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株主優待導入企業が増加、安定株主確保へ個人取り込む 20050416FujiSankei Business i.
上場企業が、自社製品や自社施設の優待利用券を株主に提供する株主優待制度を導入する企業が年々、増えている。大和証券グループで上場企業の株主還元策に詳しい大和インベスター・リレーションズ(東京都千代田区、大和IR)の調べによると、2004年度末までに全上場企業(約3800社)の4社に1社にあたる900社を超えたことがわかった。
◆持ち合い解消で
1993年には株主優待制度の導入企業数が300社にも満たなかったが、同制度を導入する企業は年を追うごとに増加、その数は約13年間で3倍に拡大した。
同制度の導入が増えている背景には、銀行などの金融機関や企業同士が互いに株式を持ち合う構造が崩れたことがある。この持ち合い構造は、戦後から長期にわたり日本固有の商習慣となっていた。しかし、度重なる会計制度の変更やバブル経済崩壊による株価の長期低迷で持ち合い株式に巨額の含み損が発生。企業の経営体力をそぐ元凶となった。このため、金融機関や企業の多くが持ち合いを解消した。
持ち合い構造が崩れる中、企業は長期間株式を保有してくれる新たな安定株主が必要になり、白羽の矢を立てたのは、1400兆円の金融資産を保有する個人投資家だ。1人でも多くの個人投資家に株主になってもらいたいという企業側の思いが、株主優待制度の導入を大きく後押ししているというわけだ。
大和IRでは、「持ち合い構造の崩壊により安定株主の確保は上場企業にとって喫緊の課題となっている。安定株主を確保するため、株主優待制度の導入に踏み切る企業は今後も増え続ける」(石橋卓磨・業務推進部次長)とみている。
◆広がる選択肢
気になる株主優待制度の中身は、食事券やスポーツジムの利用券、飲み物や食べ物など自社製品を提供する例が大半だ。しかし、ここにきて株主優待制度そのものを社会貢献に役立ててもらおうとする新たな動きも見え始めた。
こうした試みに挑戦しているのがアサヒビール。同社では、株主限定のビールやジュースなどを優待品としている。こうした優待品を受け取る代わりに、同社が環境保全のために設立した環境基金へ寄付してもらう選択肢も用意している。同社の個人株主数は全体で約8万人を数えるが、寄付を選択した株主数は全体の1・6%にあたる約1300人にも上った。
また、コンタクトレンズ販売チェーンの日本オプティカルは、信販会社が発券する全国共通ギフトカードのほか、日本盲導犬協会に寄付金を贈る同社オリジナルグッズの2つの優待品から選べるようにしている。
株主優待の実施企業が増えているとはいうものの、日本の個人投資家の金融資産に占める株式投資の割合はわずか8%にすぎない。銀行預金一辺倒で株式投資に過剰なアレルギー反応を示す日本の個人投資家を安定株主にどう取り込むのか。上場企業各社の知恵くらべはこれからが本番といえそうだ。
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