DAY by DAY 〜一年戦争の証言〜

「機動戦士ガンダム」一年戦争のすべてが今明らかに!

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 最近では、ジオンのプロパガンダだけではなく、連邦軍もプロパガンダ放送を頻繁に流していた。内容は、ジオンが流した放送のウソを暴くというスタイルのものが多かった。それでも、連邦軍がジオンをからかうようなナレーションは面白く、それがいちいちもっともだったこともあって、エンターテイメント性の高いニュースとしての側面も持っていたのではないかと思う。
 今日、放送された連邦軍の放送はいつもとは違っていた。何でもヨーロッパ方面で行なわれていた戦闘が終結し、ジオンは敗退したというらしい。いつもなら、ジオンが「戦闘で大勝した」という放送に、連邦側が「勝利したジオンの皆さん、おめでとう。ですが、貴方たちが喜んでいる勝利の陰にはこれだけの犠牲があったのですよ。それに加えて我が軍はこれだけしか被害を受けていません。それが何を意味するか、賢明なジオンの皆さんならお分かりですね」といった具合に相手の気をそぐような演出をする。それなのに今回は、ジオン側の放送はなく(「時報代わり」のものはあったが)、連邦軍は自軍の勝利を喧伝する訳ではなく、作戦の成功とジオンのどれほどの損害を与えたのかを、淡々と放送するのみであった。ジオンがプロパガンダ放送にすることも出来ないほどの敗北を喫したのか、それとも連邦軍の違う手法なのか、この放送の意味するところは分からない。しかし、ひとつ分かることは、この戦争のなにかが大きく変わったということである。
 ようやくジオンの放送があったのは、11月9日も遅くなってからのことであった(正直にいうと、いつまでも放送がなかったので、心配してしまった)。その放送では、ジオンは地球上の重要な物資の大半を獲得し、宇宙に持ち去ったこと、何もない地球に逼塞する我々とひとつの勝利に沸く地球連邦軍を哀れむようなこと言っていた。しかし、先の連邦軍の放送を聞いた今では、ジオンのこの放送になんの説得力のなかった(説得力など、前からなかったが、少なくともわずかな真実は含んでいた)。明らかに時期を逸したこのプロパガンダ放送は、ジオンの中で何か歯車がかみ合わなくなっていることを示すもののように感じられた。

<地球:オデッサ作戦直後のジオンのプロパガンダ放送に関する識者の感想>

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 気がついたとき、自分がどこにいるか分からなかった。モニターや計器が発するわずかな明かりで、自分がMSのコクピットにいることを理解した。意識がはっきりしてくるにつれ、自分がどこで何をしていていたかを少しずつ思い出してきた。そう自分は、オデッサの攻略を目指す連邦軍を阻止するために、MSで出撃したのだ。11月7日に始まった連邦軍の大攻勢は、我が軍の反撃もあってその日のうちに一端は終息した。しかし、次なる攻撃があることは私をはじめ、オデッサに駐留するジオン公国軍の全員が口には出さなくとも理解していた。
 翌日も小康状態であった。散発的な攻撃があるだけで、我が軍も攻勢に出ることはなく、防御に徹していた。しかし、11月9日、敵の大部隊が戦線を突破したことで、戦局は大きく動くこととなった。戦線の切れ目からなだれ込む敵部隊に対し、我が軍も部隊を派遣、戦線の再構築を目指したのである。その部隊の中に私もあった。基地を出撃していた私は、敵部隊が戦線を破ったという通信を聞くと、自分の部隊をそちらに向けた。しかし、該当する地点に達する前に敵部隊と接触、戦闘に突入したのである。通信からわずかな時間で、敵はかなりの数の部隊を浸入させており、辺りはすでに混戦状態にあった。敵の攻撃を何とか押し戻そうとするも数の上での劣勢は明らかで、この防衛網が突破されるのも時間の問題であった。一端後退し、態勢を立て直すべきか? そう思ったその時、激しい衝撃を受けた私は、機体が倒れるのを感じていた。機体がダメージを受けたことは明らかであったが、衝撃でモニターは一時的にブラックアウトしており、アラームだけがコクピット内に鳴り響いていた。そして、機体が地面に倒れこむ衝撃を感じると同時に私は気を失ったのである。
 そう、これが数時間前の出来事だった。戦闘がどうなったのか、周囲の状況は全く分からない。とにかく、機体を動かすか、でなければコクピットから脱出しなければならない。モニターをつけようとするが、全く反応せず、機体の状態を示すモニターも消えたままとなっている。コントロールスティックやフットペダルはわずかに反応するが、機体が動き出す気配は全くなかった。数十分、機体を動かそうとしたが、それも無駄な努力であった。次に残された手段は、機体からの脱出だ。脱出装置が作動しなければ、私はここで朽ち果てることになる。覚悟を決めて、イジェクションレバーを引いてみたが、鈍い音がするだけで、何もおこらない。連続して何度か、引いてみたが同じであった。これで終わりか……、不思議と落ち着いた気分だった。ため息と同時にシートにもたれたとき、爆発音がコクピットハッチに響いたのである。イジェクション時にハッチを強制排除する装置が働いたのだ。開いたハッチからは、外の光が差し込み、そのまぶしさに私は目を細めた。光と同時に外から砂漠特有の砂を含んだ空気と何かが燃えるようなにおいが入り込んできていた。コックピットから這い出した私が見た光景は、今でもどう表現していいか分からない。私の視界には破壊された兵器とその間で息絶えた兵士たちが飛び込んできた。その光景に私は言葉を失うと同時に、呆然と立ちすくんでいた。
 遠くから聞こえた爆音に我に返った私は、この場を離れ、味方への合流を考えた。しかし、どっちに行けば味方がいるのか、見当も付かない。とりあえず基地のあった方向に向かい歩き始めた。一体どれほど歩いただろうか。周りの風景が変わることなく、破壊された兵器と死んだ兵器で埋め尽くされていた。ひとつ違うことは、少しずつ我が軍の兵器や兵士が多くなっているということだった。そのうち人の気配を感じることもあったが、物陰から様子を伺うとそのほとんどが連邦兵で、中には我が軍の兵士を連行している場面に出くわすこともあった。敵を迂回しながら、基地を目指すうちにいつしか、日は地平線に消え、辺りは真っ暗になった。エマージェンシーキットにライトが入っていたが、敵兵がいる中で自分の居場所を知らせるようなまねはしたくはない。かといって味方の位置も分からない。この状況に半ば自暴自棄なった私は、あと数時間歩いて、それでも味方に出会わなければ投降しよう、と決心した。そう決めると、ライトを点け辺りを照らしながら歩き始めた。この時の不気味さと心細さは今でもはっきりと覚えている。そうして歩き始めて数十分後、前から何かが接近してくる気配を感じた私は、ライトを消すと陰に身を隠した。目を凝らしながら暗闇を覗き込んでいると、向こうから一台のトラックがやってきたのである。暗くて連邦軍のものがジオン軍のものか判別できない。敵であれば投降すると決めていた私は、ライトをつけると、道に飛び出した。トラックが急ブレーキと共に停車すると、中から数人の兵士が降りてきて、私に銃を向けたのである。
 後ろに向かされた私は、このまま撃ち殺されるのだと思っていた。しかし、私の耳には、ジオンなまりのきつい言葉が入ってきたのである。ライトを点けた彼らに所属部隊などを伝えると、戦闘の結果を尋ねた。私の質問に彼らは一様に眉をひそめ、鉱山基地は放棄され、現在は敵に制圧されたのだろうと、答えた。そうなっていることは半ば確信していたので、私を驚かせなかった。了解した旨を伝えるためにうなずくと、彼らは味方部隊との合流のために移動しているといい、私にも同行を求めた。彼らは最終的にはバイコヌール宇宙基地を目指しているらしく、他に多くの部隊がそこに向かっているという。連邦軍が警戒態勢――ということは、大規模な掃討作戦やバイコヌールへの攻撃はまだないということだ――にある今のうちに距離を稼いでおいたほうがいいということなのだろう。同行することを了承した私は、彼らと共にバイコヌール宇宙基地を目指すこととなった。
 途中、撤退する味方部隊と合流した私は、何度かの敵襲を受けたが、無事、バイコヌール宇宙基地へと到着した。基地は撤退した部隊であふれかえっており、私が宇宙に戻るHLVに乗れたことは奇跡といってよかった。これが私のオデッサでの戦いとその後の撤退のあらましである。あそこで見た光景、そして鉄が焼けるにおいと死臭、それは宇宙では決して体験できないものだった。そして、私は今も鮮明にそれを覚えているのである。

<ジオン公国軍:オデッサ作戦からの帰還兵:ジン・ナガサワ少尉の回想より/オデッサでの戦果により彼は中尉に昇格した>

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 今回の作戦は、歴史の残るほどの激戦だった。作戦前から上官たちは、これがこの戦争の趨勢を決する上で非常に重要なものだ、と熱弁をふるっていた。しかし、そうした士官の多くは戦場に散っていった。士官だけではない、私の仲間の多くも帰らぬ人となってしまったのだ。私が生き延びたことは、幸運以外の何物でもない。
 今も遠くでは砲声と爆発音が鳴り響いているが、それの次第に散発的なものとなってきている。私の部隊がいる辺りでは敵の姿はなく、現在は警戒態勢へと移行したところだ。だが、敵が潜伏している可能性もあるため、安心はできない。あと少ししたら、私の部隊――というよりも生き残りを中隊規模にまとめた部隊だが――も、付近の偵察に出発する予定になっている。さっき帰ってきた連中から聞いたところによると、危険は全くないらしい。たまに味方の回収部隊に行き当たる程度で、敵の姿は見えなかったそうだ。
 それともうひとつ、嬉しい報せがあった。この部隊から転属になることが決定した。転属先はベルファストと聞いている。あそこには連邦軍の大きな基地もあるし、何せ後方だ。ここよりマシなことは間違いない。そうすれば、休暇も取ることが出来ると思う。開戦以来、ほとんど休みがなかったんだし、ここらで一度休暇をもらってもいいだろう。休みが取れたら、また連絡する。詳しくはその時に話すよ。

<地球連邦軍:コルギオ・アンダーソン伍長の手紙/オデッサから出したとされるが、未送となっていたもの。作戦終了時の混乱で配送されなかった郵便物の中から発見>

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 この頃になるとジオンのプロパガンダ放送も、最初の頃の目新しさなどなくなっていた。決まった時間に流れていたこともあって、「プロパガンダ」というよりも「時報」みたいな感じだった。しかし、今日の放送はこれまでのものとは決定的に違っていた。いつもは「強いジオン軍」「スペースノイドの独立」などを時代がかった音楽とセリフが流れるのだが−−放送が流れ始めた頃は、本当にジオンが地球圏を手中に収めるほどの力を持っていると思っていたが、この頃はもうコメディとして見るようになっていたが――、今回はなんとジオン本国からの実況だったのだ。その異様な雰囲気に道を行く人たちも足を止めて、街頭のモニターを食い入るように見つめていた。
 壇上にはガルマ・ザビの大きなパネルが置かれ、その前でギレン・ザビがこぶしを振り上げ、演説を行なっていた。どうやらガルマ・ザビの葬儀を放送しているらしい。しかし、これを見ている人々、そして広場に集まった群衆はガルマの葬儀よりもギレンの演説に耳を傾けていた。自説を根底にしたギレンの演説は「選ばれたスペースノイドによる統治」といったいつものジオンのプロパガンダ放送と同じような内容だった。だが、ギレンの演説は人を引き付ける何かがあるらしく、いつもなら足早に通り過ぎてしまうはずが、足を止めて聞き入ってしまうのだ。
 自身の弟の死すら戦意高揚に使おうとするギレンに、嫌悪感を抱かないでもなかった。しかし、それ以上にギレンの手法を無意識のうちに受け入れ、団結を強める群集――「ジーク・ジオン」を連呼する彼らはギレンの何に共感を得ているのだろうか?――の姿に私は驚きと恐怖を感じていたのである。

<ジャーナリスト:スィーダ・T・ダーバヴィル、あるジャーナル誌にあてたコラムより抜粋>

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 遂にオデッサ作戦が発動した。ワルシャワに設営された野戦本部には各部隊からの報告が続々と寄せられてきた。一進一退の状況は連邦軍第三軍の動きで大きく動くかと思われた。第三軍が敵の第一線を突破したとの報告に、我々は沸き立った。しかし、ジオンは反撃の態勢を整えると、第三軍を押し戻したのである。
 これで作戦は振り出しに戻ったように思えたが、我が軍は物量にものを言わせ、作戦が開始した11月7日時点でわずかなりとも戦線を押し返すことには成功していた。しかし、ここまでだった。黒海周辺に置かれたジオンの各基地には、MSをはじめ多くの戦力が配置されており、その防御力は我が軍の進撃を阻むには十分であった。戦線はこの段階で膠着の様子を見せ始めていた。

<地球連邦軍:ワルシャワ野戦本部付きの連絡将校:シセリア・マーゴット少尉の手記>

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