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児童虐待を受けた子供たちへ対応する福祉現場を悩ませてきた「親権の壁」に風穴が開くことになった。法制審議会の部会が親権の一時停止制度の新設を柱とする要綱案を示した15日、児童養護施設の職員らは「対応しやすくなる」と歓迎した。一方で、112年前から存在し虐待を正当化する口実として使われてきた親の子供への「懲戒権」規定の削除は見送られた。
◆「子供の利益に」
虐待を受けた子供が多く暮らす東京都内の児童養護施設。海水浴シーズンを控えた夏場、鼓膜の奥に液体がたまる「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」の男児がいた。仲間と一緒に行きたがる男児のために施設長は手術を受けさせることを考えたが、病院は「親権者の同意が必要です」。 ところが、虐待したため離れて暮らす親は「手術で麻酔なんてとんでもない」と拒否した。男性職員(42)は「保険適用もある簡単な手術なのにプールにも連れて行けなかった。また知的障害がある子供が授業についていけずパニックになっても、親の同意がなければ特別支援学校へ転校できず教育の機会が奪われている。施設で暮らす間など一時的に親権を停止する制度ができれば、こうした親の妨げが解消される」と話す。 要綱案を示した「児童虐待防止関連親権制度部会」の幹事の一人、磯谷文明弁護士(43)は「虐待された子供の多くは精神的な問題を抱えているが、施設長が病院の精神科へ医療保護入院させたくても親が拒否する問題もあった。新制度で親権の壁のハードルが低くなり、子供の利益につながる」と期待する。 ◆議論の継続必要 今回の制度見直しは、虐待の発見・通報から児童相談所による介入、親と引き離した子供を児童養護施設や里親家庭で育てるという一連の虐待対応のうち、主に介入後の手続きをスムーズにするものだ。一方で、検討課題だった明治31(1898)年の民法施行から存続する822条の懲戒権の削除は「しつけができなくなる」と誤解されかねないなどとして見送られ、懲戒権を含む親権の効力に「子の利益のために」と明示することで決着した。 都内の別の児童養護施設の男性施設長(58)は「現状でも虐待する親は『子供のために』と言って虐待している。どこまで歯止めになるのか」。磯谷さんは「重要な一歩を踏み出した意味で評価できるが、議論を続ける必要がある」と話す。 |

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