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施設・里親

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 親の介護と自分たちの老後――中高年は避けて通れない。「有料老人ホーム」なら、公的介護施設より費用が高い分、サービスが手厚く安心だといわれるが、施設選びを間違えば、悲惨な目に遭う。

 費用が安い「公的介護施設」は、圧倒的に不足している。厚労省の調査では、全国で42万1000人も入居待ち。気の遠くなるような話だ。
 そこで〈終(つい)の棲家(すみか)〉の有力な選択肢になるのが、民間の「有料老人ホーム」。「公的介護施設」に比べて費用は割高な分、選びやすさでは一頭地を抜く。
 施設数は全国に4000以上。スポーツジムや天然温泉、カラオケルームなど、施設面は充実している。高級リゾートホテルと見まがうホームも。食事やレクリエーションをはじめ、介護サービスも手厚い。公的介護施設のスタッフは地域ボランティアが多いが、有料老人ホームはほとんどが“プロ”だ。

●入居一時金は返ってくるか?
 ところが、カネさえ払えばすべて安心かといえば、そうではない。有料老人ホームではカネをめぐるトラブルが後を絶たない。東京都消費生活総合センターによると、カネをめぐるトラブル相談が08年には251件あった。06年が123件だから、2年で倍増だ。「老後のお金の新常識」(ぶんか社)の著者で経済ジャーナリストの岩崎博充氏が言う。
「トラブルで増えているのは、多くの有料老人ホームが採用する〈入居一時金〉をめぐってのもの。入居者は、老人ホームのグレードによって、数百万円から数千万円まで前払いで払わされますが、注意すべきは、入居したら返ってこない〈初期償却分〉。20%程度ならまだ常識的ですが、中には50%を償却してしまうホームもある。仮に入居時に1000万円払ってしまったら、馴染めないからと入居直後に退去しても、500万円しか返金されません。〈初期償却分〉の割合は、契約事項を細かく記載した〈重要事項説明書〉に明記されていますが、入居前にきちんと説明を受けるべきです」
 入居中のホームが倒産すれば、さらに悲惨なことが待っている。
「事業者側から〈未償却分の返済義務は前経営側にある〉と一方的に通告され、返ってくるはずの数百万円が返ってこなかった例や、経営がかわって入居条件が厳しくなり、退去を余儀なくされたケースも多くあります」(岩崎氏=前出)
 09年12月18日付の読売新聞によると、06年以降、全国で少なくとも65件もの有料老人ホームが倒産・閉鎖に追い込まれている。虎の子の老後資金だ。ホームの経営状況は把握したいところだが、「現実は難しい」(岩崎氏=前出)。

●背伸びは禁物
 もう一点注意すべきは、費用対効果のバランスだ。入居者が親にせよ、自分にせよ、使うカネは決して少なくない。慎重にも慎重を期すべきだ。
「施設の豪華さやサービスの良さに目を奪われてしまい、つい“予算オーバー”になってしまう。高級になればなるほど、品のある入居者が多いものですが、だからといって気が合う人ばかりとも限りません。早期退去は、背伸びが裏目に出たことにも原因があります」(岩崎氏=前出)
〈終の棲家〉選びは人生最後のイベントだと、肝に銘じた方がいい。

【施設見学のコツ】
●視点を多く持つためにも、3、4人で訪ね、ひとかたまりにならずに見学。時間帯を変えて2、3回が理想。
●必ず施設の外も回って建物全体をチェック。増築が繰り返されていると、防災面に不安あり。
●スタッフはハキハキしていて明朗快活かもチェック。経営難で人件費が圧迫されているホームで働くスタッフには、覇気がないことも。
(日刊ゲンダイ2010年4月16日掲載)

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