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福島県内の屋根瓦職人が悲鳴を上げている。東日本大震災以降、修理の注文が殺到しているほか、顧客からは「地震が起きる前の施工に原因があるのでは」という心ない苦情も多い。痛ましいことに過労と心労で自殺する職人まで出た。現地で一体、何が起きているのか。
激しい揺れに襲われた福島。倒壊まではいかなくても屋根瓦を損傷した家屋は多く、3カ月を過ぎたいまもブルーシートなどに覆われた一軒家が目につく。
福島県瓦工事組合(加盟約90社)によると、県内で落ちた屋根瓦の総量は約4万トン。1業者あたり最大2000件もの修理の注文が寄せられ、仕事を満足にこなせない状態が続いている。
現地事情に詳しい業界関係者がこう説明する。
「地震で落下したのは、屋根の頭頂部などに置く『棟瓦(むねがわら)』が多いのですが、棟瓦は平瓦(ひらがわら=屋根の平面の瓦)に比べて在庫が少なく、在庫の面からみても施工が追いつかない。また、現在の施工なら、心棒で緊結(きんけつ)したり、接着したりしているため落ちづらいが、約20年前のものは土の上に乗せるだけだったため被害が広がった」
その施工時期の違いで、隣家同士でも被害がくっきりと分かれるケースは多い。それを知らずに、施工した業者に崩れた理由を「手抜き工事」と指摘し、詰め寄る顧客も少なくないという。
地元紙「福島民報」によると、たまる一方の仕事と精神的なストレスから、中通りに住む職人が自ら命を絶った。そんな二次被害も起きている。
震災後、全日本瓦工事業連盟では、求人情報をやりとりする専用掲示板を用意し、全国規模で被災地のサポートに乗り出した。
ただ、担当者は「いまのところ、福島県の業者さんからは数件の募集しかない」と話す。
「瓦職人は“屋根屋さん”というだけあって、雨が降っては仕事にならない。職人を集めたからには日当は支払わざるを得ず、リスクを避けるために、付き合いのない職人を雇うことに躊躇しているのではないか」(同)
業界の特別な事情もあるようだが、痛ましい二次災害だけは避けてもらいたいものだ。
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