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津波はすぐそこまで来ていた。近所のお年寄りを乗せると車は定員オーバー、1人が降りなければならない。「私が残る」と家に残った妻は津波にのまれ、
助けに向かった夫も津波に消えた。岩手県陸前高田市を襲った大津波は仲の良い家族と近所の人たちに「だれか1人が死ぬ覚悟を」と過酷な選択を迫った。

 JR駅前で写真店を経営する菅野有恒さん(56)と太佳子さん(55)夫妻が、離れて独り暮らしをする母光子さん(87)を車で助けに来たのは、地震から十数分後のことだった。

 「おふくろ、早くしろ」。急いで薬と保険証をリュックに入れ、家を出る。すると、近所の独り暮らしの女性ら3人が道路にいた。全部で6人。

 小さなワゴン車に乗れるのは5人だけだ。顔を見合わせると、「私が残ります」。太佳子さんが申し出た。有恒さんもうなずいた。

 「後ろの荷台に乗れるでしょ」。光子さんが叫んだが、太佳子さんは笑顔で首を振った。車は太佳子さんを残して急発進した。

 避難所の入り口で降ろされた光子さんらは、ごう音とともに建物をなぎ倒す津波を見た。「おふくろを頼みます」。近くの人に言い残し、有恒さんの車が猛スピードで引き返し、津波の中へ突っ込んだ。「ああっ」。車が見えなくなってすぐ、波が街をのみ込んだ。

 避難所では、有恒さんの車に助けられた女性たちと枕を並べる。「息子さん夫婦に命をいただいた」と涙ぐむ女性たちに気兼ねして、光子さんは「避難所では泣けません」と気丈に笑う。

 でも、本当はつらくて、眠ることができない。息子は嫁を残したことを悔やんだに違いない。引き返す時「命が危ないのは分かっていた。でも、行くなとは言えなかった」。そっと避難所を抜け出しては近くの公園でお経を唱え、人目を忍んでおえつを漏らす。

 23日の午後、小さな避難所の片隅で、光子さんが家族と写る年賀状をいとおしそうに見つめていた。アルバムはすべて流された。これが唯一残る家族の写真だ。来年はみんなで撮れないかもしれない。

 (浅井俊典)

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