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死亡例の8割 情報なく
大阪市西淀川区の小学4年松本聖香さん(9)が虐待され、死亡した事件では、周囲の住民らが異変を感じながら、児童相談所への通報につながらなかった。通報についての意識を高めることが大切だ。 ◎
大阪市の事件では、母親(34)と内縁の夫(38)が保護責任者遺棄致死容疑で再逮捕された。周囲の大人は泣き声やどなり声を聞いていたが、通報につながらなかった。大阪市中央児童相談所の担当者は、「発見から通報までうまく機能していれば、事件を防げたかもしれない」と悔やむ。
全国の児童相談所が受けた児童虐待の相談件数は増え続け、2007年度に4万件を突破した。
しかし、06年に起きた児童虐待による死亡事例49件のうち、8割にあたる39件で、虐待の通報がなかった(厚生労働省調べ)。通報があれば助かった命があったかもしれない。
関東地方に住む主婦(36)は今年、子どもと同じ小学校の女児が実母から暴行を受け、実母が傷害の疑いで逮捕されたことを新聞で知り、がく然とした。
子どもから、女児の母親が「怒るとすごく怖い」と聞いたことはあったが、「まさか」と思って通報はしなかった。「子どもが泣きやまなかったり、つい大声で子どもをしかったりする経験は自分にもある。ご近所とのトラブルも避けたい。どのような時に通報すればいいのか」と戸惑う。
児童虐待防止法は04年の改正で、虐待の確信がなくても、「虐待を受けたと思われる」疑いがあれば、市町村や児童相談所に通告するよう住民に義務づけた。児童相談所が、虐待を早期に把握することが狙い。改正前は、虐待が明白な場合の通報が想定されていたが、改正後は、虐待にあたるかどうかを住民が判断せずに済むようになった。
東京都児童相談センターは、「子どもにとって有害かどうかが判断のポイントで、何かおかしい、子どもが心配と感じたらご相談下さい」と呼びかける。
東京都は、虐待の可能性がある場合をパンフレットにまとめている=表=。こうした事態があり、親子の関係がおかしいと感じた場合には、虐待が疑われる。
しかし、「もめごとにかかわりたくない」「通告元がわかってしまったら困る」という気持ちが働くのも現実。
同センターは、「通告したのがだれかは決してあかしません。また、通告は匿名で構いません。一報が子どもを守るきっかけにつながります」と強調する。
緊急の場合は、110番でもいい。警察庁では、全国の警察署に、児童虐待の早期発見や、子どもの安全確保を徹底するよう呼びかけている。
大阪市は4月から、児童虐待のメール相談を始めた。通報手段を広げることで、虐待通報を増やすことが狙い。市の担当者は、「まだ相談はわずか。虐待を早期に発見するため、周知の必要性を感じている」と話す。
滋賀県は大阪市の事件を受け、4月末、「もしや虐待ではと思ったら児童相談所などに連絡を」とホームページなどで呼びかけている。
子どもの虐待防止センターの相談員・龍野陽子さんは、「虐待は、家族間のストレスや貧困、孤立などが引き金になって起きる。子を救うことで、親も救える。勇気を出して通報しましょう。また、いら立ちを子どもに向けてしまうと悩む方がいれば、市町村、児童相談所、子どもの虐待防止センター(03・5300・2990)へ相談してください」と話している。
◇ ◇ ◇
【虐待の可能性がある子】
◆子どもの泣き声や保護者のどなり声が聞こえる
◆不自然なあざややけどがある
◆服や体が極端に不潔
◆食事に異常な執着を示す
◆低身長、低体重などがみられる
◆親や大人の顔色をうかがったり、親を避けたりする
◆夜遅くまで出歩いている
【虐待の可能性がある親】
◆地域や親族と交流がなく孤立している
◆小さい子どもを家に置いたままよく外出している
◆子どもに無関心、拒否的
◆気分の変動が激しく、かんしゃくを起こすことが多い
◆子どもがけがをしたり、病気になったりしても医者に診せようとしない
(東京都のパンフレットから)
(2009年5月27日 読売新聞)
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