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生きる
谷川 俊太郎
生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと
生きているということ
いま生きているとということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと
生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ
生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと
生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ
今、病気と闘っている女の子がいる。
その女の子が伝えてくれた詩です。
これから真剣に闘う為に、少しの間遠くに行くそうです。
『皆さん、ありのまま生きてください。
愛を感じてください。
泣きたいときは思いっきり涙をながしてください。
嬉しいときは素直に喜んでください。
腹がたってもほどほどに(笑
ひとりで悩まないでください。
楽しいときは素敵な笑顔を咲かせてください。
生きていることを思いっきり感じてください。
これが私からの最後のお願いです。
そのかわりに私は必ずここに戻って来たいと思います。』
その子の言葉です。
心を震わせて止みません。
早くよくなって、また会えるように、心から祈っています。
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