屠られ日記!

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雨の日のアイリス

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雨の日のアイリス (電撃文庫)
著者/松山剛   イラスト/ヒラサト

ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。
正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士の元にいた
家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、
何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路(マインド・サーキット)から取り出した
データを再構築した情報──彼女が見、聴き、感じたことの……そして願っていたことの、
全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語を、あなたに。

●悲しくも温かい、機械仕掛けの少女の物語

雨に打たれながら、僕は本を読み続ける。
この雨は、もうやむことはないだろう。そして僕は、近いうちに光を失うだろう。
でも神様、お願いです。一生のお願いです。あとほんの少しでいいんです。
どうか、この優しい読書会が終わりを告げるそのときまで、僕から光を奪わないでください。

ロボット研究の第一人者・アンヴレラ博士によって造られた、一般家庭用の家事補助型ロボット・アイリス。
博士を心から愛していたアイリスは穏やかな日常を過ごしていたが、ある日突然、悲劇が襲うことになる……。

絶望と再生を繰り返す。悲しくも温かい、家庭用ロボット・アイリスの激動の半生を描いた物語。
予定調和ともいえるほど“泣かせてくれる”展開と、主人公が人間でも動物でもなくロボット。もうそれだけで
好きな人にはたまらなく好きなシチュエーションだと思います。こういうお話大好きだし、素直に感動した。

以下(一応)微ネタバレ注意

序盤はアイリスが博士のことをいかに大好きなのか。どれだけ愛しているのかを知ることになる。
それは微笑ましくありいつまでも続いて欲しいと願う、平凡だけれど最高に幸せな日常。けれどもアイリスの
幸せは“ある出来事”を皮切りにして、『絶望と再生』を繰り返す、悲劇の物語へと一変してしまいます。

なまじ高等なロボットだから、死にたくない気持ちもあるし、生きる意志もある。主を失って生きる目的を
失ったアイリスにとって人間に限りなく近い『心』は、このときほど必要ないと感じたことはなかったでしょうね。

ロボットの生きる姿を描いた、おとぎ話のような作品

『人間』とロボットの関係もテーマの一つですが、ロボットとロボットの関係も、この作品の大きなテーマだと
思います。形は違えど、性能は違えど。彼らは『心』を与えられました。生き抜こうとするアイリスや彼らの
姿に、人間とはどれほど違いがあるというのか。ロボットを物としか見ない人間たちと、感情のあるロボット達。

どちらに感情を動かされるかは言わずもがな。リリスとボルコフという友とのひと時の読書会。
そして大切な人との別れと。彼らの生き様、生きる意志に、後半は心を打たれる場面が幾つもあって何度もう
ダメなんじゃないかと思わされたか。アイリスに感情移入して読めたから、最後まで楽しめたんだと思います。

絶対に悲しい結末で終わるものとばかり思っていたので、新たに生まれ変わったアイリスとアンヴレラ博士の
手紙で、目頭が熱くなってしまって……ラストになって、表紙の意味も分かってさらにグッとこみ上げてくる
ものがありました。この作品を読めて良かったですし、なんというかこれはとても。とても愛おしい作品でした。

作品的にもイメージBGMはつい鏡音リンの『ココロ』がリフレインされてしまいます。

【評価:★★★★★】

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