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工事損失引当金計上企業相次ぐ 可能性明確化に限界、保留も20050516建設通信
工事途中に工事原価見込み額が請負金額を超過する場合に損失として引き当てる「受注工事損失引当金」を、2005年3月期決算から計上した企業が相次いでいる。会計監査法人の要請を受けて、早期に損失額を開示する動きにつながった。一方で、施工段階で損失可能性を合理的に見積もることに限界があり、明確なルール設定もないことから、算定額のばらつきを懸念し、損失計上を保留する動きもあり、二極化の様相を呈しそうだ。
今3月期決算から工事損失引当金を計上したのは13日時点で、川田建設、協和エクシオ、新日本空調、世紀東急工業、中電工、東急建設、東邦建、トーエネック、日揮、日立プラント、不動建設の11社。青木あすなろ建設のように引当金計上を決めたものの、該当工事がなかった企業もある。
これまでは不確定要素の多い施工途中に損失可能性を合理的に見積もることに限界があるとの判断から、大半の企業が計上を見送っていた。3月に日本公認会計士協会が設計変更や原価低減などによる改善見込みがある建設業の特質を踏まえ、工事損失引当金計上の留意点をまとめたことが引き金になっている。
会計監査法人の要請を受けて、合理的な算定方法を時間をかけて協議した結果、社内で明確なルールを定め、今3月決算からの計上に踏み切る動きにつながっている。中には「計上したものの、各企業で算定方法が異なるため、比較可能性に欠ける」と不安視している企業もある。
今3月期決算での計上を見送った、あるゼネコンの経理担当は「会計監査から要望されたが、個別工事の損失可能性を明確に見積もることが難しい上、損失を計上する明確な根拠がなく、合意しなかった」という。建設業各社の会計基準は、工事完成基準と工事進行基準の併存状態にあるため、各社によって工事損失引当金の処理が異なる可能性もあるだけに「明確なルール設定」を求める声も出ている。
12日から本格化した3月期決算発表は20日にピークを迎える。日本公認会計士協会から工事損失引当金計上の留意点が示されたことで、会計監査法人からの要請は強く、計上に踏み切る企業が拡大する見通しだが、明確なルール設定がない段階で損失可能性の引き当てに慎重な企業もある。
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