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業界委員から反論続々 オープンブック方式に問題点20061027建設通信
「成人病にかかっている病人だからといって、(食事や運動療法でなく)次々と薬を与えるのは得策でない」というわかりやすい例で、オープンブック方式(施工体制事前提出方式)の論議での問題点を指摘した日本土木工業協会の荒井康博委員。海外の施策を、多様な発注方式の試行だとして薬のように次々導入しようとする行政に対し、対症療法をきちんと見極めるように、やんわり提起した格好となった。25日に開かれた国土交通省の建設産業政策研究会では、大手ゼネコン業界代表委員から否定的な意見が出された。
荒井委員は、文書で提出した問題点以外にも「海外では元請けの直用比率が50%ぐらいになっている。ところが日本では10から30%ぐらい、場合によっては直用なし、全部下請けというものもある。こうした状況でオープンブックが活用できるだろうか」と海外との元下関係の違いを考慮すべきだとした。
あえてオープンブックを導入するとしたら、工程や専門工種の少ない労働集約型に限定すべきだとした。
限定論は、ほかの委員からも出て、「オープンブックは低価格入札の対策として浮上してきた経緯があり、オープンブック一般論と区別すべき。一般論で議論する場合には、産業構造や元下関係、雇用問題など掘り下げた議論が必要になる。低価格入札対策に限定してなら考えられるが、宮城県のように一定規模以上の工事に一律に適用するというのは無理がある。低価格入札で応札しようということは応札者が決意しているわけだから、オープンブックを義務付けられるというリスクを背負うことも問題がないだろうし、発注者が品質を危惧(ぐ)して義務付けることも理由がある」と述べ、低価格入札案件に限るべきだと述べた。
また建築業協会代表の並河清委員は「建築工事は専門工種が多く、解体、基礎、躯体、設備、仕上げと工程の進展に応じて、最初から完璧になっていない。応札段階で、下請契約の見積りをし、価格まで決めるのは不可能に近い」と拒絶反応をみせた。
今回の委員会では発言しなかったが、宮城県の実例を調査した建設産業専門団体連合会の才賀清二郎会長は取材に対し、「調査では発注者、元請け、下請けが三者三様で捉え方が違うので困惑している。事務量が負担になっていることは共通しているが、専門工事業界では、あらかじめ元請けから厳しい価格が要求され、それがオープンブックによって公認されてしまう。元下関係の改善ということはオープンブックとは別問題かもしれない」と個人的見解を明らかにしている。
これは、入札前に元請けが厳しい価格競争を予想し、オープンブックに備えて実際より厳しい「指値」をしがちになり、しかもそれを基に契約するとなると、この指値が公認価格として、逆に桎梏(しっこく)になってしまうことを指摘している。宮城県や仙台市では、オープンブックに対応したソフト商品も出回っており、形式だけ整える風潮も一部にある。
委員会では次回の11月22日も、オープンブックの議論を始め、CM(コンストラクション・マネジメント)や設計・施工一括方式など建設生産システムの具体的検討を深めるが、こうしたオープンブックへの反論が今後どのように展開されるか注目される。
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