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(貴子の叙情詩) 籠の鳥は・・・歌う その日の 糧を得る為に歌う ただ・・・ それだけの為に歌い続ける 不思議な鳥との 運命的な出逢いも・・・ 不思議な鳥への 心地好い戸惑いも・・・ 不思議な鳥への・・・ 募る想いも・・・ 全てを 泡沫の幻と信じて 今日も・・・ 歌う 籠の中で・・・ 瑞穂 「・・・貴子さん・・・?」 貴子 「み・・・瑞穂・・・さん・・・?」 |
第7話「ヌードル舞踊曲」
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貴子さんは、本物のジュリエットに成る事ができるのか?
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瑞穂 「おはようございます。楓さん。」 楓(テーブルの食器を片付けている) 「あら、おはようございます。瑞穂さん。 ・・・もう、お出掛けですか?」 瑞穂 「いいえ、まだ3時間も先です。(苦笑) 目覚まし時計のセットを間違えたみたいで・・・? ・・・朝食?誰か出掛けたんですか?」 楓(クスクスと笑いながら) 「奏様が、部活が有るとのことでしたので、 朝食をご用意致しました。」 瑞穂 「日曜日なのに・・・大変だなぁ・・・。」(席に着く) 楓 「今度の舞台劇も、主役だそうですね。」 瑞穂 「ええ・・・本当にすごいです。」 楓 「それもこれも、 みんなお姉さまのお陰なのですよ・・・と 感謝しておいででしたわ。 瑞穂さんは・・・、先ずはコーヒーで宜しいですか?」 瑞穂 「ええ・・・目が覚めるような濃いのを。」 楓 「かしこまりました。」 瑞穂 「・・・」(見上げて回想に耽る) 瑞穂の回想 瑞穂 「ラーメン・・・ですか?」 貴子 「先日、君枝さんたちが、 そのラーメンという食べ物に関する話題を 盛んにされていまして・・・。 (苦笑) ・・・不思議なもので、職務の引き継ぎが概ね済んで気が楽になったのか、 今まで雑音程度にしか聞こえなかった役員達の私語が キチンと会話として聴こえて来ました。」 瑞穂 「フフッ・・・なるほど・・・」 貴子 「それで、そのラーメンに少々興味を持ちまして、 どの様な食べ物なのか尋ねてみたのですが・・・」 瑞穂 「はあ・・・? え?」 貴子 「・・・どうやら、(ため息混じりで) 最近の流行と言うわけではなく、 庶民には極めてポピュラーな食べ物だったようで、 役員の方々から、 少々奇異な眼差しで見られてしまいましたわ。」 瑞穂 「あ・・・ハハ・・・」 貴子 「(軽く溜め息)あいにく私の家では その様な物を口にする機会が無かっただけなのですが、 自分だけが知らない様に思えて、 どうにも気になってしまいました。」 瑞穂 「はあ・・・」 貴子 「瑞穂さんは、ラーメンというものを・・・ 召し上がりになられた事がありますか?」 瑞穂 「ええ・・・まあ・・・」 貴子 「そんなに美味しい物なのでしょうか」 瑞穂 「う〜ん・・・そうですね・・・ ! では、お互いに無事、入学試験も終わったことですし、 一緒に食べに行きませんか?」 貴子 「え?」 瑞穂 「美味しいラーメンのお店、知っているんですよ。」 貴子 「あ・・・はあ・・・」 回想終了 瑞穂 「・・・フフッ」 (楓、コーヒーを持ってくる) 瑞穂 (独り言)「・・・それにしても、 ちゃんと合わせたはずなのに・・・おかしいなぁ・・・」 楓 (コーヒーを置きながら) 「緊張して慌てていたのではありませんか?」 瑞穂 「う〜ん・・・そんなはずはないんだけどなぁ・・・」 (カップを取り、飲みかける) まりや 「おっはよおう!!瑞穂君! 戦闘準備は整っているかねぇ?」(元気よく入室) 瑞穂 「ぶはッ・・・戦闘準備って・・・ !? ああ〜ッ!! さては、まりや!」 圭 「奏!」 奏 「は、ハイなのです!」 圭 「ただ大声を出せば良いと言うものではないぞ。」 奏 「申し訳ありませんなのです!」 圭 「・・・」(奏を見詰めながら近寄る) 奏 「!」(奏、たじろぐ) (心配そうに見守る他の部員) 圭 (いつもの口調で)「奏!」 奏 「は、ハイなのです」 圭 (ピッと天を指差す) 奏 「?」(指さす先を見る) 圭 「観客がお前を見ているんだぞ。」 奏 「へ?」 圭 (耳元で囁く) 「無理をしているのか、頑張っているのか、 それくらい簡単に見抜いてしまう、目が肥えた観客だ。」 奏 「!」 (圭、離れる) 圭 (柵にもたれる) 「ではもう一度」 奏 「・・・」 『・・・院長先生・・・』 (深呼吸) 「 ! (天を仰ぐ) 天空の神々よ!」 他の部員達 「!!」 (奏の毅然とした演技に騒然とする) 圭 「・・・」(口元を僅かに緩ませる) 奏 「?」(周囲の様子を不思議がる) 圭 (柏手を打つ)「お前達、何をぼうっとしている。続けて。」 部員達 「天空の神々よ!」 圭 (部員の様子を伺いながら、何気無く礼拝堂を見下ろしている。) 「?」 (学院寮に視線を移すと、並木道を行く人影に気付く) 「あれは・・・一体・・・」 まりや 「甘いわよ瑞穂ちゃん!デートの遅刻は重大な犯罪! 学校の遅刻と同じ気持ちで居たら駄目なんだから!」 瑞穂 「なんだよ犯罪って! それじゃあ、勝手に人の部屋に忍び込むまりやは なんなのさ!」 まりや 「心外ねぇ・・・。(すまし顔) 遅刻しないようにって、 目覚ましを合わせてあげたんじゃないの。 いわゆる親心ってやつよ。 お・や・ご・こ・ろ(ウインク)」 瑞穂 「もう無茶苦茶だよ!そんなのぉ・・・」 (玄関から挨拶の声) 「おはようございます」 楓 「?」(声に気付き退室) 科白のみ(二人の口論は続いている) まりや 「無茶苦茶なのは瑞穂ちゃんよ。 だいたい、初めて女の子をデートに誘う場所が ラーメン屋だなんて」 瑞穂 「何処へ誘おうと僕の勝手じゃないか。 それに、別にデートのつもりで誘った訳じゃないよ!」 まりや 「瑞穂ちゃん、鈍過ぎ!」 瑞穂 「何がさ!」 (科白、フェードアウト) 楓 「御待たせして申し訳御座いませ・・・ !?」 まりや 「とぉにかく! 今の貴子は、 瑞穂ちゃんを男の子と認識しているんだから、 それなりの気遣いをしなくちゃダメなんだからね!」 瑞穂 「分かっているさ、それぐらいは! 僕だって・・・」 まりや 「ほらほら、言葉遣い言葉遣い・・・」 瑞穂 「あ!?・・・!・・・ん・・・ もうっ・・・ 私だって・・・」 (楓が入室) 楓 「瑞穂様、ここは、 まりや様にお礼を申し上げた方が宜しいかと存じますよ。」 瑞穂 「え?」 瑞穂 「・・・」(貴子の容姿に見惚れている) 貴子 「・・・」(うつ向いている) 瑞穂 「・・・お・・・お早うございます・・・」 貴子 「あ・・・ お・・・お早う・・・ございます・・・」 瑞穂 「・・・」 貴子 「・・・」(うつ向く) 瑞穂 「・・・」 貴子 「・・・」 瑞穂 「・・・あの・・・」 貴子 「ッ!も・・・申し訳有りません!」(深々と頭を下げる) 瑞穂 「え?」 貴子 「ま・・・待ち合わせ場所を・・・ うわ・・・ ! 『ま・・・まさか、 上の空で聞いていなかったとは言えませんし・・・』 で・・・ではなくて・・・その・・・ ! ま・・・待ち合わせ場所を書いたメモを・・・ 紛失してしまいまして・・・その・・・ ですから・・・その・・・ おね・・・じゃなッ・・・み・・・瑞穂さんが・・・ お出かけになる前に・・・と思いまして・・・」 瑞穂 「・・・あ・・・ああ・・・ でしたら、お電話をくだされば良かったのに・・・」 貴子 「え?・・・あ・・・あ〜そ・・・そう・・・そうでしたわね・・・ わ・・・私としたことが・・・オホホホ・・・」 楓 「厳島様、随分と狼狽されている御様子ですが・・・」 まりや 「イッシッシッシッ 由佳里ーッ!起きてるーッ? 由佳里〜ッ!! いざ出陣よ〜!!」 (2階に行く) (苦笑する楓) 楓 (独り言)「・・・厳島のお嬢様・・・ですか・・・」
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(道中、会話に困る二人。) 貴子 「・・・」 瑞穂 「・・・」(貴子の様子をそっと伺う) 『すごく高そうなドレスだなあ・・・ 汚したら大変だよ・・・』 貴子 「・・・」 瑞穂 「・・・」 二人同時 「あの・・・」 瑞穂 「ああっと・・・すみません!どうぞ」 貴子 「い!?・・・いいえ・・・おね・・・ どうぞ瑞穂さんからお先に・・・」 瑞穂 「え?ああ・・・っと・・・ では・・・ す・・・素敵なドレスですね。」 貴子 「え?」 瑞穂 「そんなに綺麗なドレスでは ラーメンを食べるときに汚したら大変です。」 貴子 「こ・・・これは、普段着ですが・・・」 瑞穂 「ふ!・・・普段着!?」 貴子 「友人同士の外出ですから、 あまり着飾るのは好ましくありませんし、 仰る通り、粗相をしても構わない服をと思い、 普段着で参ったのですが・・・ 何か・・・いけなかったでしょうか・・・」(心配そうに) 瑞穂 「・・・いえ、そんなことは・・・。 (笑顔) とても似合っていますよ。」 『この格好が普段着だなんて・・・ ラーメンのことと言い・・・ まりやの言った通りなのかなあ・・・』 瑞穂の回想 まりや 「あの子は、完全無欠のお嬢様育ちなの。 教養が超一流なら、世間知らずも超一流。 ラーメンどころか焼きいも屋さんも知らないのよ。 庶民的なことは一切ダメね。 ま・・・そう言う事だから、 ちゃあんとエスコートしてあげるのよ。」 瑞穂 『・・・とは言うものの・・・ はあ・・・ どうしよう・・・』 貴子 「・・・ほ・・・本当に・・・昨日は・・・ ぐ・・・偶然でしたわね・・・」 瑞穂 「え?あ・・・ああ・・・そ・・・そうでしたね。」 貴子 『!こ・・・これは昨日、 瑞穂さんが仰った事ではありませんか! あ〜・・・ん〜もう〜何からお話しすれば・・・』 瑞穂 「でも・・・貴子さんも人が悪いです。 同じ学校を受けられるのでしたら、 教えてくだされば良かったのに・・・。」 貴子 「え?」 瑞穂 「以前お伺いしたときに、 貴子さんは・・・外部受験はしないと仰っていましたから。」 貴子 「わ・・・私が、そのようなことを?」 瑞穂 「ええ・・・」 貴子 「え・・・あ・・・ええ、確かに・・・言いましたわ・・・。 ですが・・・、その時は・・・その・・・ ! そ・・・そうですわ。 その時は、まだ志望校を決めかねていただけで、 場合によっては、外部受験はしないかもしれない・・・と、 そのように申し上げた筈ですわ。」 瑞穂 「そ・・・そうだったのですか?」 貴子 「ええ、瑞穂さんの聞き違いですわ。 それに、自分の将来に関わる重大な進路に対して、 人の進路を気にしたり、ましてや人の進路に合わせるなど、 その様な生半可な志は如何なものかと思いますわ。」 瑞穂 「・・・。」 『・・・ ! フフッ・・・そうだ・・・』(何かを思い付く) 「・・・ああ・・・でも・・・(残念そうに) ・・・ええ、やはり、そうですよね。」 貴子 「はい?」 瑞穂 「もし、同じ大学を受けることが分かっていたら、 余計に緊張して、勉強に手が付かなくなってしまったかもしれません。」 貴子 「緊張・・・?」 瑞穂 「ええ、だって、もし受からなかったら、 貴子さんと離れ離れになってしまう・・・って考えただけで、 不安に駈られて気が焦ってしまうじゃないですか。」 貴子 「そ・・・そんな事を・・・」(赤面) 『・・・全く・・・その通りです・・・なんて言えませんわね・・・ ・・・はあ・・・まるで神様のお導きのような思わぬ偶然で、同じ所を受けたと言うのに、 不安が募るのは何故なのでしょう・・・ もし受かっていなかったら・・・ いいえ、手応えは有りましたし・・・ !・・・答えを書く場所を間違えては・・・ そんな事は・・・ですが・・・ !ひょっとしたら、名前を書き忘れては? いえ・・・受験番号を間違えている可能性も・・・ あ・・・ああ・・・』 瑞穂 「・・・」(笑みを浮かべて貴子の様子を伺っている) 貴子 『さほど難関校という訳でもないのに、 もし、不合格にでも成ったら、聖應の格好の笑い者。 きっと瑞穂さんも、私を軽蔑なさるに違いありませんわ。』 瑞穂 「?・・・貴子さん?どうかされましたか?」 貴子 「えっ? あ、いいえ〜何でもありませんわ〜。 そ・・・そうですわね・・・お姉・・・あ、じゃなっ・・・瑞穂さんが 不合格にお成りなるなんてことは、 万が一にも有るわけが御座いませんが・・・、 もおし・・・もしも、万が一にも、 その様な事態になった場合、 瑞穂さんは如何なさるおつもりですか?」 瑞穂 「ん・・・そうですね・・・ 大学には、どうしても行きたいですから、 浪人・・・ですね」 貴子 「そ・・・そうですわね。 浪人をしてでも、志望校を目指さなければ 受験の意義が失われると言うものですわ。」 瑞穂 「あはは・・・それは大袈裟ですよ・・・ 日本で有数の超難関校、というわけでもないのですし。」 貴子 「オホホホ・・・(汗) ・・・では・・・、もし・・・〜・・・ !〜・・・(はたと思い留まる)」 瑞穂 「え?何でしょうか・・・」 貴子 「あの・・・いえその・・・、何でもありませんわ・・・ 『このような事、尋ねられる訳がないではありませんか〜・・・』 〜・・・(表情が暗くなり声が小さくなる)」 瑞穂 「・・・」(貴子の表情から察する) (軽くため息) 「でも・・・もし・・・僕は合格したのに・・・」 貴子 「!!」 瑞穂 「万が一にも・・・ 貴子さんが不合格に・・・なんて事になったら・・・」 貴子 「・・・」 瑞穂 「僕は入学を辞退して、貴子さんと一緒に浪人します。」 貴子 「えっ!?そうで・・・ そ!そんな!私なんかのために辞退だなんて・・・ ・・・!あっ・・・別に、 その様なことをお伺いしようとしたのではなく・・・」 瑞穂 「それでは、何をお聞きになるおつもりでしたか?」 貴子 「!そ・・・それは!・・・ ・・・も・・・ も・・・勿論、瑞穂さんに万が一のことが有ったら、 私も入学を辞退して、浪人を・・・ ・・・! あっ! ・・・ではな・・・いえっ・・・あの・・・」 瑞穂 「ウッフフフフ・・・へぇ〜・・・」 貴子 「なッ・・・嘘では有りませんわ!」 瑞穂 「ウフフフ・・・」 貴子 「ほ・・・本当ですッ!」 瑞穂 「でも、さっき、自分の進路を決めるのに、 他人の進路に合わせるのは如何なものか・・・と 仰ったでは有りませんか?」 貴子 「!・・・う・・・それは・・・ ・・・。」 瑞穂 「フフッ・・・貴子さん・・・。」 貴子 「あ・・・はい・・・」 瑞穂 「そんな風に、失敗したらどうしよう・・・ なんて考えた事は、今までにありましたか?」 貴子 「あ・・・い・・・いいえ・・・・」 瑞穂 「フフッ・・・だからですよ。」 貴子 「え?」 瑞穂 「創造祭の演劇の時もそうでしたが、 いつも毅然とした態度をしていらっしゃる貴子さんが、 そんな風に困って、不安そうな顔をしているのが、 なんだかとても可愛らしくて・・・、 つい笑ってしまったんです。」 貴子 「そッ・・・!! 瑞穂さんッ! 私をからかったのですか!?」 瑞穂 「フフッ・・・からかってなんか居ませんよ。 ・・・ただ、貴子さんの答えに疑問を感じたので、 それを指摘させて戴いたまでです。」 貴子 「!もうっ!! 瑞穂さんは意地悪ですッ!!」 瑞穂 「アハハ・・・大丈夫ですよ。
二人とも、合格間違いなしですよ。」 |
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(瑞穂と貴子の後を付けるまりやたち) BGM 7 Yukari’s Thema まりや 「うんうん・・・一時はどうなるかと思っていたけど なかなか良い感じじゃなぁ〜い?」 由佳里 「まりやお姉さま〜・・・やっぱり良くないと思います〜。」 まりや 「此処まで来て、な〜に言ってんのよ。 あんただって昨日はノリノリだったじゃないの。」 由佳里 「それはそうでしたけどぉ・・・ やっぱり、なんだか後ろめたいです・・・。 後を付けるなんて、まるでストーカーみたいで・・・」 まりや 「人聞きの悪いこと言わないの! これは尾行と言う、れっきとした犯罪捜査の基本よ。 き ほ ん!」 由佳里 「お二方は犯罪者じゃありませんしぃ〜・・・。 それに、こんなの、聖應の生徒として絶対に相応しくないですぅ。」 まりや 「・・・まったく・・・ (携帯の着信音) ん? (携帯を開く) おりょ?」 (繁華街に入って行く瑞穂たち) BGM 5 Mariya's Thema まりや 「・・・」(ニヤリ) 由佳里 「・・・」(困惑) 奏 「・・・」(苦笑) 紫苑 「・・・」(笑顔) まりや 「さ〜あ由佳里お嬢さまぁ、先ほどの立派な御言葉を、 紫苑様にも聴かせて差し上げなさぁい。」 由佳里 「ううっ・・・」 紫苑 「まあ、どんな御言葉ですの?」 由佳里 「そ・・・その・・・」 まりや 「うりうり・・・どうしたのかしらぁ?」 由佳里 「ひ・・・人の後をこっそりつけるなんて・・・ せ・・・聖應の生徒として・・・ 相応しく・・・ない・・・と思い・・・ます・・・」 紫苑 「・・・まあ・・・ウフフ・・・ ・・・まりやさん・・・」 まりや 「は、はい?」 紫苑 「可愛い妹に、意地悪したいお気持ちは分かりますが、 こうした大事なことは、きちんと説明された方が宜しくてよ。」 由佳里 「え・・・?」 まりや 「あ?あ・・・アハハ・・・そ、そうでしたね〜 ゴメンゴメン、ゆかりん」 由佳里 「・・・? ?」 紫苑 「・・・由佳里さん・・・」 由佳里 「は・・・はいっ」 紫苑 「確かに、こっそりと人の後を付けることは、 宜しくないことですわ」 由佳里 「そ・・・そうですよね!」 紫苑 「ですが、これは社会勉強なのです。」 由佳里 「!?し・・・社会勉強?」 紫苑 「ええ・・・、ほら、よくご覧になって。 お二方は、男女交際の御手本を、 由佳里さんと奏ちゃんに見てもらおうと、 お芝居をなさっているのです。」 奏 「お芝居・・・なのですか? (二人の様子を見返す)! そう言われれば・・・改めてお二方を見ると まるで恋人同士に見えるのですよ。」 由佳里 「そうか・・・ ・・・服装を比べてみると・・・ 生徒会長さんは綺麗なドレスなのに対して、 瑞穂お姉さまは普段着のジーンズで、 男の方を意識しているみたいですよね。 でも・・・男女交際・・・と言われても・・・」 奏 「ん〜・・・ハイなのですよ。 今、瑞穂お姉さまは、創造祭の時のロミオのように、 身も心も男性を演じていらっしゃるのですよ。」 由佳里 「そ・・・そうなの?」 奏 「ハイなのですよ。 奏には、その様に見えるのですよ。」 紫苑 「由佳里さんも、後学のために お二方の様子をよく御覧になっておくと宜しいですわよ」 由佳里 「あ・・・はい・・・」(釈然としない様子) (二人の後を付ける一同) まりや 「紫苑様は 瑞穂ちゃんのデートの事を どちらでお知りに成られたのですか?」 紫苑 「私は・・・駅で奏ちゃんと出会いまして。 彼女から事情を伺って、初めて知りました。」 まりや 「駅で・・・、何か用事がお有りだったのでは?」 紫苑 「・・・この様な重大イベントに比べたら、 取るに足らないやぼ用ですわ。」 奏 「奏、まりやお姉さま方の後を追いかけていたのですが、 電車に乗り遅れてしまったのですよ。 行き先も分かりませんでしたし、 携帯電話も持っていませんでしたから、 途方に暮れていたのですよ。」 紫苑 「そこへ、私が偶然に通りがかりまして・・・。」 由佳里 「確かに、駅、すごい人だったなぁ・・・ あたしも、まりやお姉さまとはぐれそうになったもんなァ・・・。 まりやお姉さま、どんどん先に行っちゃうんだもん」 まりや 「あたしだって、瑞穂ちゃん達を見失わない様に 必死だったんだからぁ。 ・・・それにしても、偶然とは言え、あの混雑の中で、 紫苑様は、よく奏ちゃんを見付けられましたね」 紫苑 「それはもう・・・リボンのお陰なのですよ。」(ウインク) 奏 「アハハ・・・」(苦笑) 由佳里 「・・・?そう言えば奏ちゃん、 今日は部活があったんじゃないの?」 奏 「ハイなのです。 ですが、部長さんから急に休むように言われたのですよ。」 由佳里 「休め・・・って、 でも、奏ちゃん、主役でしょ?」 奏 「ハイなのです。 奏もそう思ったのですが、 部長さんから、主役よりも重要な使命だとこれを・・・ 紫苑 「・・・?(奏の腰回りに目をやる) あら? 奏ちゃん・・・それは ひょっとしたら、ビデオカメラではありませんか?」 まりや 「・・・ッて、ええっ!?」 奏 (携帯サイズのビデオカメラを取り出す) 由佳里 「・・・本当だ。ポシェットかと思ってた。」 まりや 「それって・・・確か 女の子向けにデザインされた最新機種じゃないの。 いいなぁ・・・いつ買ったの?」 奏 「ええっと・・・これは、奏のものではないのですよ。 部長さんからお借りしたものなのですよ。」 紫苑 「部長・・・圭さんですね。」 奏 「ハイなのですよ。」 まりや 「先月の雑誌に記事が載っていたから 発売されたばかりのはずよねぇ・・・ よくこんなの貸してくれたわねぇ。」 奏 「ハイ・・・奏もよく分からないのですが・・・ これに、今日の瑞穂お姉さまと会長さんのご様子を 収めるように仰せ使ったのですよ。」 一同 『なるほど・・・』(汗)
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一子 「あ〜ん 一子も瑞穂お姉さまのデートに付いて行きたかったですよ〜!!」 楓 「お姉さまは、瑞穂様と同棲なさっていて、 毎日がデートの様なものではありませんか。」 一子 「チッチッチッ・・・デートはデートの醍醐味、 デートでしか味わえないスリル!スピード!サスペンスなんですよ〜」 楓 「ス・・・、何か違うような気が致しますが・・・。 それに、お姉さまが御一緒では、 お二方のデートにならないではありませんか。」 一子 「ん〜〜〜むぅ〜〜〜」 楓 「・・・ それはそうと・・・ 瑞穂様がお付き合いなさっているお相手は てっきり十条様だと思っていたのですが・・・。 ・・・ひょっとして、意外にああ見えて、 二股をかけていらっしゃっていたとか・・・」 一子 「う〜ん・・・そうですねぇ〜・・・一子が思うには 瑞穂お姉さまが紫苑さんを見ている目は、 どちらかと言えば、 まりやさんを見ている目に近いですねぇ〜」 楓 「まりや様と?それは・・・?」 一子 「うまくは言えないんだけどもぉ・・・ でも・・・、紫苑さんが瑞穂お姉さまを見ている目は、 これまたちょっぴり違うみたいなんですよねぇ〜」 楓 「はあ・・・」 一子 「あと他にはぁ・・・ 最近の瑞穂お姉さまのお話に占める 生徒会長さんの割合は多くなってきましたねぇ〜 昨年比23.52%増、と言ったところでしょうかねぇ〜」 楓 「なるほど・・・ そう言われるお姉さまも・・・ 幸穂様の御名前を毎日毎日口にされていましたし・・・」 一子 「アハ・・・そうだったっけ・・・ ・・・幸穂お姉さまも、よく・・・ ・・・!・・・ああ〜!」 楓 「!ど・・・どうかなさいましたか?」 一子 「幸穂お姉さまの旦那様って・・・ 慶行ッてお名前だったんだ〜!!!」 楓 「・・・何を今頃・・・」 一子 「一子!一生〜の不覚!」 楓 「・・・一生・・・って・・・」(汗) 一子 「あ〜あ・・・それもこれも楓ちゃんが毎日毎日、 旦那様旦那様旦那様旦那様って言ってるもんだから、 すっかり忘れちゃってたんですぅ〜」 楓 「!わ・・・私は毎日言ってなどおりません!!」 一子 「フフ〜ン 言っている本人には自覚は無いものなのですよ〜だ」 楓 「ん・・・(軽く溜め息) ・・・それにしましても・・・お相手が 厳島のお嬢様とは、意外でしたわ。」 一子 「?・・・楓ちゃんは・・・ 生徒会長さんのことは快く思っていないの?」 楓 「いえ・・・以前お会いして、 瑞穂様の仰った通りの人柄だとお見受け致しました。 ただ私は、瑞穂様は十条様との親睦が深い様子でしたので その様に思っただけで、 相応しいとかではなく・・・」 一子 「ライバル会社のお嬢様だから・・・?」 楓 「・・・。 普通は・・・、その様に考えるのが自然だと思います。」 一子 「・・・」 楓 「・・・。 (顔を上げて毅然とする) ですが・・・」 一子 「?」 楓 「どの様な家柄の方であろうと、 瑞穂様が見初めた方であるのなら、 私は、お二方が幸せになれるよう、 精一杯応援致しますわ。」 一子 「楓ちゃん・・・」 楓 「保護者として、当然の務めです。 それに・・・ 瑞穂様は、人を幸せにする術(すべ)を持っておられます。 どのような困難が有ったとしても、 幸せな家庭を築いていかれる・・・と、 私はそう信じております。」 一子 「・・・楓ちゃん? まだぁ・・・御二人が結婚するって決まった訳ではないと思うのですがぁ・・・」 楓 「?あら・・・それでしたら、今日にでも 将来の誓いをされるのではありませんか?」 一子 「・・・! あ〜っでもでもでも、 瑞穂お姉さまと最初に将来を誓い合ったのは一子ですからね!」 楓 「はいはい、ごちそうさまでした。」 (すまし顔でお茶を啜る) 一子 「む〜っ」 瑞穂 「開店まで、まだ暫くありますから、 此処で一休みしましょう」 貴子 「はい・・・」 (向かいのファーストフード店の中から窓越しに様子を伺う4人) 奏 「お芝居なのに、本当に楽しく会話をされているのですよ」 まりや 「う〜ん・・・何を話しているのか気になるわね」 都内のほとんどの大学に出されていた事に 驚かれたようですわね」 まりや 「ハァ?」 由佳里 「ほとんど?どうしてなんでしょう・・・」 紫苑 「ウフフ・・・瑞穂さんと同じ大学に行きたかったけれど、 志望校をお尋ねするのが恥ずかしかったそうです。」 まりや 「まったく・・・一番肝心な事を 聞かないで何考えてるのよ・・・(苦笑) ・・・?」 紫苑 「ウフッ、流石の瑞穂さんも呆れたご様子ですわね。 それでもし同じ学校ではなかったら・・・ 仕方がありませんから、そこに通います・・・ 先ほど、ご自分の進路に対して 生半可な志で挑むのは如何なものかと 仰っていたではありませんか・・・ ウフッ・・・フフフフフ ・・・もう・・・貴子さんったら・・・ウフフフフ・・・」 3人 「・・・。」(無邪気な紫苑の様子に唖然) まりや 「・・・紫苑様・・・」 奏 「紫苑お姉さま・・・お二方の会話がお分かりになるのですか?」 紫苑 「えっ?・・・ああ・・・ 実は、こんな事も有ろうかと、 読唇術を習っておきました。」 まりや 「こんな事も・・・って?」 紫苑 「ウフッ・・・なんて・・・、 本当は、入院中、退屈しのぎに ちょっとしたコツを覚えただけです。 ただ・・・折角覚えても、病院でしたから、 『あの方は、もう長くない』・・・等と言った、 あまり楽しくない会話ばかりでした。」 まりや達 「あぁ・・・」(苦笑) 紫苑 「・・・なので、今日のような楽しい会話で使えた事が 本当に嬉しくて・・・。 ウフフフッ」 一同 「あはは・・・」(苦笑) 瑞穂 「こんにちは」 店主 「よぉッ!!いらっしゃい!!お嬢ちゃん!! おやッ?今日はお連れさんが一緒かい?」 瑞穂 「ええ・・・奥、宜しいですか?」 店主 「いいともさ! こんなオンボロの店にべっぴんさんが二人も来てくれるなんてウレシイねぇ!!」 紫苑 「瑞穂さん・・・こちらの常連さんでいらっしゃったのですね」 まりや 「う〜ん・・・たまに外出してたのは こういうことだったのね・・・ ! そう言えば・・・確かに今、お嬢ちゃん・・・って 呼ばれていましたよね・・・。」 紫苑 「ええ・・・流石ですわね。 お一人でお出掛けになるときも用意は万端。」 まりや 「一人で居て、前の学校の生徒と会ったら どうするつもりだったのかしら。」 紫苑 「でも・・・、まあ、 瑞穂さんが、男の方に間違われるなんてことは 有り得ない事ですから・・・」 まりや 「あ・・・ハハハ・・・ ! ところで紫苑様。 (紫苑に耳打ち) 瑞穂ちゃんってば、 ほんっと〜に貴子の下着の色を聞いていたのですか?」 紫苑 「・・・ウフッ・・・まさか・・・ ただ・・・瑞穂さんの秘密に関わる部分は、多少脚色を加えませんと・・・。」 まりや 「(汗)・・・多少・・・ですか・・・(由香里たちの様子を見る) 妹たちには・・・少々、刺激が強い内容だったのではないかと・・・。」 紫苑 「あら・・・ 愉しさの余りつい・・・ お調子が過ぎましたわね。 ウフフ」 まりや 「・・・」(苦笑) |




