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【それでも撲滅できないのか】(1)
 ドアを開けると体格のいい女性警察官が立っていた。バッジを示し「家の中を見せてもらえますか」。米国フロリダ州に住む日本人女性、ウィルソン陽子さん(36)=仮名=一家は3年前、9歳だった長男(12)に虐待通告があったとして調査を受けた。
 
連載では、関係機関や地域がさまざまな理由により、通告(通報)をためらう現状が浮かび上がった。
 神奈川県の42歳の女性は最近、隣家から小学生の男児の「誰か、助けて」という泣き声が聞こえ、学校へ電話した。両親とも不在で、母親は近くの店で話し込んでいたようだった。
 《打撲の跡など明らかな虐待なら別ですが、お隣のような場合はどうなのでしょうか。「助けて」と耳にすると胸がどきどきするが母親に改まって聞くほど親しいわけでもなく、そのままにしている。大げさにしないほうがいいのかとも考える。通報といっても難しく、勇気がいると思う》
 カナダ在住の38歳の3児の母は《短期滞在した日本人の一家が4歳の息子をしかってマンションのベランダへ出し、子供は「入れて」と泣いた。とても温厚なお母さんで「しつけのため」とのことだったが、隣室の住民が通報し、警察から「次は子供を連れて行く」と警告されビックリしていた。でも今の日本でもこういうことが必要なのではないか》。
 社会的介入にもっと強制力を付与すべきだとの意見は目立ち、東京都の30代の男性は《児童相談所を警察の一組織にしてしまい、もっと強力な権限と人材を配置してはどうか。子供との面会を拒否したら公務執行妨害で即、逮捕》。一方、熊本県の55歳の男性は《状況証拠だけでも強制力のある捜査を行えるよう、児童相談所に司法権限を与え「児童相談署」へ格上げしてはどうか》と提案した。
 2児の母という33歳の主婦は《通報すれば確実にその(親と)子が救われると日本中の人が信じられるシステムが確立されれば、誰だって通報できると思う》とし、《虐待の専門教育や海外留学に奨学金を出すなど専門家を育ててほしい。過去に虐待を受けた子供が大人になり、自分のつらい経験を乗り越えて人の役に立ちたいと思っているかもしれない。今、虐待を受けている子供の目標にもなるかもしれない》と訴えた。
 厚生労働省は児童相談所の全国共通ダイヤルを設けている。電話番号は、0570・064・000。
 
【なぜ親は一線を越えるのか】(3)
 「親が子供にしつけをして何が悪い」。わが子を虐待しながら、開き直る親たち。こうした親に強く出られない児童相談所の職員たち…。112年前の法律が現代の児童虐待対応をためらわせている。明治31(1898)年に施行された民法の822条に親権の一つとして規定された、親の子供への「懲戒権」。
 
駿河台大学の吉田恒雄教授(60)=児童福祉法=は「懲戒とは、言葉としては懲らしめ、戒めだが、中身としてはしつけを意味してきた。しつけの方法として体罰が社会的に容認され、しばしばエスカレートして虐待となる中、懲戒権は虐待する親たちに自身の行為を正当化する口実として使われてきた」。
 虐待の問題に詳しい磯谷(いそがえ)文明弁護士(42)によると、インターネットなどで懲戒権を知り「法律にあるじゃないか」と児童相談所の職員に迫る親もいるという。磯谷さんは「職員も民法に規定されている以上、どうしても対応が弱腰になってしまう」と話す。
 条文中の「懲戒場」も実在しない。民法という法体系の根幹に、なぜこうした規定が存在するのか。
 ■親に従わねば「百たたき」
 東京大学の利谷(としたに)信義名誉教授(78)=民法・法社会学=によれば、懲戒権は明治3(1870)年から12年間だけ施行されたわが国初の刑法「新律綱領」にさかのぼるという。
児童虐待を受けた子供たちへ対応する福祉現場を悩ませてきた「親権の壁」に風穴が開くことになった。法制審議会の部会が親権の一時停止制度の新設を柱とする要綱案を示した15日、児童養護施設の職員らは「対応しやすくなる」と歓迎した。一方で、112年前から存在し虐待を正当化する口実として使われてきた親の子供への「懲戒権」規定の削除は見送られた。
◆「子供の利益に」

 虐待を受けた子供が多く暮らす東京都内の児童養護施設。海水浴シーズンを控えた夏場、鼓膜の奥に液体がたまる「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」の男児がいた。仲間と一緒に行きたがる男児のために施設長は手術を受けさせることを考えたが、病院は「親権者の同意が必要です」。

 ところが、虐待したため離れて暮らす親は「手術で麻酔なんてとんでもない」と拒否した。男性職員(42)は「保険適用もある簡単な手術なのにプールにも連れて行けなかった。また知的障害がある子供が授業についていけずパニックになっても、親の同意がなければ特別支援学校へ転校できず教育の機会が奪われている。施設で暮らす間など一時的に親権を停止する制度ができれば、こうした親の妨げが解消される」と話す。

 要綱案を示した「児童虐待防止関連親権制度部会」の幹事の一人、磯谷文明弁護士(43)は「虐待された子供の多くは精神的な問題を抱えているが、施設長が病院の精神科へ医療保護入院させたくても親が拒否する問題もあった。新制度で親権の壁のハードルが低くなり、子供の利益につながる」と期待する。

 ◆議論の継続必要

 今回の制度見直しは、虐待の発見・通報から児童相談所による介入、親と引き離した子供を児童養護施設や里親家庭で育てるという一連の虐待対応のうち、主に介入後の手続きをスムーズにするものだ。一方で、検討課題だった明治31(1898)年の民法施行から存続する822条の懲戒権の削除は「しつけができなくなる」と誤解されかねないなどとして見送られ、懲戒権を含む親権の効力に「子の利益のために」と明示することで決着した。

 都内の別の児童養護施設の男性施設長(58)は「現状でも虐待する親は『子供のために』と言って虐待している。どこまで歯止めになるのか」。磯谷さんは「重要な一歩を踏み出した意味で評価できるが、議論を続ける必要がある」と話す。

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