となれば、物理的にも、心情的にも、たしかに子供自身の声は集めにくい。
「そこで、施設にいる子供に、親に対して手紙を書いてもらう、というやりかたで、虐待されている当事者の声を拾う、という方法をとりました」
加えて、今氏は虐待されている子供に具体的な「避難策」を示した本も出している。1999年に今氏が執筆した「完全家出マニュアル」(現在は絶版)がそれだ。虐待などで家にいられない子供自身に、年齢別にどのように家を出て、経済的にも心情的にも生きていけるか、ということについて法律家などにも取材し、できるだけ具体的にその方法を書いたものだ。
「児童虐待の問題は、そのまま家出の問題に行き着くことも多い。その家出が人身売買なども含めた裏世界への入り口になっていることもありします。虐待を受けるなどして家出をする、という必然を大人がちゃんと受け止めることができなければ、子どもたちは闇から闇に生きていくほかありません。そういう子どもたちに是非このマニュアルを読んで、将来の希望を見いだして欲しい、と思いました」
長引き、さらに深刻になっていく不況の中で、日本人は多くの子どもたちを、社会の闇に葬り、捨ててきた。虐待やネグレクト(親が食事なども含めて子供の世話をしない)のなかで、社会的にも体力的にも弱い子どもは、場合によっては命さえ奪われてきた。どこにでもいる一番身近な弱者が「子供」だ、ということは今も昔も変わりが無い。
また、今氏によれば、12年前からある「子供の虐待」の問題は、数としても年を追うごとに多く深刻になっているだけではなく、その形も変わってきている、という。
「12年前は、まさに虐待。ネグレクト、というのが多かったのですが、今はそれに加えて子供に見張りをさせて親が万引きする、など、子供を親の共犯者にするような例が増えてきています。また、自立して稼ぐことができないひきこもりなどの問題は、子供の生きる力を奪っている、という意味でソフトな虐待、とも言えるのではないでしょうか?ひきこもりの行く末は、家庭内暴力、一家心中ということだって当然ある」
今氏の話を聞いていると、これからも、このままでは増え続けるであろう「捨てられた子供」の声が胸に迫ってくる。そしてその子どもたちの声を、ちゃんと受け止められる大人が、自分も含めてどれだけいるだろうか、と思わず周りを見てしまう。
今回、今氏には以下の2つの子供の虐待について活動している団体をご紹介いただいた。実際に虐待されている子供たちにも、またそれを助ける人たちにも、是非知っておいて欲しい。【了】
http://news.livedoor.com/article/detail/4522384/
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